“自分を深める学習”“文
“自分を深める学習”“文
放課後に行われた『ステップアップ勉強会』には、「選抜コース」と「進学コース」の1年生が参加しています。本校では年5回ほど1・2年生に向けて模擬試験を実施しており、模擬試験の成績が目標に届かなかった生徒が勉強会の対照となります。3日間にわたって行われ、初日の今日は英語を、学習支援アプリを使って1時間勉強するのです。このアプリはAIが生徒一人ひとりの模試結果を分析し、どの箇所が弱点なのかを判断して最適な問題を出題、生徒はその問題をiPadを使って解いていきます。
『ステップアップ勉強会』にはチューターが生徒の質問に答えたり、問題が解けなくて表情を曇らせている生徒に声をかけたりします。今日、チューターを務めてくれたのは、本校から現役で筑波大学に合格したW.Uさんです。現在、チューターは20名ほどで、毎日2名ほどのチューターが放課後に来校し、進路室に常駐して生徒の質問や進路相談に応えています。定期試験前にはチューターが常駐する“質問部屋”も設けており、チューターが自学自習を監督しながら、質問に答えています。また、チューターは『チューター通信』と題して、勉強や進路に関する情報を生徒に向けて発信しています。
今日、進路室で生徒をサポートしているF.Aさんは現役で中央大学に合格した卒業生で、サッカー部や野球部の部員を集めた勉強会でも活躍しています。チューター制度はF.Aさんが中央大学に入学した年からスタートし、彼女はチューターの一期生となります。
この制度を導入した目的は、生徒と年齢が近いチューターに、身近な目標となってもらうことです。自分と同じ学校に通っていた先輩が高い目標を達成して大学生活を楽しんでいる様子に触れることで、「自分も頑張れば……」と自信がもてるようになるはずです。さらにチューターから大学生活の素晴らしさも伝わるため、学習意欲も自ずと高まっていくでしょう。
本校の進路指導部の方針は、まず「こんな志や高い目標があるから、この大学のこの学部に行く」という目的をもたせることです。そして、その目標を達成するために「何が必要なのか」に気づかせ、行きたい大学に送り出すことです。F.AさんもW.Uさんも明確な目標を抱いて努力し、合格を手にしました。チューターの存在によって多くの生徒が刺激を受け、第一志望校への合格を果たし、チューターとして活躍してくれることを期待しています。
私はいくつかの私立高校を受験しました。その中から東京成徳大学高等学校を選んだ決め手は、入試の面接を待っていた際、在校生の方々が私に話しかけ、学校生活について語ってくださり、緊張を和らげることができたからです。「こんなやさしくてフレンドリーな先輩のいる高校で私も学びたい」。そう思って入学しました。
私が在籍したのは「特進コース」です。食品に関心があり「料理部」に入部し、食品関係の会社に就職したいと考えていました。そこで、大学では生命科学を専攻したいと思ったのです。中央大学は一般選抜で受験し、国立大学への進学も考えていたので共通テストも受けました。
高校3年間で特に心に残っているのは、大学を受験した時のことです。国立大学や私立大学の受験が迫っているなか微熱が続いたり、体調がすぐれなかったりして不安を抱えながら勉強を続けました。これまでの人生において最も頑張った時期だと思っています。その頃支えになってくれたのは、同じく受験勉強に励む仲間でした。「みんなも頑張っているのだから、私も」と自分に言い聞かせながら机に向かいました。コロナで多くの行事が中止になってしまいましたが、大学受験を通してクラスメートとの絆を強めることができました。米澤先生のお話にあったように、私が大学生になった春からチューター制度が発足しました。チーム名は『TSチューター』で、“TS”は東京成徳大学のイニシャルです。
私がチューターになろうと決めたのは、自分の体験談を話すことで、少しでも後輩たちの力になれるのではないかと考えたからです。最初は校内での認知度が低く利用者も少なかったので、私たち『TSチューター』はポスターを作ったり、アプリを活用したりして参加を呼びかけました。今では多くの後輩たちが進路室や“質問部屋”に集まってくれます。
私が『TSチューター』になってから、この春で3年になります。チューターとして強く意識しているのは、生徒との共通項を見つけ、勉強とは関係のない話もしながら心の距離を近づけることです。やりがいは、質問に答えるたびに生徒から、「役に立ちました」「質問してよかった!」という言葉を聞けることです。なかでもうれしいのは、第一志望校に合格した生徒が感謝の言葉を伝えてくれること。「もっともっと生徒に寄り添っていこう」という気持ちになります。
東京成徳大学高等学校を選んだ理由は、“自由な校風”にひかれたことです。もうひとつの理由を、今、F.Aさんの話を聞いて思い出しました。私もこの学校を受験した際、面接を待つ間、在校生の方々に優しく話しかけていただき、リラックスできました。「上級生が下級生を大切にする学校なのだ」と知ったことも、入学のきっかけになりました。チューター制度は、こうした伝統から生まれたのだと思います。
私もF.Aさんと同じ「特進コース」で3年間学び、テニス部に入部しました。筑波大学人文・文化学群比較文化学類を受験したのは、現代小説や古典文学だけでなく、漫画や映画など幅広い分野の芸術作品について研究できるからです。大学卒業後は出版社で働けたらと考えていて、国語の教員になることも視野に入れています。
入学した当初は一般選抜で筑波大学を受験しようと思っていたのですが、担任の先生から学校推薦型選抜で合格できるのではないかとアドバイスをいただき、挑戦することにしました。そしてテニス部の練習と定期試験の勉強との両立に努め、第一志望だった筑波大学への合格を果たせました。大学生になった今、高校3年間を振り返ると、この学校の魅力は「高校生らしい学校生活が待っていること」にあると思います。文
こうして悔いのない高校生活を送った私は母校への感謝の気持ちもあって、チューターになりました。それ以上に大きな理由は、双子の妹の言葉にあります。妹もこの学校に通っていて、進路室で1学年上のF.Aさんのサポートを受けていたのです。大学生になった妹は、「F.Aさんと親しくなれ、説明やアドバイスが大学受験に役立ち、感謝している」と口にしていました。そこで私も生徒から信頼され、生徒の役に立てるような存在になりたいと思い、チューターを志望しました。
チューターとして心がけていることは、質問に対して、どの時点から理解できなくなったのかを知り、時には中学レベルまで遡ってアドバイスをすることです。今日の『ステップアップ勉強会』の対象は1年生なので、特に基礎の大切さをわかってもらえるように配慮しました。一人でも多くの生徒に私たちチューターのサポートを受けてもらい、今の勉強が未来につながっていることを知ってもらえたらと思っています。
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