月に1度、『総合探究Day』として行われている実践学園の探究活動。「課題発見&解決」「主体性」「動機づけ」の3つをキーワードに、生徒が自身の未来図を思い描きながら、まだ見ぬ道を切り拓いていく新しいキャリアプログラムです。
月に1度、『総合探究Day』として行われている実践学園の探究活動。「課題発見&解決」「主体性」「動機づけ」の3つをキーワードに、生徒が自身の未来図を思い描きながら、まだ見ぬ道を切り拓いていく新しいキャリアプログラムです。
探究活動は月に1度、“総合的な探究の時間”のなかで『総合探究Day』と銘打って実施されています。
「2022年度より行われている本校の探究学習は、“探究とは何か”を学ぶために、高1全体でのオリエンテーションから始まります」
そう語るのは、同校の探究学習における中心者の1人でもある高嶋寛先生(数学科)です。
「本校の探究学習では、社会のなかで答え(=正解)のない問題や課題に対して、主体的に解決していく姿勢を身につけることを重視しています。とはいっても、答え(=正解)のない問題や課題に対する解決策に挑むことは、不安や怖さも感じることがあるだけに簡単ではありません。しかし、それよりも大切なことがあります。それは、大きな問題や課題を解決する過程で感じる“ドキドキやワクワク”を大切にしていること。高校に入って初めて探究学習へ臨むにあたり、私たちは生徒一人ひとりにそう伝えています」
探究学習は、高1から高2までの2年間にかけて行われます。
「高1は『地域探究』を、高2は『職業探究』を通して、①地域・社会の課題を発見する ②探究のプロセスを主体的に学ぶ ③さまざまな意見を取り入れながら課題解決の方法を探る、といった各能力の養成を目的としています。つまり、探究学習で得てもらいたい力は、①課題の発見と解決 ②主体性 ③動機づけ の3つになります」(高嶋先生)
高嶋先生の話を聞いてうなずくのは、芸術科(音楽)の岩﨑裕先生です。岩﨑先生はこの2年間、同じクラスを副担任、担任として連続で預かっていることもあり、生徒一人ひとりの成長ぶりに目を見張るものがあると強調します。
「高1で初めて臨むことになる『地域探究』は、誰もが未経験なだけに身構えるのが普通です。ですからまずは、“自分が生活している地域のなかから困っていることを探そう”というかけ声をきっかけにして、それぞれの『地域探究』を始めてもらっています。続く高2の『職業探究』では、“そのためにこうしたらいいのではないか”という視点から、それぞれが考えた課題解決のためのアイデアを、ビジネスプランや商品化としてまとめていくという流れになります。
普段は物静かな生徒が立派な発表をして注目を集めたり、抜群のトーク力で喝采を浴びたりするなど、気がつくと一人ひとりが主役になっているのも、本校の探究学習の1つの特徴です」(岩﨑先生)
ところで、実践学園の生徒たちは、具体的にどのようなテーマで探究学習と向き合っているのでしょうか。ここからは『地域探究』と『職業探究』別に、いくつかのケースを先生方に紹介していただきます。
「例えば、高1の『地域探究』では、自分の地元である新宿について調べるなかで、社会問題化している“トー横キッズ”について探究した生徒がいました。また、埼玉県所沢市に居住する高1生は、衰退化していく地元の商店街の未来を憂い、その解決策を探究しました。
一方、実践学園がある中野区の区長に来校していただき、中野区の行政上の取り組みや、人口動態などについて詳しく話を伺う機会を設けたりして、改めて地域との結びつきを意識してもらうようなことも行っています。このように、自分の身の回り、学校周辺に対するちょっとした興味や関心をベースにして、探究学習の前段階である『地域探究』が、徐々に本格化していくイメージです」
続いて、高2から始まる『職業探究』について、岩﨑先生は具体的なケースを解説します。
「“職業”といってもまだ高2ですから、具体的な職業観をもつことまでは求めていません。それよりも高2として大事にしてほしいのは、自分の身近なところにある『ヒト』『モノ』、そして『家族』というところから、“これだ!”と感じたものをビジネス化していくという視点です。要は起業家精神を学んでほしいと思っています。
そこで本校の探究学習では、『高校生Ring』(※)を活用しています。このような取り組みを通して、SDGsの観点からも非常に重要なフードロスについて探究を深める生徒が出てきたり、アニメ映画『君の名は。』の鑑賞をきっかけに長野県小海町まで出かけていき、地域活性化と町おこしの視点から町長インタビューを決行したりする生徒も出てきました。探究学習に全力で取り組んだ生徒は、第一志望の大学に合格しているというデータが本校にはあります。世の中の出来事を他人事にせず、自分事として主体的に捉えていくことによって、生徒一人ひとりのより確かな未来が開かれていくものと確信しています」
※高校生Ring:リクルート社が提供する提案型アントレプレナーシッププログラム。同社の社員が実際に使用している新規ビジネスのためのワークブック『Ring NOTE』をベースにしている。高校生には「起業家研究」という視点から新規ビジネスにアプローチできるところがポイント。
A:例年、高1も高2も5月頃からスタートします。10~11月にかけてクラス発表を行い、2月の学年発表(クラス代表のみ)につなげていきます。
A:全くありません。自由です。同じテーマが被っても問題ありません。原則として個人で取り組むことを推奨していますが、グループでの参加も認めています。
A:Googleが提供するウェブベースのプレゼンテーションプログラム『Googleスライド』を使用します。もしくは、オンライン上のソフトウェア『Canva』を使用してもかまいません。
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