1915(大正4)年に藤嶺中學校として創立された湘南地域の男子伝統校「藤嶺学園藤沢」。明るく元気な男子が集うのびのびとした学園に2024年4月、放課後を活用した新たな学びの取り組みとして『放課後学習』が始まりました。
1915(大正4)年に藤嶺中學校として創立された湘南地域の男子伝統校「藤嶺学園藤沢」。明るく元気な男子が集うのびのびとした学園に2024年4月、放課後を活用した新たな学びの取り組みとして『放課後学習』が始まりました。
まずは放課後学習を導入したきっかけについて、高校教頭の香西義之先生に伺っていきます。
「放課後学習を導入するきっかけは、これまで併設中学(藤嶺学園藤沢中学校)で10年以上、週3回導入してきたTASL(Tohrei After School Learning)が、生徒の主体的な学習姿勢の養成に非常に効果的であるとの認識を、教員間で共有できたことにあります。併設中学からの進学者だけでなく、高校受験を経て入学してきた高1生たちも今、授業後の時間を有効に使って、放課後学習を利用し始めています」
藤嶺学園藤沢は“チャイムの鳴らない学校”として知られています。これは生徒に時間を意識して行動する人間として成長していってほしいという理由からです。生徒各自が放課後の時間を意識しながら主体的に取り組む放課後学習は、その延長線上にあるのかもしれません。
「放課後学習は、原則として平日の15時30分~19時まで、自習室を利用して行います。本校には部活動と学業の両立に励む高校生も多いので、部活動が終わった後でもまだ自習室は開放していますので、最終下校時間の19時ギリギリまで学習に取り組むことができます。4月のスタートからまだ半年が経っていないにもかかわらず、部活動があってもなくても、必ず自習室に立ち寄ってから帰宅の途につくという生徒が増えてきています。限られた時間を有効に使いながら、大きく成長しようと頑張る生徒たちの姿が頼もしいです」(香西先生)
放課後学習の一番のポイントは、何といっても生徒たちと年齢の近い大学生たちが学習指導に当たっているところにあります。香西先生もそんな距離感の近さに、大きな手応えを感じている様子です。
「学習メンターとして生徒たちの指導に当たってくれている大学生一人ひとりが、それこそ自身が高校生の頃に実践していた学習上のノウハウを、生徒目線で余すところなくていねいに指導してくれています。これは大きいですね。具体的な指導内容としては、例えば定期テスト前の対策だけでなく、終了後の“解き直し”まで細かく面倒を見てもらっています。また、模試を受験する前の対策や、模試を受験した後の“解き直し”も同様です。試験が終わってそれで終わりにせず、解き直しを行うことで自分の弱点を発見でき、次のテストや試験に向けての課題が明確になっていきます」(香西先生)
学習メンターは数名が自習室に常駐していますが、生徒によってはお気に入りのメンターがいる日時に予定を合わせて、放課後講習に参加することもあるそうです。
「大学生の学習メンターの役割は、第1に勉強を教えることにありますが、高校生にとっては数年先のロールモデルにもなるわけです。『自分もこんな大学生になりたい』と、憧れの存在が身近にいることで、生徒一人ひとりの学習意欲の向上に貢献してもらっています」(香西先生)
ここからは『放課後学習』を積極的に活用している、高1の皆さんにお話を伺います。
「放課後学習は、宿題やテスト勉強に役立っています。学習メンターが大学生の方なので、僕と目線が近いと言いますか、わからないところに対する質問がしやすいです」(Aさん)
「放課後学習が行われる自習室は、友達と声を出して教え合いができるゾーンと、私語厳禁で集中できるゾーンに分かれているので、その日の学習目的に応じて選べるのがいいですね」(Bさん)
「年齢が近い学習メンターの方ばかりなので、何でも気軽に質問しています。定期テスト前になると対策プリントを出してもらえるので、苦手科目の克服にも役立っています」(Cさん)
3人が声をそろえて強調したのが、放課後学習で利用する自習室の居心地の良さと、学習メンターとの触れ合いでした。
「小テストや定期テストを意識し始めると、自然と自習室に足が向くようになりました。特に部活動には加入していないので、放課後の居場所ができた感じで高校生活がとても充実しています」(Aさん)
「学習メンターさんから語られる大学生活がとても楽しいです。その影響で徐々に行きたい大学が具体化してきました。僕も早く大学生になりたいです」(Bさん)
「先月は、期末テストの解き直しを学習メンターさんと取り組みました。『こんなやり方をしたら解けていたね』など気づきを与えてくれるので、次回のテストに向けた反省につながっています」(Cさん)
男子校という伸びやかな環境のなかで、誰もが主体的に勉強と向き合える注目の学び場『放課後学習』の魅力がここにありました。
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