竹林に囲まれた弓道場。このロケーションにひかれて入部する生徒も多いそう。
高校から始めても、大会での上位入賞をめざせるのが弓道の魅力のひとつ
精神を統一し、集中力を高めて正しい射位を作ります。
稽古前に部員全員で「礼記射義」「射法訓」を読み上げ、気を引き締めます。
「的に
弓道場の壁には先輩たちが獲得した表彰状が掲げられています。「弓道はよく禅と関連づけて語られますが、大人の全日本大会のレベルだと、めざすところは無心の境地。まさに座禅と同じような脳波の状態になるのです」(田邊先生)
小鳥のさえずりが聞こえる緑豊かな弓道場で稽古に励む麗澤高等学校の弓道部。弓道二段の田邊時久先生の指導のもと、高校弓道部43名と、中学弓道研究会30名の計73名が男女一緒に活動しています。
高校入学後に弓道を始める生徒は少なくなく、学校説明会での部活動体験や入学後の部活動紹介で、竹林に囲まれた自然豊かな弓道場を見て入部を決める生徒も多いそう。
2023年度は、新人戦県大会で2年連続男子団体準優勝、個人戦は男女で入賞、2024年度の「東日本高等学校弓道大会」で男子団体5人制ベスト16への入賞を果たすなど、輝かしい成績をあげています。2024年度は「男女団体全国出場」を目標に、日々鍛錬を重ねています。
自分と向き合い、自分の心と体を鍛える弓道。弓を射るという行為はまさに自己との戦いで、そこで培われる強い精神力と集中力、周囲に左右されない心の在り方は、学業に取り組む姿勢にも活かされています。
中学入学時の部活動オリエンテーションで、弓道部の見学にきて弓を引いている先輩を見て「かっこいいな、自分もこんなふうに弓をひいてみたい」と思い、中学の弓道研究会に入りました。
弓道には「射法八節」という、矢を射る際の基本となる8つの動きがあり、その一つひとつが奥深く、追求に終わりがありません。弓と自分の体との相性も大切で、「体をこう使ったほうがいいかな」と考えて細かく調整していきます。そこが弓道の難しい部分でもあり、面白い部分でもありますね。
弓を引き、矢が口割り(※)にくると離すのですが、そこで狙いをつけたくても、触れた瞬間に離してしまうことがあって、そこがまだ克服できないんです。それで的中する時もあるけれど、矢の飛んでいく先がまとまらず、的中率が落ちてしまう。会(※)の状態で色々なところを整えていく必要があるのですが、それを乗り越えるには精神を整えることが必要で、今もまだ修業中ですね。
※口割り…会での矢の高さの位
※会…無限に引き分けている状態で心身が一体となった境地
大会は男女別ですが、稽古は一緒に行っています。同好会という位置づけの中学生とも一緒に稽古をしますが、大会を目標に頑張る高校生とは、やはり少し緊張感が違います。僕は中学から始めて中学の部長も経験し、中学生と高校生双方の気持ち・立場も理解できるので、その経験を活かし、部長として全体をまとめていけたらと思っています。
大好きな弓道を続けるために、学業との両立は常に課題です。授業の合間の10分間休憩や、昼休みを有効活用するなどして、学習時間を捻出しています。
将来の夢は飛行機にかかわる仕事に就くこと。それにつながる学部があり、なおかつ弓道部が強い大学に行きたいと思っています。弓道で培った精神面の強さは、大学受験や就職活動にも役立つと確信しています。そして大人になっても弓道を続けるつもりです。高校から何か新しいことを始めたいと思っている人は、ぜひ麗澤の弓道部に入ってください。
高校に入って「何か新しいことを始めたい」と思っていた時に、「弓道は高校から始める人が多い」と聞いて、「初心者でも楽しめるかな」と思い入部しました。実際、経験よりも自分自身をどこまで高めていけるかが重要で、高校から始めても大会で上位をめざせるのが弓道の魅力ですね。
2024年度から全体の副部長、そして女子の主将を務めています。役割としては、稽古前に「ご神拝」という神様に挨拶をする儀式があり、その際に部長と副部長が主導して、全員で神棚の下に掲げられた「礼記射義」「射法訓」を読み上げます。弓道の精神と弓の引き方についての教えが記されたもので、全員でこれらを共有して稽古に入ります。また、普段は楽しい雰囲気で活動していますが、大会前は緊張感をもって練習しなくてはいけないので、その雰囲気作りにも気を配っています。
苦労している点は、弓と体が密接しているため、弓の引き方が下手だと顔や体に弓があたってしまうこと。あたるととても痛いんです。また、「的にあてたい!」という気持ちが強すぎても、きれいな射形が崩れて同じように顔や体にあたってしまいます。そこを自分のなかでコントロールする必要があり、そこが弓道の難しくも奥深い部分ですね。
現在は英語に特化した授業を選択していて、将来は海外で働くのが夢です。海外の人たちに弓道の魅力と、弓道を通して学んだ日本文化を伝えたいと思っています。部活動と学業の両立は簡単ではありませんが、通学時間を勉強に充てるなどの工夫をして、希望大学に行けるように勉強も頑張っています。
指導の際、最も大切にしているのは「正射必中」。「正しい射は必ずあたる」という意味ですが、“あてる射”ではなく“必然的にあたる射”がめざすところです。単純に技術面だけを向上させるのではなく、精神的な部分をどう作っていくかという点にも重きをおいて指導しています。
“精神”というと“心の問題”と思われがちですが、実は考え方の部分が大きく、自分がどういう考え方をしているかで、心はいろいろに動きます。生徒には、その考え方をきちんと整えて射位に入るよう常に伝えています。毎回全員で「礼記射義」「射法訓」を読み上げているのはそのためです。
弓道は相手がいない競技なので全て自分次第。頭を使い、自分を振り返り、課題をクリアするという、勉強と同様のプロセスを経て上達します。弓道へ真剣に取り組んでいる生徒は、学習面においても同じようにコツコツ努力できる場合が多く、卒業生たちは進学実績でも好結果を出しています。そして、そこで得た強い精神力・集中力は、彼らの一生の財産となるのではないでしょうか。
弓道部のある高校はそれほど多くはなく、千葉では70校くらい。なかでも豊かな竹林に囲まれ、大自然を感じながら弓を射ることができる弓道場はなかなかないと思います。ぜひ本校に入学して弓道部の見学に来て、その魅力を感じてほしいですね。
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