帰国生の在籍率が全体の約2割を占めるグローバル色にあふれる富士見丘高等学校。今回の主役、村上芽生さんもイギリスからの帰国生で、教室内で異文化が交錯するアドバンストコース「インター」出身の卒業生です。大学4年生の村上さんは今回、教育実習生(英語科)として母校に帰ってきました。
帰国生の在籍率が全体の約2割を占めるグローバル色にあふれる富士見丘高等学校。今回の主役、村上芽生さんもイギリスからの帰国生で、教室内で異文化が交錯するアドバンストコース「インター」出身の卒業生です。大学4年生の村上さんは今回、教育実習生(英語科)として母校に帰ってきました。
一番大きな理由は、部活動に「模擬国連部」があったからです。小4から中2までイギリスに住んでいたので、身につけた英語力をさらに伸ばしたいと思っていました。模擬国連部であれば英語を使って国際情勢について議論できるので、それが叶うはずと魅力を感じました。もう1つの理由は、学校見学の際、富士見丘の校舎がとてもきれいだったからです。
アメリカやオーストラリアからの帰国生をはじめ、中国のインター校に通っていた、中国語と英語が話せるマルチリンガルな友人がいました。私もそのうちの1人なのですが、英語を話す環境で育った生徒が集まると、どうしてもストレートに意見を言う傾向があり、頻繁に行われていたディスカッションをする授業は、かなりにぎやかでした(笑)。時には白熱する場面も多々ありましたが、そういう活気ある日常もまた楽しかったですね。似たような環境で育った仲間たちが常に身近にいるということが、私にとって高校生活での1つの安心感につながっていたと思います。
※アドバンストコース・インター:海外現地校、インター校出身者や、高度な英語力を有する生徒を対象とするクラス。全ての英語の授業をネイティブ教員によるオールイングリッシュで展開する。
そうなんです。模擬国連部とバスケットボール部を兼部していました。理由は2つあります。1つは、何か新しいスポーツをしてみたかったから。もう1つは、世界でも珍しいと言われている“日本の運動部”の世界を、実際に味わってみたかったからです。
バスケットボールという競技を通して、部員同士のbond(絆)が芽生え、一生ものの友人関係になるというのは、やはりいいなと思いました。スポーツを通して同じ困難を乗り越える仲間がいるという居心地の良さは、日本の運動部の良さであり、それを体験できたことは高校時代の大きな思い出の1つになっています。
富士見丘の模擬国連部は帰国生ばかりではなく、国内生も一緒に切磋琢磨できるところに特徴があります。世界規模で解決をめざす社会課題の中からその都度議題が決まり、オールイングリッシュで議論します。とはいっても英語力があれば全てがうまくいくわけでもなく、国内生と帰国生がそれぞれの強みを発揮しながら、大使としてさまざまな議論や交渉にあたるところに面白さがあり、また、奥深さもあります。
私が高校時代に大使を務めた国は、フランス、エルサルバドル、イラン、ルワンダなどでした。大会へ臨むにあたり、事前にそれぞれの国について調べていくのですが、そうした探究活動を通して「リサーチ力」を身につけ、その土台を活かして実際の会議の「交渉力」「コミュニケーション力」が鍛えられたことで、結果として大学での発表の場にも活きていると感じています。私が卒業してからも模擬国連部の部員数が増え続けていると聞いて、後輩たちの活躍ぶりにも注目しています。
週に3日はバスケットボール部、1日は模擬国連部の活動があり、さらに日曜日は隔週ペースでバスケットボール部の練習試合があるだけでなく、模擬国連の大会もあったので、わりと忙しい高校生活だったと思います。そこで考えたのが、毎日の生活のなかで勉強するリズムをルーティーン化することでした。帰宅したらすぐお風呂に入り、夕ご飯を食べ、少しくつろいだら、あとはとにかく勉強するというストイックな生活です。学習時間にこだわるのではなく、“学習することにこだわる”というわけです。高1の前期中間テストで学年1位を取り、周囲からの期待を感じつつ、励みにして頑張っていました。
東京外国語大学には推薦入試で合格しました。国語が苦手だったので、先生方には特に小論文対策でお世話になりました。イギリスでの生活が長かったため、語彙の少なさがどうしても小論文の稚拙さとして出てしまうことが悩みでした。そうした弱点に対してある先生は「この用語集がいいよ」と、とても役に立った参考書を勧めてくれました。
また、富士見丘には生徒が自分に合った進路を選べるように多様な選択科目がありました。私は「小論文基礎」「小論文応用」を履修し、小論文対策としていましたが、そのおかげもあっての第一志望校の現役合格ですから、とても感謝しています。
これも選択科目の1つですが、『日本文化史』という授業がとても面白かったです。「世界を知る前に、まず日本を知らないといけないのでは?」と思ったので履修しました。絵画や仏像など、日本独自の文化の一端に触れることができる授業は、帰国生の私にとって非常に有意義な時間でしたが、単に「日本史」ではなく、「日本文化史」「日本史探究」「日本史演習」など、大学進学を見据えて選択できる授業が細分化されているのも、富士見丘の大きな魅力だと思っています。
“先生”の立場で母校に戻るという体験は、とても新鮮なものでした。今まで気づくことがなかった、先生方の発言や行動に関する意図のようなものが見えて、とても興味深い3週間でした。一方、5歳年下の高1生たちと接するなかで、「女子校ならではの活気っていいな」と、昔を思い出しました。
生徒と先生方の距離感の近さです。今回、“先生”という立場になって改めて気づいたのはその点でした。職員室がオープンになっているので、常に生徒たちの姿が見られます。先生方も生徒のことを気にかけてくれているので、例えば、英検対策ができているか声をかけてくれて、それがきっかけで先生との話が弾んだりします。生徒たちにはそんな触れ合いが楽しいんですよね。教育実習生として改めて母校が好きになりました。
今日で教育実習が終わったので、これからは本格的に卒業論文に取りかかる予定です。かつてイギリスに住んでいた時に関心のあった“階級によって変化するイギリス英語のアクセント”がテーマです。大学卒業まで悔いのない日々を過ごしていきたいと思っています。
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