国内生だけでなく帰国生からも注目を集めている武蔵野大学附属千代田高等学院には、高1から高2にかけて、海外で過ごすワンランク上の研修が用意されています。今回は、アメリカ・ボストンで実施する起業家精神を学ぶ研修『アントレプレナーシップ・プログラム』と、シンガポールを舞台に展開する修学旅行『シンガポール研修』を紹介します。
国内生だけでなく帰国生からも注目を集めている武蔵野大学附属千代田高等学院には、高1から高2にかけて、海外で過ごすワンランク上の研修が用意されています。今回は、アメリカ・ボストンで実施する起業家精神を学ぶ研修『アントレプレナーシップ・プログラム』と、シンガポールを舞台に展開する修学旅行『シンガポール研修』を紹介します。
2023年の夏、高1と高2の希望者を集めて、9日間の日程で開催されたアメリカ・ボストンでの『アントレプレナーシップ・プログラム』。アントレプレナーシップ・プログラムとは「起業家精神」を意味しています。
「本校が “アントレプレナーシップ” を冠した海外研修を導入した目的は、グローバルな環境のなかでアントレプレナーシップを育み、今後の勉学やキャリア形成に積極的に挑戦できる、グローバル・マインドセット(※1)を獲得することにあります」
そう語るのは、アメリカ・ボストンに生徒たちを引率した田丸先生です。
「現地では、ボストン在住の起業家の方々との交流をはじめ、実践的なワークショップの開催などを通して他校の高校生と共にチームを組み、新しい製品やこれまでにないサービスの考案にも積極果敢に挑戦しました」
研修最終日には、現他の起業家やマサチューセッツ工科大学の研究員の方々を審査員として招き、各チームからの起業案を英語でプレゼンテーション。審査員からの厳しくも温かな称賛の声は、参加した生徒一人ひとりの琴線に触れた様子で、ここから未来へと進む道のりの希望の光となったようです。
「生徒たちは緊張しつつも、考案した製品・サービスを堂々と提案し、プログラムの成果を発揮していたところが特に印象に残りました。他校の生徒たちとのコミュニケーションも、決して簡単なものではなかったようですが、それだけに大きな刺激を受けた様子で、『この間も一緒に遊んできた』と話す生徒がいるなど、非常に有意義なプログラムになりました」
アントレプレナーシップだけでなく、チームワークの大切さやアメリカの文化なども含め、数多くのことを学ぶことができた注目の海外研修です。
(※1) グローバル・マインドセット:世界のどこにいても、誰とでも仕事の成果を残すことができる人材がもつ、特徴的な行動や思考のこと。
「中学生の初めの頃から“起業してみたい”と思っていました。ボストンに行ってみて、僕が今までに考えていた起業と、現地の起業家が語る実践を通しての起業の違いが、明確になったことが大きかったです。他校の生徒たちとのグループワークは、お互いにどんな人かがわからない分、最初こそギクシャクしていましたが、時に意見交換が激しくなったり、逆に終わるとお互いに理解し合える仲間になれたりと、とても素晴らしいものになりました。人をまとめることは難しいけれど、みんなで一つになれた時の喜びは、とても大きな財産になりました」
「日本とは異なる海外の人たちの考え方や文化の違いといったものを、肌で感じてみたくて参加しました。僕自身の夢は“大切な命を救う医師になること”です。ハーバード大学で知り合った大学生と一緒に食事に行く機会があり、『医師になりたい』と夢を語ると、『それならハーバードにおいでよ』と誘われました。その瞬間から僕のなかに日本で医師免許を取得した後、海外でも活躍できる医師として成長することが、自分に合ったキャリアデザインかもしれないと思うようになりました。ボストンをきっかけに描くようになった自分の未来に、これから挑戦します!」
「高校生になったら海外に行きたいと思っていた僕にとって、高校選びのきっかけになったのが、『アントレプレナーシップ・プログラム』でした。生まれて初めての海外生活だったので、文化や生活面での違いに戸惑いましたが、たとえ学校は違っていても、同じ時を過ごす同世代の仲間たちがいると思うと、それもまた楽しかったです。さすがにグループワークは不安でいっぱいでしたが、リーダーシップとか責任感とか、そういったことを知らず知らずのうちに発揮していた自分がいることに驚き、なんだかうれしくなりました。海外に出て少しは成長できた感じがします」
「母親が起業していて、自分もいつか起業してみたいとずっと思っていました。両親とも“子どもたちを世界に出したい”という人なので、そんな気持ちに応えて志望しました。現地では思い切って街ゆく人々にインタビューをしてみました。白人系の人たちの考え方と、移民系の人たちの考え方の違いが明確にあることを知った時、日本にいるとあまり実感することのない多様性を肌で感じました。世界中にいろいろな人がいるなかで、日本人の自分としてできることを、これからの学びを通して模索していきながら、来たるべき起業のチャンスをつかみたいと考えています」
「参加した生徒の成長には著しいものがあります。まず英語です。初日こそ誰もが控えめでしたが、2日目になると誰もが積極的に英語で質問し、英語の回答をもらってさらに英語で応えるなど、生徒たちの順応力に驚きました。プログラムの目的はアントレプレナーシップを学ぶことにありますが、英語に対するさらなるモチベーションアップにつながったことも大きな効果でした。もう一つは、現地の大学への訪問を通して、自分のやりたいことを専門にして“学ぶことの楽しさ”を生徒一人ひとりが実感できたことです。国内外を問わず、大学に進むことの意味、大学の楽しさというものに触れられた絶好の機会にもなったのではないでしょうか」
世界で活躍するためのグローバル・マインドセット(※2)を土台に、地球的視野で物事を捉える人材になるための海外プログラムが充実しているのも、武蔵野大学附属千代田高等学院の特色です。学年全員が参加するシンガポールへの修学旅行『高2修学旅行』もその一つです。
「修学旅行の主な目的とねらいは、教育と文化的な体験を深める教育活動です。生徒たちは異文化交流を通じて国際的視野を広げることもでき、日本とは異なる教育環境と学習スタイルを体験できます」
そう語るのは、高2学年主任の永見先生です。
「修学旅行というと、ただの観光旅行や企業訪問を思い浮かべがちですが、学校全体で力を入れているSDGs(持続可能な開発目標)に寄与するため、2学年の教員全員が頭を寄せ合い、修学旅行のプログラムを考えました。めざすは、生徒たちの学びと視野を広げる旅行です。生徒にただの観光ではなく、真の国際交流と実践的な学びを提供したいと学年団で作り上げました。
特徴的なのが、International School Singapore Campus(以下ISS)との文化交流プログラムです。本校の生徒たちは、ISSの中高生たちへ英語で日本文化を紹介するなど、同世代の生徒と積極的にコミュニケーションを取ることで、グローバルな視点を育みました。互いに心温まる交流をしたことで、別れ際にはバスに乗ってからもお互いに手を振り合い、別れがたい様子が印象的でした。
また、SDGs関連の水再生施設『New Water』を訪れ、環境と持続可能性について学びました。シンガポール国立大学の学生と共に市内を観光し、ワークショップに参加することで異文化交流を体験しました。世界最大級の植物園『ガーデンズバイザベイ』の散策や、セントーサ島での豪快なアクティビティは、生徒たちにとって忘れられない思い出となりました。
生徒たちにとってただ楽しむだけではなく、国際感覚を磨き、SDGsへの理解を深めるという、二重の価値を提供する旅になりました」
英語が得意でも、今は仮にそうではなくても、異国でコミュニケーションすることができた体験は、ポジティブな要素となってこれから先の英語学習のモチベーションとなっていきます。
「私たちが思っている以上に、生徒たちが現地の高校生や大学生たちと仲良くなっている光景を見て、本当にすごいなと(笑)。学校にいる時とは違った表情を見ることができ、こんなにもコミュニケーションが好きな生徒たちなのだと、新たな気づきがたくさんありました」
帰国後も現地の高校生や大学生とSNSを介してつながっている生徒もたくさんいるという、そんなプラスアルファも楽しい『高2修学旅行』です。
(※2)IB校:国際バカロレア(IB)機構が提供する、国際的な教育プログラムを実践する学校のこと。武蔵野大学附属千代田高等学院の『選抜探究コース』にも、国際バカロレアのプログラムを学べるIB系がある。
「思っていた以上に英語でコミュニケーションを数多く取ることができ、実際に海外の友人を作ることができました。ただその一方で、市内観光に行った際には完全に“説明を受ける側”“聞く側”に終始してしまいました。そこはとても悔しい部分です。でも、そこは考えようで、逆に自分自身の課題が明確になったことをプラスと捉え、今はリスニング能力の向上に力を入れて取り組んでいます。こんなに充実した修学旅行は、ほかにありますか? 私はないと思います!」
「普段から英語の楽曲を聞いています。それくらい私にとって英語は身近なのですが、日本にいると思いきり使う機会がないので、今回の『高2修学旅行』を、英語でコミュニケーションする絶好の機会と捉えて参加しました。私は選抜探究コースのIB系で学んでいるのですが、ISSインターナショナルスクールの授業のなかに、共通する部分がかなりあってうれしくなりました。世界共通の学びを受けられる喜びを今、感じています」
「現地の大学生やISSの生徒たちに積極的に話しかけようと決めて臨みました。なかには日本に来たことがある学生もいて、日本とシンガポールの生活の違いや、日本食とシンガポールの食事はどっちがおいしい?とか、そんな話をたくさんすることができました。ただ、そうはいってもとっさに単語が出てこない瞬間も数多くあったので、そこはこれからも徹底して鍛えたいと思っています。機会があったらまたシンガポールに行きたいです!」
「『高2修学旅行』の魅力を一言でいうなら、心開く交流体験の旅です。ISSの生徒たちもシンガポール大学の学生たちも、本校の生徒たちに積極的に話しかけてきますし、本校の生徒たちも誰一人臆することなく積極果敢に話しかける姿勢に、思わず拍手を送りました。位置づけは修学旅行ではありますが、現地での行動は原則として生徒たちで決めてもらっています。現地大学生との市内観光や、セントーサ島での自由行動については、生徒が自分たちで計画を立てました。自分たちで責任をもって行動することで、チームビルディング、問題解決力、リーダーシップなどのグローバルな時代に不可欠な力を養ってもらいたいと思っています」
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