大東文化大学第一高等学校の放課後には、大学生・大学院生が「学習メンター」として、生徒一人ひとりの学習をサポートする『学習メンターシステム』があります。学校公認の部活動『勉強部』のメンバーを中心に、今日も日々の学習成績の向上と、4年制大学進学に向けたワンランク上の放課後が始まっていました。
大東文化大学第一高等学校の放課後には、大学生・大学院生が「学習メンター」として、生徒一人ひとりの学習をサポートする『学習メンターシステム』があります。学校公認の部活動『勉強部』のメンバーを中心に、今日も日々の学習成績の向上と、4年制大学進学に向けたワンランク上の放課後が始まっていました。
『学習メンターシステム』とは、一日の授業が終わった後、学校に残って勉強する生徒たちに、大学生や大学院生がわからないところを教えるなど、放課後学習をサポートする制度のことです。4年制大学への進学を希望する生徒が多数を占める大東文化大学第一高等学校では、2019年4月より学習メンターシステムを取り入れて、日々の学習成績の向上と大学進学を支えています。
大学院生の高坂 響さんも学習メンターの1人です。
「放課後になると、生徒たちが自習室にやって来ます。私は生徒一人ひとりの質問対応をはじめ、学習のアドバイスから大学進学にあたっての進路相談に至るまで、幅広いところをサポートしています。」
高坂さんによると、定期テスト前には各教科に関する質問が圧倒的に多くなるということですが、そうではない“通常時”でも、「自主学習に取り組みたいと思っているが、どういうふうに学習計画を立てればよいか?」といった、学習への前向きな姿勢が見られると言います。
「そうは言っても、なかには『具体的に何をやっていいのかわからない』という生徒もいるので、こちらから積極的にアドバイスをするように心がけています。志望校が決まっていない生徒には、気になる大学のホームページを一緒に閲覧したり、『何が好きですか?』『どういう職業に就きたいですか?』というところから質問したりして、志望大学を絞り込むところまでアプローチしていくこともあります。」
学習メンターシステムのさらなる活性化を目的に誕生したのが、2020年に発足した部活動『勉強部』です。勉強部の活動日は“週1日以上”というもので、活動時間は平日15:00~18:45(この時間枠の中から生徒自身で活動時間を決める)、土曜日は13:00~18:45(同)です。日曜日と祝日の活動はありませんが、夏・冬・春の長期休業中には、生徒の意思で自由に参加できる通学型の勉強合宿『Daito Learning Camp』も用意されています。
今年度の勉強部部長を務めているのが高2のN.H.さんです。
「今年度は高1が約20名入部しました。私たち高2も20名弱在籍しています。高3の先輩も数名いますが、ほかの部活動と兼部しているので参加は不定期になっています。せっかく多くの後輩が入部してくれたので、部長として自分が黙々と勉強する姿勢を見てもらいたいと思っています。」
高1から勉強部に入っているN.H.さんは、高校受験の頃から勉強部の存在を知っていたそうです。
「私には中学の理科教員になるという目標があるので、教員養成に強い大学に行くための手厚いサポートが受けられるかどうかというのが、高校を決める際の大きなポイントでした。そんなある日、気になっていた大東文化第一のホームページを閲覧していた時、目に飛び込んできたのが『勉強部』でした。入学後はすぐに当時の部長の話を聞きに行き、納得して入部しました。」
N.H.さんの勉強部での活動は週1回で、自宅学習も含めた1週間の学習時間は“20時間弱”とのこと。今後は休日の学習時間をもう少し延ばして、「週の学習時間を30時間超にしていきたい。」と話します。
そんなN.H.さんにとって、放課後の自習室はモチベーションを高めるための原動力になっているようです。
「勉強部に入部して変化したことがあります。例えば、高1の時はその日の気分で自習室に行っていましたが、学習メンターさんと相談して、ルーティーン化することが大切だと気がつきました。そこで高2からは自習室に行く日をきちんと決め、『その日までにわからない問題をできるようにしていこう』とか、自分のなかで期限を決めて勉強するように心がけています。このような計画性をもった学習の成果は徐々に現れており、全教科とも平均して成績が少しずつ上昇傾向にあります。」
N.H.さんの隣で話を聞く学習メンターの高坂さんが大きくうなずきます。
「N.H.さんのように、自主的に曜日を決めて学習室に来るようになった生徒もいますが、その一方で、例えば、今年度のように、毎週月曜日に英文法のテストを実施することを伝えると、それに照準を合わせてくるようになった生徒もいます。大切なことは生徒一人ひとりの自学自習のリズムをつくることにあると私たちは考えています。」
取材に訪れたこの日は、前日までの中間テストが終わった日でもありました。この日集まった勉強部メンバーの大半は、終わったばかりのテスト結果を、学習メンターに分析してもらうことが目的のようです。
「終わったばかりのテストを学習メンターさんに分析してもらうことによって、今後、自分が取り組むべき課題が絞られてきます。今日の分析結果によって、自分に足りないものをどう強化していくかが、これからの成績向上に向けた具体的な学習方法になると考えています。」(N.H.さん)
「振り返ると自分が高校生だった時、定期テストの点数だけを見て一喜一憂していたことを反省しています。大切なことは、その定期テストを受けたことによってどういうことがわかったのか、という点を指導してくれる人がいるかどうかではないかと思うからです。そうした“次につながる学習面のポイント”を、勉強部の生徒たちに提供できたらと考えています。」(高坂さん)
10代の生徒たちにとって年齢の近い学習メンターの存在は、先生というよりも、もっと身近な「お兄さん」「お姉さん」的な存在です。勉強部のメンバーを中心に、主体的に学び続ける学習意欲の高い生徒たちが今、さらなる上をめざして放課後の自習室で頑張っています。
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