「学習と部活動の両立」。これが実践学園高等学校のモットーです。多くの生徒が部活動に所属し、そこから学びや気づきを得ています。そこで、中高男子バスケットボール部で総監督を務める森圭司先生(社会科)、箏曲同好会と茶道部の顧問を務める大関友里恵先生(国語科)に、部活動の特色などについてお聞きしました。
「学習と部活動の両立」。これが実践学園高等学校のモットーです。多くの生徒が部活動に所属し、そこから学びや気づきを得ています。そこで、中高男子バスケットボール部で総監督を務める森圭司先生(社会科)、箏曲同好会と茶道部の顧問を務める大関友里恵先生(国語科)に、部活動の特色などについてお聞きしました。
私が総監督を務める高校バスケットボール部の部員は約60名です。2023年はインターハイに出場しました。総監督としてめざしているのは、状況を打開できる選手、学び続けられる選手の育成です。バスケの競技性を深く理解して、自ら成長していける選手を育てていきたいと考えています。
バスケやサッカーは、試合のたびにコートが変わりますし、身体接触もあります。こうしたスポーツの最適解はひとつではありません。以前の試合では通用した技術が、次の試合だと通用しないケースばかりです。「この前の試合ではこうだったから、今回もこれでいけるだろう」という思い込みや慢心がミスにつながります。
現場の一瞬の判断で、最適解を見つけることが重要なのです。そのためにも、自分を客観視できる“メタ認知”が求められます。
バスケやサッカーを通して養ったこれらの力は、数学の問題を問いたり、英語の4技能を伸ばしたりするうえでも応用が利くはずです。
本校には学習と部活動の両立を高いレベルで実現できる『スポーツ・サイエンスコース』があります。サッカー部と野球部の部員を対象とするコースです。
サッカー部は、2023年の関東大会で3位になりました。数々の実績を残すとともに、プロのサッカー選手も輩出しています。卓球部も強く、毎年全国大会に出場しています。サッカー部に次いで部員数が多いのは、女子ダンス部です。競技ダンスとチアダンスの2グループに分かれて活動しています。競技ダンスのグループは全国大会出場などの実績があるため、この部への入部を希望して本校を選ぶ生徒がいるほどです。チアダンスのグループは、サッカー部の東京都予選大会などの試合を応援します。
これまで運動部で活動した経験がないという人にもおすすめできる部があります。陸上競技部がそのひとつ。部員のほとんどが高校から陸上競技を始めています。
本校では、問題発見能力や問題解決能力はスポーツを通しても育まれると考えています。例えば、成績や記録が伸びていかない場合、どこに問題があるのか、どうすれば解決できるのかを考える習慣が身につくからです。これらの力が結果として学力向上にもつながります。本校では多くの生徒が学習と運動部の活動との両立を果たして、難関大学へと進んでいます。
忙しい学校生活のなかで、どのように時間を有効活用して学習と部活動を両立させるか。部活動の顧問はその両立を可能にするため、生徒の自己管理能力を伸ばすように努めています。
文化部の場合、活動日が重複していなければ兼部できる部が多いのが特色です。さまざまなことに興味をもつ生徒が兼部をすることで、個性や感性を豊かに育み、可能性を広げています。
私が顧問を務める箏曲同好会のモットーは“真面目に楽しく”です。時間を大切に使うとともに、表現することの素晴らしさを実感しながら部員同士が絆を強め、一人ひとりが力を伸ばしています。各部活動の発表の場は定期演奏会や部内発表会、文化祭の『実践祭』です。季節ごとの発表会も企画しています。2022年の12月にはクリスマスコンサートを開催しました。2024年の1月にはJAZZ研究会や合唱部・吹奏楽部とコラボしたウィンターコンサートを行う予定です。JAZZ研究同好会は誕生したばかりですが、本校に新しい風を送ってくれています。
茶道部は、表千家の先生がお稽古のために来てくださっています。めざすのは「和敬清寂」の精神です。これは茶道の言葉で、お互いの心を和らげて、清らかな雰囲気を築き上げていこうという姿勢を意味します。
この茶道部に、箏曲同好会の部員の半数が兼部しています。箏曲同好会の活動は火曜日で、茶道部は水曜日のため、兼部することで週に2つの伝統文化が学べます。
箏曲同好会における部員の半数が『リベラルアーツ&サイエンスコース』の生徒たちです。同コースではグローバル社会での貢献に向けて、幅広い教養を身につけ、多様性を理解して受け入れる心を育みます。そして、1年次の2学期から北米へ半年間留学します。同コースの部員たちは、日本の伝統文化を海外に伝えたくて箏曲同好会に入ったようです。箏曲同好会では浴衣や袴を身につけて演奏することもあります。お琴を海外に持っていくことはできなくても、浴衣を着て現地の人たちに日本の文化について語ることはできます。
音楽や演劇のようにグループで表現する活動では、演出に創意工夫を加えたり、ほかの部員を気遣ったりしながら、ひとつの作品をつくりあげていかなければなりません。こうして得た力は社会に出た時にも必ず役立つはずです。
ほかに人気の文化部をいくつか紹介します。まずは家庭科部。『実践祭』でクッキーを焼いたり、ハロウィンの時にパンプキンプリンを作ったりして、クラスメートや教員に配っています。華道部も非常に人気があり、部員が増え続けています。茶道部との兼部も多いですね。
家庭科部や華道部の人気が高いのは、学習との両立がしやすいからです。本校には難関国公立大学や難関私立大学をめざす『特別進学コース』(特進コース)があります。このコースは7時限目に『J・スクール』という進学講習があります。これらの部はこの講習と両立しやすいため、特進コースの生徒からも人気を集めています。
文化部での体験は、生徒のキャリア形成にも大きく役立っています。演劇部に入部し、卒業後に難関私立大学の理工学部に進学した生徒は、演じることで得た達成感や感動が忘れられず、声優の専門学校にも通い、今ではプロのナレーターとして活躍しています。吹奏楽部の猛練習で自己管理能力を鍛えた生徒は、中央大学法学部に進んで司法試験に合格し、現在は東京地方検察庁の検察官になっています。
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