Tさん(高2)
私が半年間通ったウエストサイドセカンダリースクールには、14歳から18歳、日本でいう中学2年生から高校3年生までの生徒がいました。ホームステイ先にはドイツからの留学生がいて、私よりも半年前から1年間の予定でステイしていました。ヨーロッパからの留学生はみんな英語が上手です。留学生が集まるイベントに参加しても、ヨーロッパ人と日本人の英語力の差を痛感しました。ヨーロッパ諸国の言語の成り立ちは“英語に近い”からだと思いました。
現地校では『英語』『フード(家庭科)』『アート』『日本語』の授業を選択しました。日本語の授業では“ティーチャーアシスタント”としてリスニングのお手本になることもありました。授業は最初、アイウエオから始まったのに、最後にはきちんとした文章で会話したり質問し合ったりしていて、生徒たちの上達の速さに驚きました。
英語の授業は、私たちが日本の高校で学ぶ国語です。『ロミオとジュリエット』を半年間かけて読んだのですが、最初は全く理解できませんでした。そこで先生が私のためにプリントを作って個別指導をしてくださったので、文法の小テストでは満点を取ることができました。
苦労したのは“自分の気持ちを伝えること”でした。まだ現地での生活に慣れないうちはホストファミリーの“ハウスルール”もよくわからず、申し訳ない気持ちを伝えられなくてもどかしい思いをしていました。授業の内容を理解するのに時間がかかって落ち込むこともありました。
ある日、どうしたらいいかわからなくなって泣きながら学校に行って、一緒に留学していた同級生のSさんに話を聞いてもらったことがあります。思い切ってホストマザーに話すと、「大丈夫、ずっと味方でいるからね」と言っていただいて、それからは気持ちが楽になって楽しい留学生活を送れるようになりました。
留学して感じたのは、日本には“察する文化”があるということです。「はっきりと言葉で言わなくてもわかるよね」というようなものです。でも、さまざまな人種がいて、多様な価値観をもつ人たちのなかでは、「言葉にしなければ通じない」ことがありました。最初はストレートな言い方に傷ついたこともありましたが、「それは文化の違いからくるものであって、悪気があるわけではないのだ」と理解することができました。
そもそも私が留学に参加したきっかけは、小学生の頃に通っていた英会話教室です。世界にはさまざまな文化があり、多様な価値観をもつ人がいることを知り、「いつか自分も海外に行ってみたい!」と思っていました。そこで高校も海外留学制度が整った大東文化大学第一を選んだのです。
半年留学で得たものは“自立心”です。親元から離れて日本語の通じない環境での生活を通して、何でも自分で判断し、解決する力をつけることができたと思います。また、現地の人の自由なファッションを見ていたら、自分も好きなファッションを楽しんで「自己表現をしてもいいのだ」という気持ちになりました。
大学受験は留学の経験を活用した総合型選抜も視野に入れています。留学以前は理系の生物分野に進もうと思っていましたが、今は文理融合型の学部にも興味をもっています。将来の選択の幅が広がった半年留学でした。
週末のアクティビティでは Logan Lakeを訪れました。
Tさんは日本のゲーム「はないちもんめ」を教え、留学生とともに楽しみました。
学年末のイベント「Year End Celebration Party」でドイツ人留学生と一緒に。
カムループス市内にあるKamloops Japanese Canadian Association (KJCA)という日系人会でのボランティア活動での一コマ。日本とカナダのハーフの子ども、移住してきた純日本人の子どもなどがメンバー。写真は、カナダではあまり馴染みのない「雑巾の絞り方」についてレクチャーしています。