大半の生徒が初心者で入部してくる弓道部。同部には、一つの道を究めようと挑戦する者たちを温かく迎え、ともに成長していこうと誓いを新たにする先輩たちの姿がありました。
大半の生徒が初心者で入部してくる弓道部。同部には、一つの道を究めようと挑戦する者たちを温かく迎え、ともに成長していこうと誓いを新たにする先輩たちの姿がありました。
心身の鍛錬という側面もある弓道は、武道のなかでも高校から始める人が多いと言われています。部長を務めるTさん(高2)もそんな一人でした。
「小学生の頃にテレビを通して初めて弓道の存在を知りました。その凛々しい立ち姿に魅了され、私もやってみたいと思いましたが、中学には弓道部がなく、高校に入ったら必ず弓道部に入ると決めていました」
体験入部の際に間近で見た、先輩たちの弓を構える姿がとてもかっこ良かったと振り返るTさん。当初抱いていた弓道に対する憧れは今、自身のなかで情熱へと昇華させ弓道と真剣に向き合っています。
「練習は月曜日を除いて毎日で、休日も弓道場で過ごす日々が続いています。それでも毎日が充実しているのは、部員一人ひとりに『もっとうまくなりたい』『自分は次の大会で絶対に入賞する』といった課題や目標が明確にあるからです」
それぞれに挑戦すべきものがあるからこそ、勉強との両立もうまくいく。弓道部の活動には、そんな側面もあるようです。
「学年に関係なく仲が良いのも弓道部です。コースの異なる生徒が一堂に会して汗を流し、練習後に揃って勉強する機会があるのもいいですね。そんな居心地の良い雰囲気が自然に生まれるのも、各自に明確な目標があるからだと思うのです。狭山ヶ丘高等学校の弓道部に入ったことで、今まで以上に勉強とも向き合えるようになりました」
弓道は一見すると個人競技に見えるかもしれませんが、実は各人がチームに支えられていることをTさんが教えてくれました。
顧問を務めるのは地挽保雄先生です。地挽先生の指導のもとで弓道部は年々力をつけており、今年度からは強化クラブに指定されました。
「弓道は長い歴史をもつ日本の武道なので、例えば、礼儀作法一つとっても厳しいところはあります。ただ、やみくもにそれを強制するのではなく、生徒一人ひとりが自ら選んで始めた弓道に対して真剣に向き合うなかで、できるようになることが重要なのです。したがって、日々の練習も各自の主体性を重視して自由に取り組んでもらっています」
練習に主体的に取り組む生徒たちのため、弓道場は休みとなる月曜日も含めて、原則開放されています。
「本校は、Ⅰ類(難関国立進学コース)、Ⅱ類(特別進学コース)、Ⅲ類(総合進学コース)、Ⅳ類(スポーツ・文化進学コース)の4コース制の学校です。したがって、それぞれの課題も異なれば、模試の受験日などに違いもあります。また、放課後に受講するゼミもさまざまなので、『この日は休みます』と自己申告してもらい、そのうえで各自が調整しています。一方、大会が近づいてきた時には、それぞれが役割分担しながら、弓道部全体で集中して練習ができるような雰囲気作りも大切にしています。そのため、弓道部のモットーは“メリハリ”ということになります」
「4コースの生徒が入り混じっているので、クラスを越えた仲間がたくさんいます。進学についての情報交換をはじめ、理系・文系の違いを活かした勉強の教え合いも自然にできています。目標となる先輩が身近にいるため、進学に向けた心構えもしっかりしている生徒が多いです。仮に今は勉強で伸び悩んでいたとしても、弓道を通して粘り強く一つのことをやり抜く精神が鍛えられていますので、卒業する際にはしっかりと自分の進路を実現できている生徒ばかりです。高校3年間をクラブ活動に捧げているように見えていても、実は勉強をおろそかにしていないのも弓道部の魅力と言えるでしょう」
生徒一人ひとりの成長を願いつつ、適度な距離間でしっかりと見守り続ける地挽先生です。
現時点では男子が少なめですが、女子とも仲良く練習に励んでいます。
袴姿に憧れて入部する生徒が多いそうです。
入部して日の浅い1年生を指導する地挽先生。卒業までに2段の取得を奨励しています。
勉強との両立に励む弓道部員。間もなく長野県内での夏合宿が始まります。
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