2019年に中学、2020年には高校を共学化し、それを契機に中学・高校のコースを改編し、生徒の学力を伸ばして希望する進路を実現できる学習指導により力を入れてきた同校。指導の特色や狙いについて、進路指導部部長および各コース長の先生方にお話を伺いました。
2019年に中学、2020年には高校を共学化し、それを契機に中学・高校のコースを改編し、生徒の学力を伸ばして希望する進路を実現できる学習指導により力を入れてきた同校。指導の特色や狙いについて、進路指導部部長および各コース長の先生方にお話を伺いました。
濱田先生医学部・国公立大学・難関私立大学をめざす「ハイグレードコース」、海外大学・国内国際系私立大学(上智・ICUなど)をめざす「PBLインターナショナルコース」、武蔵野大学も視野に幅広い進路をめざす「本科コース」の3コースがあります。
「ハイグレードコース」は、インタラクティブ(双方向型)な授業によって自ら学ぶ意欲を引き出し、高い学習モチベーションにより学びを深めます。
「PBLインターナショナルコース」は、PBL(課題解決型学習Project Based Learning)の手法を用いて、さまざまな社会課題に対する解決へのプロセスを探り、その中から深い学びを体得します。
「本科コース」は、「自分のやりたいことを見つけること」をミッションとして、幅広い授業で基礎学力をしっかり身につけ、充実した学校生活を送りながら夢中になれることを見つけます。
各コースにはコース長がいて、計画的な指導ができるように対策をとっています。特に今年度からは、以前にも増して力を入れてもらっています。
田中先生昨年度まではコース長も担任のクラスをもち、学年主任と兼任していましたが、今年度からはコース長専任となりました。動きやすくなって、それぞれのコースの特色をより際立たせていくことができるようになったと思います。
濱田先生1年生では「LAM(Liberal Arts Musashino)」という、専門企業とタイアップしたスペシャル講座があります。本物の技術や深い考え方に触れて視野を広げるという試みで、非認知スキルの向上と普段の学びの原動力になります。
2年生では、LAMで磨いた力を武器に理想の進路実現をめざします。これが「MAP(Musashino Advanced Project)」で、各コースの特色に沿ったプロジェクトに取り組みます。
「ハイグレードコース」ではアカデミックマインド、「PBLインターナショナルコース」ではアントレプレナーシップ、「本科コース」では自己ブランディングを主軸に、自己分析を経て視野を拡大し、自己の可能性を広げます。これらの学びは高校の共学化を機に取り入れました。
高橋先生「ハイグレードコース」は、難関国公立大学、難関私立大学をめざす学力をつけるコースで、授業でも高次な内容を扱います。同時に、探究活動を充実させることで非認知能力をつけることもめざしています。また、「ボキャブラリーマスター」といって、英単語や古文単語の課題や数学の小テストを毎朝実施するほか、夏期講習や放課後講習などの受験対策も厚くしています。
高2の終了時までに進路の方向性を固め、高3の6月頃までに志望大学を絞りこんでいき、受験対策も時期が進むにつれて総括的なものから志望大学に特化したものへと展開していきます。高1前期のLAM、後期のアカデミックマインド養成講座を通して、ものごとに問いを立てて検証し自ら解決する姿勢が身につき、その視点が大学入試にも役立っています。
桑原先生「PBLインターナショナルコース」は、国内外を問わず国際色豊かな難関大学をめざすコースで、学びの過程でPBL的な手法の授業によって探究心と思考力を培います。高い語学力の習得をめざし、コミュニケーション英語はネイティブ教員から学び、英語でプレゼンテーションする機会も多く設けています。独自のテキストを用い、洋書を読むことも課されます。
このコースの前身に当たる「国際インターナショナルコース」では、全員留学が必須でしたが、「PBLインターナショナルコース」になってからは任意に変わりました。留学した生徒のなかには、その経験を強みにして総合型選抜や学校推薦型選抜の入試に臨む者も多くいました。経験に裏打ちされた目的意識と自分の英語力を活かし、社会で何がしたいかを広い視野で語れるようになっていたのです。
また、1年間留学を選択しない生徒も、外部の起業コンテストに参加して起業家精神を育むなど課題解決能力を伸ばし、自分が語れるものを手にした強みを活かして受験に臨む例も見受けられました。留学が任意になったことで、漫然とではなく明確な目標をもって留学することが求められ、より主体的に進路選択ができるようになったと思います。
田中先生「本科コース」は、在籍する生徒が最も多い本校を代表するコースとも言え、多種多様な生徒がそろっています。この3月に卒業した生徒たちは、高校共学化の1期生でしたが、女子校時代とは進学先がかなり異なっている印象です。経営学部、経済学部のほか、農学や工学といった理系学部に進む生徒が増えました。本人が切望する進路に寄り添うことがこのコースの信条です。
「本科コース」の生徒には学校推薦型選抜の入試を選択する生徒も多く、担任との面談や志望理由書の指導などをきめ細かに行っているほか、長期休暇中などに小論文講座を実施しています。本校には武蔵野大学へ進学する権利を保持しつつ他大学にチャレンジできる併願制度があり、特に「本科コース」の生徒はこの制度を上手に活用しています。その一方で、一般受験をめざす生徒も多くいます。
もともと武蔵野大学への内部進学を念頭において本校へ入学する生徒も多いのですが、学びを進めるうちに、ほかの進路へのチャレンジを望むようになる生徒も多く、先輩たちが頑張る姿を見て刺激される生徒もいるようです。
高橋先生進路選択の幅が確実に広がったと思います。男子と女子とで進路を話し合うなかで、自ずと視野が広がっていったようです。例えば、女子校時代では武蔵野大学の薬学部や看護学部を志望する生徒が多かったのですが、現在は他大学の生命科学系の学部や農学部などをめざす生徒も増えています。
桑原先生男女で進路選択について意見交換が活性化し、堅実で慎重な部分を持ちつつも、進路にもリミットをかけず高い志を抱くようになっていると思います。「PBLインターナショナルコース」から海外大学に進む生徒が増えることは後輩への刺激にもなります。卒業生と在校生のコミュニケーションを図る機会を設けることでネットワークを構築し、後輩がより広い視野で進路選択ができるようになるといいですね。
濱田先生2023年度大学入試は、国公立大学合格者数が前年度の2名から6名へ、難関私立大学(早慶上理ICU・GMARCH)合格者数が28名から65名へと大きく伸びました。2024年度には中学の共学化1期生たちが受験を迎えることから、大学合格実績のさらなる伸長を期待しています。
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