高い進学率で注目を集める進学校である一方、自由な校風のなか、あらゆる活動において生徒の主体性を磨くことも同校の大きな特長です。もちろん部活動もその一つ。勉強と部活動の両立で、3年間自分自身を磨き続けたバレーボール部とハンドボール部部長、副部長の高3生4名に話を聞きました。
高い進学率で注目を集める進学校である一方、自由な校風のなか、あらゆる活動において生徒の主体性を磨くことも同校の大きな特長です。もちろん部活動もその一つ。勉強と部活動の両立で、3年間自分自身を磨き続けたバレーボール部とハンドボール部部長、副部長の高3生4名に話を聞きました。
下山さん「県ベスト4」がハンドボール部の大きな目標です。そこに向けて普段からみんなでいろいろな話をして、少しでも近づけるように活動してきました。
能登さんバレーボール部は、技術的に大会でどんどん勝ち進んでいくようなチームではなかったので、大切にしたのはお互いを助け合いながらカバーできるよう、チーム全体でプレーを作ることです。
若林さんそれと先輩・後輩に関係なく意見を言い合える間柄にしたかったので、上下関係はありつつも、練習後にみんなでご飯を食べに行ったりして、プレー面でも遠慮なく話しやすい環境作りを心がけました。
下山さんハンドボールは、前後半合わせて50分間ずっと走って動いている競技なので、体力をつけるためにフットワーク練習などを毎日徹底しました。
鎌田さんハンドボール部は明るさが別次元というか、試合中もうるさいレベルで声が出ていて、先生にも「それが良さだよ」と言われているようなチームなんです。試合では、後半になると体力も気分も落ちるのですが、ベンチメンバーも試合に出ているメンバーも、全員で盛り上げることで相手を圧倒するのが“開智スタイル”だと思って練習していました。
能登さん若林さんと私は、中学時代はどちらかと言えば強いチームにいたので、入部当初は「このままだと、ちょっと不安」と思っていました(笑)。
若林さん“一からのチーム作り”だったよね。私たちの代で強くならなくても次の代か、その次の代で強くなればいいな……と思って活動しました。
若林さん他校では、試合中に顧問の先生が大声を出している場面があるんですけど、開智の先生は「ああしろ」「こうしろ」という指示は全くなくて、質問をしない限り私たちの話し合いで解決させるのが基本です。
下山さんハンドボール部も、試合では1セット終わるごとに先生のところに行くんですが、先生からハッキリ指示されるわけではなく、ちょっとしたアドバイスだけをもらって、それを基に自分たちで話し合ってプレーに反映させるのがメインです。
能登さんやっぱり時間はかかりましたが、経験を重ねていくなかでできるようになりました。
鎌田さん試合中でも練習中でも、お互いに「こうじゃない?」と確認し合って、そのなかで意見の相違もあるんですが、そんな時は先生からヒントをもらって進めていました。
若林さん“全員でつなぐバレー”です。例えば、つないでからのトスはほかのチームと比べてうまくはなかったので、全員が2本目のトスを上げられるように、そして全員でカバーできるようにすることを意識しました。あとは声かけです。それがないとつながるボールもつながらなくなってしまいますし、バレーボールはメンタルによってプレーが変わるので、コミュニケーションを大事に、全員で声を出して雰囲気よくプレーすることを心がけました。
下山さんハンドボール部は、“気持ちで負けない”ことを大切にしていました。それから、多くのチームはポジションを固定していると思うんですけど、私たちは全員がいろいろなポジションをできるように練習しました。ゲーム中のハプニングにも対応できるようなチームにしたかったんです。
下山さんハンドボールは体のぶつかり合いがけっこう多くて、押したりつかんだりがルール上OKなので厳しい部分もありますが、プレーしていると高揚感があるし、見ているほうも迫力を感じると思います。ぶつかり合いに慣れてくると、相手に捕まっていたところで捕まらなくなったり、できていなかったプレーができるようになったという部分をすごく感じられる競技で、そこが醍醐味だと思います。
鎌田さん私は球技が得意ではなくて、それを克服したい気持ちからハンドボールを始めたんですが、部活動を通してフィジカルが強くなったので、ディフェンスで活躍したいと思うようになったんです。私のように球技が得意ではなくても、足が速い人なら速攻に行く選手をめざすというふうに、自分の良さを活かせるポジションがあって、いろいろな特長をもった人が活躍できるところもハンドボールの良さだと思います。
若林さんバレーボールは一人ではできないスポーツだからこそ、ほかの競技に比べてコミュニケーションが重要だし、それによって仲が深まるスポーツだと思います。
能登さんそれと、ネットをはさんでチームが明確に分かれているので、良くも悪くも自分たちの雰囲気次第というところがあって、自分たちがまとまっていればいいプレーがどんどん生まれてきます。そこがいいところです。
能登さん受験勉強を見据えて2年生で部活動をやめてしまう人が多く、私も悩みましたが、達成感を味わえるのはやっぱり3年間やりきってこそだと思うんです。実際に頑張ってきたことが身体に浸透していると体感できました。
若林さん部活動を続けたことで、受験生になってからも体力はほかの人に比べてあると思います。勉強との両立は大変でしたが、部活動も頑張ったことで学校生活を充実したものにできたし、とても楽しかったです。
鎌田さん勉強をしている周囲の人たちの影響もあり、日曜日に練習があったりするとホントに勉強時間を確保できなくて、プレッシャーも焦りもストレスも多かったです。部ではもめることもありましたが、ある意味言いたいことを言い合えたからこそ最後は雰囲気よく終われたし、引退したくないと思いました。
下山さん開智では基本的に日曜の練習はありませんが、大会前になると練習や練習試合が入ります。勉強はあまり得意なほうではないため、周りにおいていかれるんじゃないか……と心配しましたが、部活動があったほうが充実しているし、勉強する時は勉強に集中するという切り替えも部活動のおかげうまくできるようになったと思うんです。後輩とも仲良くなれたし、3年間部活動を頑張って、私も楽しかったです。
下山さんハンドボールは、ほとんどの人が高校から始めています。部活動のなかでも運動が苦手だった人や、元文化部だった人も半分くらいいるので、「運動に抵抗はあるけれどやってみたい」という中学生は、ぜひハンドボール部に来てください!
若林さん私たちも、やっぱり運動したい人に来てほしいです。中学までは部活動を頑張っていたのに「開智に来たからには運動を諦めよう」と考える人は多いんです。それはとてももったいないと思います。部の体質や雰囲気を自分で変えたいと思ったら、私たちのように変えられると思うんです。なので、運動で頑張ってきた人、頑張ろうと思っている人には諦めないでほしいと思います。
部活動で身につけてもらいたいのは、“社会に出てからも必要とされる高い人間性と努力できる力、仲間を思いやる気持ち”です。そのために大切にしていることは、他校の先生方への挨拶や立ち居振る舞い、そして「開智」という名を背負っている意識をもって行動するといった部分ですが、部員たちはみんな前向きです。彼女たちくらいの年代だと、我々から指摘をされた時などに、周りにも良くない影響を与えるような態度をとってしまいがちですが、彼女たちは素直に受け取り、行動に活かせるまっすぐな心をもっています。そしてそれは社会で必要になる態度だと思っています。
部活動を通して身につけてもらいたいのは、“自分自身を理解すること”です。今後、新しい環境に入っていく時には、主体性や柔軟性、計画力などさまざまな力が必要です。部という小さな集団の中では、技術面以外にも得意・不得意が出てくると思いますが、不器用でも「私にはこれができる」というものを1つでも多く身につけてくれるとうれしいですね。そしてパズルの1つのピースとして自分を磨き、ほかのスペースを補ってくれるのが仲間であることを感じてほしいと思います。私は大きなパズルが完成できるよう、寄り添っていきたいと思います。
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