「質実剛健」「勇猛精進」という建学の精神のもと、国際社会でリーダーシップを発揮できる人材の育成をめざす藤嶺学園藤沢高等学校。鎌倉時代に創建された時宗総本山・遊行寺の僧侶養成機関「時宗宗学林」を前身としています。
2023年春、11代目校長に林学先生が就任されました。昨年までは教頭として探究プログラムの構築にも力を注いでこられた林先生に、今後に向けた意気込みと、同校独自の探究プログラムについて伺いました。
「質実剛健」「勇猛精進」という建学の精神のもと、国際社会でリーダーシップを発揮できる人材の育成をめざす藤嶺学園藤沢高等学校。鎌倉時代に創建された時宗総本山・遊行寺の僧侶養成機関「時宗宗学林」を前身としています。
2023年春、11代目校長に林学先生が就任されました。昨年までは教頭として探究プログラムの構築にも力を注いでこられた林先生に、今後に向けた意気込みと、同校独自の探究プログラムについて伺いました。
本校の大きな特色は、寺院に隣接している点にあるでしょう。生徒たちの多くは毎朝、本堂を前に一礼し、境内を通って登校します。そして一日の終わりには一礼して下校します。ことさらに宗教教育を押し付けなくても、日々の生活を通して、彼らの内面には知らず知らずのうちに謙虚な心や感謝の気持ちが育まれます。私は遊行寺とは別の寺院の住職を務める身でもありますので、仏教の良さを根本に活かしながら生徒を成長へと導くことが私の使命だと考えています。
私が本校に着任したのは36年前のことです。これまでにクラス担任を27年間、教頭を6年間務めてきました。その長い年月のなかで、時代や世相を反映してカリキュラムや行事など変化してきた部分は多々あります。ただ、最近の言葉でいうとレジリエンス、つまり「失敗しても立ち上がる力」をもった人間に育ってほしいという思いは一貫して変わりません。昔も今も、本校は「打たれ強い男子の育成」を教育目標に掲げています。
人生において、失敗しないよう安全運転をしているばかりでは、成長は望めません。さまざまなことにチャレンジする、あるいは一つのことを突き詰める……その道程では、壁にぶつかったり、人と衝突したりすることが必ずあります。本校での高校生活を通して、そうした困難を乗り越える力を培ってほしいと思います。そのためには、生徒たちが「チャレンジしていいんだ」「失敗しても大丈夫なんだ」と思える環境を、私たち教員がつくっていかねばなりません。高校1学年210人という規模の本校は、生徒と教員の距離が近く、一人ひとりに目が行き届く教育環境であると自負していますが、生徒たちがより安心感をもって何事にも挑戦できるような土壌をしっかりと築いていくつもりです。
また、高校生にとって大きな目標の一つに大学受験があります。生徒たちには、高校生のうちから将来の進路やキャリアを意識して、自分にとっての第一志望の道をめざしてほしいと考えています。大学受験では、本人が「なぜその大学に行きたいのか」「大学に行って何をしたいのか」という目的をきちんと理解していないとうまくいきません。ある程度の精神的な成熟が必要なのです。本校は高大連携を含む多彩な探究プログラムにより、さまざまな角度から自分の生き方について考え、興味・関心を掘り下げる機会を用意しています。
本校の探究プログラムは、「茶道教育」「宗教教育」、そして「正解のない問題に取り組み解決する力の育成」の3つを柱としています。
高1・高2の必修科目である「茶道」は、探究授業が始まる以前からカリキュラムに組み込んでいるものです。茶道は美しい所作やたたずまい、おもてなしの心、そしてグローバル人材にとって欠かせない日本文化の素養も身につく素晴らしい学びです。高2の終わりには、保護者を招いてもてなす「修了茶会」を開催します。「陶芸」の授業で自ら焼き上げた茶碗を用いてお点前を披露する我が子の凛々しい姿に、涙する保護者の方も少なくありません。
また、高1では写経をしたり、僧侶の講話を聞いたりする「学林」も必修となっています。以前は「修養」と呼んでいましたが、今年度から実施場所を校内から遊行寺に移し、内容も大幅に変更したため、授業名を「学林」と改めました。
高2では、まず全員が年度初めに自らの興味・関心に合わせて調べ学習をして、グループ発表を行う「課題設定」のプロセスを体験したうえで、①藤嶺探究ゼミナール(金融リテラシーや話し方入門などの各種ゼミナール)、②高大連携プログラム、③個人またはグループで自由に課題設定・探究、④インターンシップまたはジョブシャドウイング(※)のいずれかを選ぶという選択必修のプログラムがあります。
ほかにも海外語学研修や異文化体験など、学年に合わせたさまざまな探究プログラムがありますが、いずれにしても将来のキャリアに結び付くものとなるようアレンジしています。そして同時に、「自分の器を大きくする」内容であることも重視しています。のびのびと自己実現していくためには、多くのものを取り込む“器”が欠かせません。茶道や学林など未知の体験をすることで生徒自身の“器”を広げる、そういう側面も非常に大切となります。
高校の探究プログラムは本格始動したばかり。生徒のこれからの成長に期待するとともに、彼らの社会を生き抜く力を最大限に伸ばせるよう、校長として全力でサポートしたいと考えています。
高1 | 全員 | 日本文化研究「茶道」 |
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自己内面探究「学林」 | ||
個人 | 「藤嶺探究ゼミナール」※さまざまなテーマで開講されるゼミナールから興味のあるものを受講 | |
「グローバル探究」「海外語学研修」 | ||
高2 | 全員 | 日本文化研究「茶道」 |
芸術探究「陶芸」 | ||
異文化探究「研修旅行」 | ||
年度初めに「課題設定」のプロセスを体験後、以下から選択 | ||
いずれか選択 | 「藤嶺探究ゼミナール」 | |
進路探究「高大連携プログラム」 | ||
「課題設定」からの探究 | ||
インターンシップまたはジョブシャドウイング | ||
高3 | 全員 | 進路探究 |
個人 | 「藤嶺探究ゼミナール」 |
※さまざまな企業・組織の社員に同行し、どのような仕事をしているかを体感すること。
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