日本大学豊山女子高等学校には、英語教育と探究学習を一つのプログラムに盛り込んだ国際交流教育があります。同プログラムの一環である修学旅行は「A特進クラス」がアメリカ・ボストンへ、「N進学・理数Sクラス」はオーストラリアへ赴き、グローバルな視点で探究学習を行います。
コロナ禍で海外への修学旅行が難しくなっていた昨年、A特進クラスの担任である岩瀬央郎先生は悩んでいました。
「昨年度はコロナ禍も少し落ち着いてはきたものの、渡航についてはまだ微妙な状況でした。A特進のボストンへの修学旅行には、ハーバード大学の学生が中心となって企画する、世界で活躍できる女性を育てる『LADYプログラム』があります。このプログラムに参加したくて本校に入学した生徒も多くいるほどで、『ボストンに行けない』と告げることはとても心苦しいものがありました」
高2になった時点で選出された修学旅行委員の3人は、当時の心境を次のように話します。
「将来、海外で生活したいと考えていた私にとって、修学旅行はグローバルな視点で世界を見られるとてもいい機会でした。だからこそボストンに行けないと聞いた時はつらかったです」(Nさん)
「もしもボストンに行けないとしたら、学校が決めた代替地に、学校が決めたスケジュールで研修旅行をするのだろうな……と覚悟していました」(Kさん)
そんな落ち込む生徒たちに、岩瀬先生は「生徒自身が企画する国内修学旅行」を提案しました。
「自分たちで行き先から決める修学旅行は本校において前例がなく、想像もしていませんでした。そこで国内だとしたらまず、北方面か南方面かというところから多数決をとり、11月だとすでに寒いこともあって南方面に決まりました。そのうえでレジャーや観光だけでなく、それぞれが学びたいことをもち寄って日程に盛り込むことにしました」(Sさん)
こうして修学旅行先は九州に決定。修学旅行委員と旅行会社の方との綿密なミーティングが始まったのです。
「旅行会社の方とは、半年間くらいはやり取りを重ねたと思います。今でも旅行会社の担当の方が来校すると、必ず委員を務めていた生徒たちに声をかけてくれます。大変なことも多かったため双方の距離が縮まり、良好な関係を築けたのではないでしょうか」(岩瀬先生)
修学旅行委員の3人は「ボストンには行けなかったけれど、一人ひとりに学びがあり、成長がありました」と語ってくれました。そんな委員3人の声を紹介します。