聖望学園高等学校では2022年度より、月曜から金曜に開講する放課後講座が始動しています。同講座では、授業で学んだ基礎を復習、または志望大学合格ための『レギュラー講座』(水・木・金の15:30~16:10)に加え、新たな取り組みとして『スペシャル講座』(月・水・木・金の16:30~17:10)を開講しています。講座を担当する3人の先生方にお話を伺いました。
聖望学園高等学校では2022年度より、月曜から金曜に開講する放課後講座が始動しています。同講座では、授業で学んだ基礎を復習、または志望大学合格ための『レギュラー講座』(水・木・金の15:30~16:10)に加え、新たな取り組みとして『スペシャル講座』(月・水・木・金の16:30~17:10)を開講しています。講座を担当する3人の先生方にお話を伺いました。
「これまで課外講座を土曜日に実施していましたが、日頃から大学受験や進路に対する意識を高めて学んでほしいとの思いから、平日に放課後講座を設置することにしました」
そう話すのは、進路指導部長の渕野建史先生です。
放課後は部活動に打ち込む生徒が多くいることを考慮し、学業との両立を考え放課後講座は1講座あたり40分間としています。開講当初は「部活動を優先する生徒が多いのではないか」と心配したものの、受講者は先生方の不安をよそに上回り、大きな手応えを感じていると言います。
「部活動顧問の教員たちに呼びかけるなどして、両立しやすい環境づくりを行っています。受講者にも『遅れて部活動に参加するぶん、力を入れて取り組もう』というふうに、限られた時間を大事にしたり、部活動がない曜日に受講したりと、メリハリをつけて放課後を有効活用しようという姿勢が見られるようになっています。また、講座はすべて自由選択なので、特に遅い時間帯の『スペシャル講座』を受講する生徒はそれほど多くありません。それでも受講する生徒は熱意が高く、有意義な時間を過ごせていると思います」(渕野先生)
渕野先生は大学院時代に専攻していた分野を活かし、スペシャル講座では『日本神話の世界』を開講中。今年度の受講者は3名と少人数ですが、少人数ならではの濃密な授業が展開されていました。
「純粋な興味と好奇心をもって参加してくれるので、普段の勉強とは違う学問の世界を楽しんでほしいと思っています。『スペシャル講座』は必ずしも大学受験に直結するものではありませんが、普段の授業で扱えないものや専門性の高い学問に触れることで、進路指導としても有意義な内容にしていきたいと考えています」(渕野先生)
初年度となる2022年の『レギュラー講座』では、全10講座を開講。大学入学共通テストを見据えた『情報』や英検対策などのほか、大学受験において重要度が増している数学では『数A 応用』『数A 標準』『数Ⅰ応用』『数Ⅰ標準』『数Ⅰ基礎』と多くの講座が設置されています。そのうちの一つ『数Ⅰ標準』を担当する教務部長の小林堅二先生は次のように話します。
「大学受験対策としてはもちろん、論理的な思考を身につけるという指導方針から数学を重視しています。数学に苦手意識をもつ生徒にとって、放課後の『レギュラー講座』は改めて数学を振り返るチャンスです。普段の授業とは違う担当者の授業を受けることで、アプローチの方法が変わったり、今まで気づかなかったことに気づけたりして、新鮮な気持ちで学ぶ意欲を高めることができます。
現在は高1生のみの受講としていますが、放課後講座は学年に関係なく好きな講座を受講できるので、来年度以降は高2・高3の生徒が基礎を学び直したり、高1生が受験対策を見据えた先取り学習をしたりすることも可能になります」(小林先生)
『スペシャル講座』は単に教養を深めるだけではなく、授業以外の時間を使って学ぶ楽しさを通じて実力を養うことを目的としています。『小説の解き方』を担当する岡橋優希先生は次のように話します。
「『小説の解き方』という講座を設置した背景には、教育課程が新しくなったことにより、授業時間内で小説を扱う時間が以前よりも減ってしまったことが挙げられます。
受講生の多くは“小説が苦手”という生徒たちです。私も実は、小・中学生時代に国語の読解が苦手でしたが、中学で出会った先生に解き方を教わってからは楽しく感じるようになり、小説を専門とするようになりました。ぜひ、そうした経験をしてほしいという思いで講座に取り組んでいます。
本校では、普段の授業からグループワークを導入していますが、講座では話し合ったり、相談したりする場面がより多くなり、自分の考えや意見を話す機会が増えていきます。日頃の授業に比べ少人数なので、生徒一人ひとりの考えに深く触れられることが『スペシャル講座』の醍醐味です。
大学受験対策としての実力をつけることが同講座の目的の一つではありますが、小説は人の心の動きや思いやりの心など、道徳に近いところを扱う分野です。また、小説を読んでいるか読んでいないかで語彙力にも差が出ます。語彙力や表現力を磨くうえでも、ぜひ小説に親しんでほしいですね」(岡橋先生)
『スペシャル講座』では、高大連携も視野に入れたさまざまな講座を検討中とのこと。今後の展開が楽しみです。
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