聖望学園高等学校ではキリスト教主義教育のもと、一人ひとりの個性や能力に合ったカリキュラムを組み、生徒の成長をサポートしています。その取り組みについて、チャプレンのマイケル・ピースカー氏にお話を聞きました。
聖望学園高等学校ではキリスト教主義教育のもと、一人ひとりの個性や能力に合ったカリキュラムを組み、生徒の成長をサポートしています。その取り組みについて、チャプレンのマイケル・ピースカー氏にお話を聞きました。
「本校は、『 一人ひとりが神様に愛されている大切な存在であり、誰もが神様から能力と才能を与えられている』というキリスト教の教育理念に基づいて運営されているミッションスクールです。週に1度の礼拝や聖書の授業、賛美歌や行事などを通して、『敬・愛・信・義』を中心にキリスト教の考え方や心の在り方を教えています。
『敬』とは、大自然の全てと人間を創造した神様を敬うことを意味しますが、生徒に信仰を強制することはありません。神様という存在に思いを馳せ、大自然など人を超越した力に対して敬う気持ちを高めていくことを大切にしています。
『愛』とは、自分を愛するように人を愛することです。好き・嫌いや敵・味方に関係なく困っている人には手を差し伸べる。それは、本校で学ぶ全ての生徒たちに身につけてもらいたい生活姿勢です。
『信』とは、神様を信じることを意味しますが、クリスチャンではない生徒であっても、周囲の人を信頼し平和な関係を築いていくことを、何より大切にしてほしいと考えています。
『義』とは、正義のことです。人や周囲のことを全く考慮しないずるい人にはならないでほしい、また偏見に負けず正義を貫く強さをもってほしいと思います」(チャプレン/マイケル・ピースカー氏)
聖書の授業は、キリスト教入門、旧約聖書、新約聖書と進んでいき、高3では社会問題や生命倫理も扱います。そこでは生徒の個人的な苦悩や課題にも関わっていきます。レポートなどを通じて生徒一人ひとりと対話し、悩みを抱える生徒には1対1で相談に乗ることもあるそうです。
同校では、中学校で欠席が多い生徒や不登校の生徒などにも入試の門戸を開いてきました。また、そのような生徒たちをフォローするために、校内に適応指導教室『カイロス』を設置しています。
「カイロスでは、学校に⾏きたいけれど⾏けない、教室に入りたいけれど入れない⽣徒のために、独自の授業形態で対応しています。教室復帰を主目的に、カウンセラーが常駐し⽣徒の相談にのってきましたが、それでも転退学者が年に数名いるのが現状だったのです」
そこで2023年4月に通信制課程が新設されました。ピースカー氏は、通信制課程新設の理由を次のように話します。
「困難な事情を抱え、学ぶ意欲、卒業への意思をもちながら登校できない生徒にも対応し、卒業まで本学園で学んでほしいという思いが、通信制課程を開設した理由の一つです。
聖書に『見失った羊のたとえ』という一節があります。━━100匹の羊の中から1匹の羊が迷い出てしまった。良い羊飼いは、99匹の羊を残しても見失った1匹を探しに行った━━という話で、一人ひとりがどれほど大切な存在かを説いた例えです。本校においても、一人として取り残さない学びを実践しています」
通信制課程では、一人ひとりの生活サイクルに合わせた自由登校型を採用。希望に応じて全日制の学校行事や部活動にも参加でき、全日制への転籍も可能としています。
「本校では、一人ひとりが条件なしに大切な存在であり、尊重されなければならないということを何より大切にしています。生徒が秘めている能力や可能性は皆それぞれ違いますから、そこを開花させる方法もさまざまです。そのために、生徒がおかれている状況やさまざまな事情を理解し、精いっぱいサポートしていきます」
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