9月10日(土)・11日(日)の2日間にわたり、武蔵越生高等学校で開催された「けやき祭」。第56回を迎えた今年は感染防止対策として、飲食はカフェテリア限定とし、終了時間を13時に短縮して行われました。一昨年の「けやき祭」はコロナ禍によって中止となり、昨年は生徒のみで行われたため、一般公開(予約制)は3年ぶりです。会場には笑顔があふれ、大きな盛り上がりを見せました。
9月10日(土)・11日(日)の2日間にわたり、武蔵越生高等学校で開催された「けやき祭」。第56回を迎えた今年は感染防止対策として、飲食はカフェテリア限定とし、終了時間を13時に短縮して行われました。一昨年の「けやき祭」はコロナ禍によって中止となり、昨年は生徒のみで行われたため、一般公開(予約制)は3年ぶりです。会場には笑顔があふれ、大きな盛り上がりを見せました。
地域のイベントなどで年間30カ所以上の公演活動のほか、定期演奏会も行っている和太鼓部。同部の演奏はテレビでも紹介されています。
中国や日本の優れた作品を鑑賞し、本格的な書作品の制作をめざす書道部。パフォーマンスでは開催の喜びを、筆文字で力強く表現しました。
茶道の作法だけでなく、浴衣の着方や手作り茶碗の作成、障子の張り方などさまざまなことにも取り組む茶道部。浴衣を着て、来場者におもてなしをしました。
英語を楽しむことを目的に活動する英語部は、英語の絵本を紹介
グループ単位での活動がメインの軽音楽部はライブを開催
「何ができるか」ではなく、「これをしたい!」という目的意識をもって活動する生徒たち。コンピュータ室で作品を発表しました。
生徒会本部のメンバーたち。
“体育館ステージ”と呼ばれる舞台で圧巻の演奏をするのは和太鼓部。今年の夏に全国大会(全国高等学校総合文化祭)に出場し、創部以来2度目となるA評価を獲得するなどの実績を誇ります。演奏した曲のタイトルは『羽ばたき~new generation~』と『飛翔~new journey~』です。
続いて、昨年誕生したばかりの書道部の部員2名が、大きな紙に筆で文字を書くパフォーマンスを繰り広げました。ステージ上の生徒も、観客席の生徒や来場者も、その表情から「けやき祭」を心から楽しんでいる様子が伝わります。
各教室では「ロックオンサバイバル」「ギネスに挑戦」「ウォーリーを探せ」などのゲームを開催。生徒と担任の先生は、クラスごとにデザインしたTシャツを着て、来場者をもてなしています。
一方、茶道部が抹茶Cafeをオープン。軽音楽部がライブを、科学部が理科実験と展示発表を行うなど、日々の活動成果を披露していました。どの展示やイベントも、今年の「けやき祭」のテーマである「彩(いろどり)」にふさわしい華やかな内容です。
「けやき祭」の企画・運営にあたっているのが57名の実行委員と、生徒会役員である生徒会本部の9名です。その中から役員2名に話を聞いてみました。生徒会副会長の神茉旺さん(高3)は、次のように話します。
「『けやき祭』は実行委員長と副実行委員長のリーダーシップのもと、メイン企画係や装飾係、広報係、門係などに分かれて準備・運営にあたります。生徒会本部の役員は、実行委員のサポート役として各係のメンバーになり、各係長の指示のもとにお手伝いをします。このように生徒会本部の役員は、ほとんどの行事でサポート役に徹します。いってみれば、縁の下の力持ち的な存在です。
私はステージ係を担当しました。『けやき祭』では体育館ステージで2日間にわたり、吹奏楽部、和太鼓部、チアリーダー部が演奏や演技を発表します。私はステージ係として各部に出演依頼をするとともに、発表する時間の配分を決めました。そして、当日は予定通りに進行しているかを確認し、時間を記録しました。また、司会を務める実行委員がスムーズに動けるようにアシストもしました。
武蔵越生に入学したきっかけは、中学生の時に『けやき祭』を見に行ったことです。生徒みんなの笑顔を見て、また温かな校風を感じて、この学校に入学したいと思いました。でも、楽しみにしていた『けやき祭』が1年生の時にコロナで中止となってしまいました。
2年生の時は開催できましたが、来場者は呼ばずに規模を縮小することになりました。その分、今年は『けやき祭』を開催できると聞いて、うれしさで胸がいっぱいになりました。しかも、生徒会役員として運営に携わることができたのです。それだけに、多くの来場者を見て感動しました。
私が副会長に立候補したのは、人前で話したり、リーダーシップを発揮したりすることに苦手意識をもっていた自分を変えたかったからです。副会長の仕事や『けやき祭』の準備を通して、少しずつ自分の弱点を克服することができました。チームワークの大切さも実感できました。将来の目標は医療系の仕事に就くことです。こうして学んだことをチーム医療に活かしたいと思っています」
生徒会補佐の森谷岬さん(高1)は次のように話します。
「僕は広報係を担当して、『けやき祭』のパンフレット制作に携わりました。表紙の絵はポスターにも使われています。この絵は生徒から募集した作品の中から、広報係のメンバーが投票して決めました。僕たち広報係は『けやき祭』に多くの人が足を運んでくれるように、通学で使う東武越生線の駅に行き、駅員さんにこのポスターを貼らせてくれるようにお願いしました。
僕が通っていた中学校ではコロナでも文化祭は行われましたが、規模が小さなものでした。そのため、高校の文化祭に期待していました。こうして『けやき祭』を開催することができ、多くの来場者で賑わって、本当によかったと思っています。
現在、僕は生徒会補佐で、まだ役職にはついていません。生徒会本部の役員になったのは会長に立候補するためでした。でも、『けやき祭』を通して行事を陰で支える仕事のやりがいを知ったので、副会長に立候補しようと思っています。副会長ならあまり表に出ることなく、会長をサポートすることができるからです。
『けやき祭』の準備で、僕は人とのコミュニケーションの難しさを実感しました。自分の思っていることがうまく伝わらなかったり、僕が良いと思ってやったことも、相手はそう感じていなかったりすることが多かったのです。そこで、相手の意見をしっかりと聞いたうえで、自分の考えをわかりやすく表現しようと努めました。その結果、相手に僕の考えや思いが以前よりも伝わるようになりました。
今、児童心理学に関心をもっているので、大学でこの分野を研究したいと思っています。子どもの頃はいろいろなものがキラキラと輝いていました。僕は初めて海を見た感動を今も覚えています。こうした児童心理について学び、将来は、子どもたちの未来を支えることができるような仕事につきたいと思っています」
同校の建学の精神は「行うことによって学ぶ」です。「けやき祭」が、神さんと森谷さんに数多くの学びや気づきを与えたようです。
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