第1ラウンドのテーマは「洋画を観るなら吹き替え版より字幕版がよい」。司会・審判を務めるグループが正面に、その両脇に肯定派と否定派のグループが向かい合って座り、残る半数の生徒は後部席でディベートを傍聴しながら「傍聴シート」に所見を書き込みます。
司会者の「まずは肯定側の立論です。5分以内でお願いします」の声とともに、肯定派の1人の生徒が立ち上がりました。
「アカデミー賞の選考基準として俳優の演技のなかで重要な要素の一つとされているのが声の質。俳優本人の声を聴くことで、そのシーンの息遣いや笑い声といった絶妙な空気感や臨場感を余すところなく観ることができるといえます」
続いて2人目です。
「吹き替えキャストについて述べます。吹き替え版の声優は、興行収入を伸ばすため、話題性のあるアイドルや俳優が起用されるなど、質より話題性や知名度が優先される傾向にあるため、映画の質が吹き替えによって損なわれることがあると言えます」
3人目の生徒は電子黒板に、「吹き替え版と字幕版の上映割合」という調査結果の円グラフを表示し、立論を行いました。
「このデータは2021年、映画会社によって行われた調査結果です。現在では、吹き替え版が3~4割、字幕版が6~7割となっており、この結果から、吹き替えよりも字幕のほうが良いと言えるのではないかと思います」
5分経過したところで否定派からの質問です。否定派は、グループ内で質問内容を考えます。
否定派が「データから字幕のほうがいいと思った理由は何ですか?」と質問すると、肯定派は「字幕上映のほうが多いということは、それだけ需要があり、相応のメリットがあるということだと思います」と反論。
時に脱線する場面もありながら、司会者の仕切りで軌道修正し、ディベートは進んでいきます。