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文章読解力を高める
リーディング・ワークショップ

正則学園高等学校

〒101-8456
東京都千代田区神田錦町3-1

TEL:03-3295-3011

学校情報 学校HP

興味・関心をもった本を選び
時間をつくって読む習慣を

 創立は明治29(1896)年。120年以上の歴史を誇る男子校・正則学園高等学校で、今年の春から新たな取り組みがスタートしました。1年生を対象とする「リーディング・ワークショップ」です。国語の時間を利用して週に1回、図書館で行われています。

「リーディング・ワークショップに期待すること」と題されたプリントには「今の自分にとって、過去の自分にとって、これからなりたい自分にとって、大切な本、作家、内容、ジャンル、テーマを見つけよう」「最近、読み終わった本から1冊選び、気づいたこと、鑑賞したことについて、1カ月に一度、レター・エッセイを書こう」などと記されていました。

 取材したこの日は、生徒が歌人・俵万智さんの短歌を読み、自分が思い描いた情景を記した文章をクラスメートと交換することから始まりました。その短歌は「今日までに私がついた嘘なんてどうでもいいよというような海」です。

人物の性別や年齢、服装なども想像

 すでに前回のリーディング・ワークショップで生徒一人ひとりがこの短歌からイメージした情景を、国語科主任の小澤洋祐先生が用意したプリントに記しています。そのプリントには小澤先生による「イメージのヒント」が掲載され、生徒はそれに沿って情景を言葉にしていました。ヒントは「どんな海?」「天気は?」「時刻は?」「人物の性別や年齢、髪型、服装は?」「ここに至る人物のドラマも想像する」などです。

 山﨑大樹さんは情景をこのようにイメージしていました。

「砂浜から見た海は、月の光をほのかに反射して、波は私の足をやさしくぬらし、母の元に帰る子のように海へと戻っていく。潮風は流行に乗って切った私の髪をいたずらに揺らし、何事もなかったかのように去っていく ―中略― いつも周囲の顔色をうかがい、嫌な顔一つせず笑顔でいた私を、母のように『まわりのことなんてどうでもいいんだよ』と語りかけているような気がした」

 生徒は自分が頭の中で描いた情景を記したプリントを周囲の生徒と交換。それぞれが思い描く情景が一人ひとり違うことを確認します。そんな生徒たちに向けて、小澤先生は次のように語りかけました。

「一人ひとりによって違うイメージを統一するために『描写』が存在します。作者は『描写』によって『この場面はこういうふうに思い描いてしてほしい』という願いを込めて、文章を書いているわけです。その場面で登場人物がどんな表情をし、どんな思いを抱き、どんなことを考えているのかは、文章中にきちんと記されています。これらを読み取ることで、小説の読解ができるようになります。

 では、この後は読書の時間に移ります。これまで読んでいた本や、タイトルを見て面白そうだと思った本を手に取って読んでください。小説を選んだ人は、筆者が記した情報をヒントにしながら頭の中で映像化して読んでみてください。評論文を読む場合は具体例が記されている箇所をよく読み、イメージしてみてください」

先生インタビュー

問題を解く力も身につける

小澤洋祐先生/国語科主任 小澤洋祐先生/国語科主任

 生徒が活字に親しんでいる時間、小澤先生にお話を伺いました。

「幼い頃から中学生まで本を読んでいても、高校に入って読書週間が途切れてしまう生徒や、読書経験のない生徒もいます。こうした生徒のために、この『リーディング・ワークショップ』をスタートさせました。目的のひとつは、自分の興味・関心をもった本を選び、時間をつくって読むという、自立した読書ができるようになることです。

 そして多くの作品に触れることで、作者がどういう狙いをもって書いているのかを意識できるようにします。すると、客観的に読む視点が得られ、文章読解力が高められるのです。

 定期テストや入試では、国語はもちろん、社会や理科の問題が日本語で出題されます。このワークショップで出題者の意図を読み取り、その根拠となる箇所を見つけて問題を解く力を育んでほしいと考えています。これが、もうひとつの目的です。たとえば、国語の問題で「なぜ、この人は歯を食いしばっているのですか?」と問われた時、そこに至るまでの映像が頭に浮かんでいれば、正解を導き出すことができるはずです。

 さらにもうひとつの目的は、相手に伝わる文章を書けるようにすること。俵万智さんの短歌を読んだイメージが人によって違うように、相手によって文章の捉え方はさまざまです。うまく伝わらないケースもあります。読書を通じて、どのように書けば、自分の思いや考えが相手にわかりやすく伝わるのかを学んでほしいと思います。

 これから、生徒の『この作者のこの本を読みたい』というリクエストに応えて図書館の本を増やしながら、このワークショップを3年間続けていきたいと考えています」

生徒インタビュー

読書を自分の成長の糧にしたい

山﨑大樹さん(高1)
瀬田惇眞あずまさん(高1)

 ワークショップの後、2人の生徒に話を聞きました。1人はすでに短歌の情景で紹介した山﨑さん(ボードゲーム同好会・ビッグバンド部に所属)と、瀬田さん(鉄道模型研究部と「花いけ男子部」に所属)です。

山﨑さん
読書は幼い頃から大好きで、父の本棚から自分が興味のある本を選んで読んでいました。これまで気にかけていませんでしたが、リーディング・ワークショップに参加するようになってから、物語の場面のひとつひとつを映像化したり、伏線が物語の結末とどう結びつくのかを考えたりして読むようになりました。

今日、図書室で読んだのは、星新一さんの短編集『ボッコちゃん』です。この小説家のことは、テレビドラマ化された作品を見て知りました。星新一さんの作品は読んでいて深く考えさせられ、想像力が大きくふくらんでいきます。

このワークショップを通じて、ほかの小説家の作品もたくさん読み、自分の成長の糧にできたらと思っています。

瀬田さん
俵万智さんの短歌を読んで、この人物は人生のすべてを諦め、この世界から消えようとしている女性のイメージがわきました。でも、山﨑くんのイメージを読み、そうではなく海が女性をやさしく応援してくれていることに気づきました。

僕も小学生の頃から本が好きでした。電車やバスのなかで読むことが多かったので、こうして図書館で読書をすると新鮮に感じます。小学校時代の僕は、流し読みをして1回読んでから、もう一度読み直す読書をしていましたが、このワークショップを通じて、最初からじっくりと読む習慣が身につきました。

今日、僕が読んでいた本は、一般社団法人首都高速道路協会がまとめた『都市の道路に夢を託した男たち 首都高速物語』です。鉄道だけでなく、道路にも興味があったので、この本を選びました。これからも鉄道や道路に関する本をたくさん読んで、知識をさらに深めたいと思っています。

「登場人物がどんな表情をし、どんな思いを抱き、どんなことを考えているのかは、文章中にきちんと記されています」とヒントを与えながら誘導していく小澤先生。
短歌を読んだイメージをみんなで読み合い、捉え方が生徒によって違うことを知ります。
本を選ぶ生徒たち。迷っている生徒には小澤先生がアドバイスします。
真剣な眼差しで読書に集中する生徒たち。
「短歌からのイメージを作ってみた感想」「短歌からのイメージを共有した感想」を記入。自分の思いや考えを相手にわかりやすく伝えることを学んでいきます。

学校情報

男子校
正則学園高等学校

〒101-8456
東京都千代田区神田錦町3-1

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