アスリートコース同士の対戦となった決勝、そして3位決定戦で圧倒的なパフォーマンスを見せたバスケのトーナメント。
アタックを決める瞬間! 周囲から大歓声があがります。
白熱の試合展開を見せるサッカー
卓球部員が審判員、記録員を行い、大会進行・運営をサポート
個々の能力のみならず、作戦が勝敗に大きく影響します。
球技大会の指揮系統を担う運営本部。各競技会場から届けられる結果をもとにトーナメント表を更新します。
カラフルなユニフォームも見どころのひとつ。Tシャツは1年生、ポロシャツは2年生、ゲームシャツは3年生です。
『人格を尊重しよう 平和を心につちかおう』をモットーに、人間教育と文武両道を重視する八王子学園八王子高等学校。そのために大切にされているのが、学力面はもちろん、スポーツ面や芸術面、さらには特技面などにおいても生徒が能力を磨けるような環境作りです。毎年9月に開催している球技大会は、その代表的な行事のひとつです。
「本校は生徒数が多い学校(※1学年およそ500名×3学年)」で、たとえば東大をめざしている生徒から、プロスポーツ選手やアーティストなど、いろいろな方面で能力を発揮しようと頑張っている生徒までがたくさんいます。ですが、普段の生活はおのおののクラスや部活動など限られた範囲が中心となるため、生徒数が多いわりにどうしても世界が狭くなります。そうした意味において、球技大会や文化祭、体育祭はお互いの個性に触れ合い、知り合う機会として、とても大事なものなのです」(募集広報部部長/嵐悟先生)
今年(2022年)の球技大会は、9月8日(木)・9日(金)の2日間にわたり、同校の体育館、グラウンド、ピロティを舞台に行われました。種目はサッカー、バスケットボール、バレーボール、卓球、ドッジボールの5競技。各学年それぞれで4団(赤・青・黄・緑)に分かれ、団優勝、総合優勝、そして全競技ごとの1位~3位を決めていきます(それぞれ男女別)。
運営上の特徴は、種目の決定から組み合わせ、メンバー表などの作成はもちろん、各会場の状況を見極めながら大会を進行させる舵取り役までを、生徒が中心となって担っているところにあります。
「どの競技をどのようなルールで、どのような対戦形式で行っていくかといったところも生徒が中心となって進めています。審判も生徒、試合結果を記録するのも、それを運営スタッフ(生徒会)に伝えるのも生徒です。スタッフはそれを運営本部に持ち帰り、大会進行に反映するなど大会全体をコントロールしています」
コロナ禍にあっても、同校はさまざまな工夫・対策を凝らしながら積極的にイベント・行事を実施していますが、その背景には“イベント・行事は生徒の、生徒による、生徒のためのもの”という同校の考え方も影響していると嵐先生は話します。
「私たち教員が中心となって行っているのであれば、ある意味『学校都合で中止』という形も取りやすいのですが、本校はあくまで生徒中心というスタンスのため、それを簡単に止めるわけにはいかないのです。もちろん、コロナなどへの対策は教員がイニシアチブを取るのが前提です」
各競技の現役部員の参加を許可しているのも球技大会の特徴です。とはいえ、それだと力の差が歴然としてしまうのでは……。
「球技大会のコンセプトのひとつに、“楽しむ”があります。そこには純粋に競技を楽しむこと、クラスの仲間を応援すること、あるいは各部で活動している生徒たちのすごいプレーを見て楽しむことも含まれています。そのなかで『こんなすごい選手がウチの学校にいたんだ!』『やっぱり勝てない! でも悔しいな……』といったように、お互いの個性に触れることで刺激を与え合うことが大事だと本校では考えているのです」
競技によっては「特進クラス」のチームが「アスリートコース」のチームに勝つこともあるそうです。「それって醍醐味ですよね」と嵐先生は笑顔を見せます。そんな番狂わせは稀ではありますが、何が起きるかわからないのも球技大会の魅力のひとつ。各会場で繰り広げられている試合を食い入るように見つめ、応援するクラスメートたちの熱気も熱戦を演出します。
「球技大会は、やはりクラス作りにとても大事なんです。4つの団で優勝を競うのですが、基本的にはクラス単位でチームを編成するので、こうして応援していくなかで勝敗を共有し合う。そのなかでクラスの一体感が生まれてくる。球技大会の一番の魅力は、そこにあると思っています」
生徒の、生徒による、生徒のための球技大会。生徒一人ひとりがより充実した学校生活を送るための“仕掛け”の成果は、生徒たちのイキイキとした表情とあふれんばかりの笑顔に表れていました。
中学時代はサッカー部に所属していたのですが、高校では新たなことにチャレンジしてみようと思い、生徒会に入りました。主に球技大会や体育祭の運営をとりまとめるのが僕たち生徒会執行部体育系の役割です。大会期間中は運営本部で各クラスからメンバー表を受け取ってトーナメント表を組んだりしているのですが、組み合わせに偏りをなくすことや同じクラスが対戦しないようにするのは難しく、大変な部分もあります。でも、そこを乗り越えて得られる達成感は最高です。みんなの笑顔や「楽しかった!」という声を見聞きすると、やっぱりうれしいです。
この学校の掲載記事をピックアップしました。