高校時代は委員会活動が盛り上がっていた記憶があります。私自身は委員会に所属していなかったので、在学中は「活発だ」とは思っていませんでしたが、振り返ると文化祭実行委員や生徒会活動など、いろいろな委員会が協働していました。
本校は1964年の東京オリンピック開催を機に始まった「小さな親切運動」に、高校として日本で初めて全校加盟しました。私の在学中は『ちいしん(小親)』という愛称で呼ばれ、友達の間でも一目置かれるような活動をしていました。
『ちいしん』のなかでも印象的だったのは、「拡大写本」です。これは視覚障がいのある子どものために絵本の文字を大きく書いて、絵も描いて製本し、学校に持っていく活動です。当時はパソコンがなく、すべて手書きでした。傍らに先生がいた記憶はなく、「ちいしん」の生徒とその仲間が主体的に活動していた記憶があり、今思えば「報恩奉仕」の実践でした。私も友達に誘われて手伝っていましたが、「困っている人を助けよう」とか、「社会奉仕をしたい」という気持ちは義務でなく、校風として受け継がれていると思います。
ここ数年、コロナ禍で学校生活は多くの制限を強いられています。私は昨年まで学年主任を務めていましたが、この春に卒業した3年生は学校行事がことごとく中止になった学年で、修学旅行にも行けず、その無念さを肌で感じていました。生徒たちとはたくさん話をして、「体育大会だけでもやりたい!」という強い気持ちを受けて、学年だけの体育大会を実施しました。
このような社会状況下でも、考えて精一杯頑張っている彼らの姿を見て、学校生活には、勉強以外にも行事、特別活動や部活動が重要であることを再認識しました。一人ひとりが輝ける場所を見つけ、さまざまな経験を通して成長していけるようにサポートしていきたいです。