「消防士になるためには、法律の知識も必要です。そのために、国士舘大学の法学部に進学しようと思っています」と話す飯居さんはバドミントン部に所属。好きな科目は体育と数学だそうです。飯居さんは中学生の頃、消防士をしている親戚から人命救助の意義と素晴らしさを聞いて以来、この仕事をめざすようになったといいます。
「今日の防災学習では、防災や減災、また避難行動について貴重なお話を聞くことができました。中林先生によれば、国士舘が中高大を通じて防災教育を重視している理由は『人を助ける強さと優しさをもってもらいたい』という願いがあるからだそうです。このメッセージが、消防士をめざす僕の心に残りました。強いだけなら、災害時に生き残ることはできるかもしれません。しかし、さらに大切なことは、多くの人たちと協力して困難を乗り越えていくことであり、その意識が優しさにつながるのだと改めて知りました」
そこで飯居さんは中林先生が述べた「自助・共助・公助」の考えに強く共感したといいます。「自助」は自分の身を自分の努力によって守ること、「共助」は地域や近隣の人が互いに協力して避難や救助を行うこと、「公助」は国や都道府県の行政、消防機関などの公的機関による救助や援助などです。
1995年に発生した阪神大震災では、倒壊した家から自力で、また、家族や周りの人の助けを借りて脱出できた人が、救助された人全体の約8割を占めていたといいます。残りの約2割が消防署や警察、自衛隊などによる『公助』です。公的機関は8,000人も救助しているのですが、災害の規模が大き過ぎたために、こうした割合になったのだと中林先生は語っていました。
「消防士が担う『公助』とともに大切なことが、『自助』と『共助』であることを知りました。僕が消防士になったら、『自助』と『共助』の必要性も、広く伝えていきたいと思います」
最後に飯居さんは、この防災学習の感想をこんな言葉にしました。
「今回、白樺湖を訪れ、自然の美しさに触れて心が安らぎましたが、この自然は人に恵みをもたらすだけでなく、大きな災害をもたらすことに気づきました。そして、消防士の仕事に就いて社会に貢献し、人々に笑顔と安心を届けたいという思いがますます強まりました」