大宮開成高等学校の校訓は『愛 知 和』の3つの精神で構成されています。「愛」は「利他の精神」を、「知」は「豊かな知性と知識」を、「和」は「愛と知の調和・多様性」を表わしています。そんな同校は今春(2021年度)の大学入試において、過去最高となる進学実績をあげて注目されています。
大宮開成高等学校の校訓は『愛 知 和』の3つの精神で構成されています。「愛」は「利他の精神」を、「知」は「豊かな知性と知識」を、「和」は「愛と知の調和・多様性」を表わしています。そんな同校は今春(2021年度)の大学入試において、過去最高となる進学実績をあげて注目されています。
2021年度の大学入試は、大学入学共通テストの2年目ということで、出題内容の難化が予想されていました。事実、数学が非常に難しくなっており、判定もかなり厳しいものとなりました。ただそのようななかでも、東京大学に合格した生徒が2名、京都大学に合格した生徒が1名出ました。
3名とも大学入学共通テストの段階ではD判定、あるいはE判定と厳しい現実を突きつけられましたが、だからといって彼ら自身ひるむことなく、我々もむしろ果敢に挑戦させていく、これまでの頑張りを信じて背中を押していくことを徹底し、二次試験対策にも力を入れていったのです。大事になるのは自分の今までの頑張りを信じて最後まで妥協しないという姿勢です。簡単に諦めさせないという教員側の粘りも重要です。要は生徒の「目線を下げさせない」ということなのです。
全体的に見ても予備校に通っている生徒はほんの1〜2割で、それ以外の生徒は、いわゆる学校完結型の環境のなかで学んでいるのも本校の特徴の一つです。ちなみに早稲田大学と慶應義塾大学、両大学の合格実績も過去最高のものになりました。とくに慶應の文学部の場合、小論文があったり、辞書持ち込み可の英語の試験があったりと、他大学とは異なる方式に戸惑う生徒が多かったのは事実です。ですが、消極的になりがちな姿勢を正し、「一つ上の先輩たちはこうやって合格を勝ち取った」などのポジティブな話を披露しながら、「自分もこの先生についていけば合格できる」という感覚をもってもらえるよう努めました。
そうですね。大学入学共通テストの時点で本当に数学の点数が低かった生徒もいたのですが、“諦めずに挑戦させた”という部分が大きかったと思っています。一人ひとりの現状を度数分布表などで分析したり、高3の9月以降は毎月二者面談をしたりと、かなりきめ細やかに進路指導をしてきた結果でもあります。
一方、本校は埼玉県南部に位置する高校ということもあり、東京の私立、特にGMARCHを希望進路に入学してくる生徒も大勢います。本校は個を大切にすることも指導方針としていますので、のべの合格者数だけでなく、実際にGMARCHや国公立に合格した実人数の割合も学校目標として追求しています。
基本的に本校の指導スタイルは、「人間力の器をきちんと作り、その上に学力が宿る」という考え方にこだわっています。その核となるのが、校訓『愛知和』です。人間教育的な部分と学力的な部分の融合といいますか、知識一辺倒の頭でっかちでもいけないですし、逆に人間性に優れていても専門的な知識が不足するようでは困ります。そこで2019年度より、土曜日の新たな学校活動として始まったのが、大宮開成流のアクティブラーニング実践の場でもある『愛知和ラーニング』です。
土曜日の総合的な探究の時間を活用したもので、90分×2コマです。高1・高2が対象の『PRO(プロ)講座』では、40種類以上の講座を用意しています。講座のジャンルは大きく分けると「探究系講座」と「学習系講座」があります。
一方、大学受験を間近に控えた高3には、20種類程度の特別講座からなる『大学入試対策講座』があります。英・国・数・理・社それぞれが入試対策に完全対応しており、志望大学はもちろん、より上位の大学への現役合格を勝ち取ることを目標としています。
そのとおりで、実は『愛知和ラーニング』を導入する以前は、その枠の中に予備校の講座を入れていたのです。確かにある程度までは進学実績は上がりましたが、それ以上の伸びが期待できないのではないかとの議論が校内で出ていたのです。だとしたら、土曜日は学力面ばかりでなく、もっと“人間の器”という部分の育成を大切にするべきではないかとの結論に至ったのです。もっとはっきり言えば、もう一皮むけた“本物の進学校”になるための新たな挑戦でもあります。
いざ始めてみると、非常にイキイキと調べ学習に取り組んだり、自ら進んで発表したり、仲間同士で活発に意見を交換し合ったりと、文字どおりアクティブな学びの時間になっています。やはり10代の子どもたちの可能性というものを、初めから低く見てはいけないと再認識しています。これからもそういった機会を私たちが積極的につくっていかなければと考えています。
たとえば、私たちは『CORE(コア)の時間』と呼んでいますが、みんなで学校行事をつくり上げながら、仲間同士の絆を強める時間を設けています。その一つが「プレ体育祭」です。
体育祭は年に1回が一般的ですが、学年間の枠組みを取り払った貴重な異学年交流の場としてもっとじっくりと取り組むのも、人間力向上においてとても良い効果が発揮できると考えたからです。
去る4月、さっそく高1と高2だけで半日のプレ体育祭を挙行しました。競技も種目も運営もすべて生徒主体で、一人ひとりが主体的にイキイキと活動し、さまざまなことを自分事として取り組む姿勢が素晴らしかったです。今度は高3だけのプレ体育祭もやる予定です。高1と高2、そして高3がそれぞれのプレ体育祭で培った気づきや体験を、6月の本番でもうワンランク上に昇華させた形で披露してほしいと思っています。
多分ないと思います。さらにもう1つ、コロナ禍でこの2年間開催できなかった『合唱コンクール』を、新たに『合唱祭』と命名して、もうワンランク上の行事へと進化させるプロジェクトも始まっています。実は、生徒の学ぶ意識が高い学校ほど、学校行事が盛り上がるというデータもあるのです。真面目に歌う生徒を揶揄するような負の環境もありません。発表の場は校内ではなく、外部の会場を借りて行う予定です。みんなで声を一つに合わせて歌い上げる感動のシーンがたくさん生まれることを期待しています。ちなみに、これを機に6月の『体育祭』、10月の『文化祭』、2月の『合唱祭』を合わせて、大宮開成の三大祭としていきます。
そうです。『愛知和ラーニング』とは、一言でいうと大宮開成流のリベラルアーツ育成の試みです。『PRO(プロ)講座』も『CORE(コア)の時間』も、また『大学入試対策講座』も、それぞれが独立しているのではなく、すべてつながっているとお考えください。大学進学からその先の社会で必ず役に立つ生きる力を、『愛知和ラーニング』を通して学んでほしいと思っています。そうすると自ずと志望校のランクも高くなっていき、3年間の高校生活がさらに充実したものとなるでしょう。
学校の中では失敗することも大事です。失敗を次の成功へとつなげて、よりたくましく成長していってほしいです。大宮開成はそれができる学校です。「自分はこんな人間になりたい」「社会の中でこのように生きていきたい」と、今はまだ漠然とした想いでかまいません。いずれも簡単には答えの出せない問いですが、『愛知和ラーニング』の時間を通して、そのような問いに向き合い、成長し、それぞれが思い描く進路へと歩んでいってもらいたいと思っています。
探究系講座 | 教科発展型講座 | 天気予報の基礎、少年漫画の哲学的冒険、数字推理ゲームで学ぶ、東京大学英語探究 |
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実験講座 | 血液を用いた実験、科学実験、基礎生物実験 | |
教養講座 | Rueda de Casino、西洋美術史、プレゼンスキルを磨こう | |
スポーツ講座 | 障がい者スポーツ(ボッチャ)、初めてのボクシング、触れてみよう!4つのベースボール型 | |
学習系講座 | 授業型講座 | 批評理論入門、リスニング上達のための勉強法、大学入試問題を解く 確率編 |
検定講座 | 数学オリンピックを通じて考える楽しさを知ろう、英検2級対策講座、簿記 初歩の初歩講座 |
英語 | 数学 | 国語 | 理科 | 社会 |
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