この春、二松学舎大学附属高等学校に鵜飼敦之校長先生が着任されました。「キャンパスから徒歩圏内に歴史を肌で感じられる場所があるので、ワクワクします」と語る鵜飼校長の専門は日本史です。都心にありながら緑あふれるキャンパスでお話を伺いました。
この春、二松学舎大学附属高等学校に鵜飼敦之校長先生が着任されました。「キャンパスから徒歩圏内に歴史を肌で感じられる場所があるので、ワクワクします」と語る鵜飼校長の専門は日本史です。都心にありながら緑あふれるキャンパスでお話を伺いました。
本校は明治10年に、漢学者であり法律家でもある三島中洲先生によって創立された漢学塾から始まりました。当時はヨーロッパから文化や学問が流入してきた時期です。西洋文明をどんどん取り入れようという時代の流れのなかで、「ちょっと待て、東洋に古くからある伝統的な考え方や学問も大切にすべきではないか」という思いのもとに創立されました。まず日本文化を学び、世界に視野を広げて新時代に活躍できる人材を輩出するというコンセプトは、創立以来変わっていません。
本校に着任したとき、私は3つのことを大切にしようと話しました。
1つ目は「授業を大切にしよう」です。私たちは2年半もの間、コロナ禍で休校やリモート授業を経験し、対面授業の意義を改めて認識しました。コロナ禍が始まった頃、私は東京都教育委員会で先生に向けた研修の企画・運営を行っていましたが、研修の多くがリモート等になり、先生方からは「子どもたちと対面できない。もどかしい」との声があがっていました。
本校ではすでに一人1台がiPadを持ち、ICT教育が進んでいましたが、初めて体験するコロナ禍における学習は、先生方も試行錯誤を重ねながら進めてきました。ようやく本来の学校生活が始まった今こそ、日々の授業を大切にしてほしいと思います。
また、自習室には卒業生チューターが在室し、生徒たちの相談に乗っています。今年は史学科、歴史文化学科、物理学科、メディアコミュニケーション学科に進学した4人の大学生がチューターとして来てくれました。大学生は生徒たちにとって身近な存在です。大学生活のこと、受験のこと、日々の学習の仕方など、何でも相談できる頼もしい存在です。
2つ目は部活動や行事など、授業以外の特別活動にも積極的に取り組もうということです。本校は「二兎を追う」だけでなく、勉強、学校行事、部活動の「三兎を追う」を合言葉にしてきました。
たとえば本校の野球部は甲子園の常連校と言われますが、活躍する部活動は野球部だけではありません。試合に出場すればチアリーダー部、応援同好会、そして吹奏楽部の「応援3部」が駆けつけます。ダンス部も全国レベルの大会で活躍し、そのダンス部をめざして入学する生徒も増えてきました。行事も部活動も仲間と切磋琢磨し、協働することで、人間を大きく成長させてくれます。
3つ目は「凡事徹底」です。これは当たり前のことを当たり前にできるようにするという意味ですが、校長としての着任の挨拶では、まずは時間を守り自分の学習環境を整え、挨拶をしっかりとしようと伝えました。
日々の学校生活の中で感じたこと、伝えたいことは、「二松から飛翔へ」とした校長室だよりを通して、ホームページ上で日々発信していきたいと思います。
本校のカリキュラムの特徴の一つに『論語』があります。論語は中国の思想家、孔子の言語録です。『論語』では、「学び」について「知る」「好む」「楽しむ」の3段階で表現しています。担当教科としては国語科ですが、学びの3段階はどの教科にも通じるものであり、人間としてのあり方を学ぶ学問といえます。
同じことが、私の専門である日本史にも言えると思います。日本史は“暗記する教科”と思われがちですが、実際は暗記だけではありません。歴史を自分の人生に当てはめて、自分はどう生きていくべきか、あるいは社会はどうあるべきかを考える科目です。
私は小学校の文集に「将来は歴史の先生になりたい」と綴っていました。その夢を実現できたわけですが、皆さんも歴史から自分の人生を見つめて、夢をもち、実現してほしいと思います。
二松学舎大学附属高等学校は都心にありながら、緑豊かな学習環境です。キャンパスにつづく九段坂は、昔は東京湾や房総半島が見渡せる坂だったそうです。江戸の伝統や文化遺産を身近に感じられる場所で、心を育み、仲間と対話しながらそれぞれのチャレンジをしてください。
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