活動は中高合同(中学15名/高校25名)。「やるからにはやる!」がモットーの競走部です。
顧問の栗本恭宏先生(保健体育科)。中高大と陸上部の砲丸投げ選手として活躍。
ストレッチやアップの後は、短距離と長距離に分かれて練習を行います。
相手ではなく、自分自身との戦いの要素が強い陸上競技。そこが魅力であり難しさでもあるそうです。
部活動を頑張ったということが、将来の「心の支え=武器」になってくれるとうれしいと話す栗本先生。
中学生と一緒に練習することで、気づきが生まれることもあるのだとか。
陸上競技の走る種目に特化した「競走部」の活動方針は「一人ひとりが目標をもち、それに向かってやりきること」です。
「部員には経験者もいれば未経験者もいて、目標もそれぞれ都大会や関東大会、全国大会出場をめざす者もいれば、自己ベストを出すことや楽しく活動することを主眼とする者など、本当にいろいろですが、それでいいというのが部の考え方です」と話す顧問の栗本恭宏先生。目標はそれぞれでOK。ただし、“やるからにはやるぞ!”という言葉を常に伝えているそうです。「部活動を始めよう、競走部に入ろうなど、理由もそれぞれですが、自分で“やる”と決めたのであれば、そこはしっかりやりきろうと話しています」
そうした活動のなかで、栗本先生が指導において大切にしているのは人としての部分です。
「『報告・連絡・相談』もその一つ。なにかあれば必ず報告する。競走部は勉強が理由で部活動を休むことは認めています。その代わり、休む理由をはっきり伝えてしっかりと勉強に取り組む。部活動に参加するのであればしっかりと練習に取り組む。当たり前のことかもしれませんが、そういった部分を大切にすることが、授業だけでは身につかない人間性を育てることにつながると考えています」
競走部の練習は週4日(※同校の部活動は週4日が基本)。練習メニューは、ストレッチと基本的な“動き作り”を目的としたアップ、軽めの150m走でまずは身体を慣らし、その後は短距離と長距離に分かれたメニューへと移行します。練習場所は200mトラックを備えた人工芝グラウンドです。
「ほかの高校の話を聞くと、このようなグラウンドはなかなかありません。200mですが、しっかり走ることができる環境があるのは一つの利点。そんな恵まれた環境で練習できるのは非常にありがたいと思います」と話すキャプテン(進学クラス 高3)の言葉通り、文京区白山という立地を考えればかなりの好条件と言えそうです。
同部の活動を通して身についた部員たちの誇れる部分は何かを、栗本先生に聞きました。
「高校時代においても、たとえば受験勉強以外に頑張っていること、一生懸命にやっていることってそんなにないと思うのです。それを考えた時に、競走部の部員たちは試合に勝つとうれしくて涙を流すくらい夢中になってくれています。そこが誇れるところです。
部活動で一生懸命な時間を過ごした経験というものは、たとえば将来家庭をもった時に、“お父さん、お母さんは学生の頃、部活動で精一杯頑張ったんだよ”と言えることは人生において武器であり、それが一人ひとりの誇りになっていくことがとてもうれしいのです。私にもその喜びがあるから今、誇りをもって部員たちを指導できるのかなとも思っています」
色鮮やかなグリーンのフィールド上で「手塩にかけて育てた生徒たちです」と目を細めながら部員を見守る栗本先生の言葉と表情が、現在の同部のアイデンティティを示しているように思えました。
部活動には厳しい部分もつきものだと思うのですが、それだけでは疲れてしまうので、一つひとつの走りや練習のなかに楽しさを見つけ、引き出せる部活動にしていきたいと思っています。そのために心がけているのは声かけの部分です。特に1年生は先輩に話しかけにくいと思うので、ちょっとしたアドバイスや「さっきの走り、すごく良かったね」といった話題をきっかけにコミュニケーションをとるようにしています。めざすのは先生と部員全員で頑張ることのできる“ワン・チーム”。男女や学年に関係なく、家族的なつながりの強い部を作りたいと思っています。
2022年春の都大会で3位に。「個の力ではなく全体の力で勝ってきたチームです」(松里先生)
日々心がけていることは「毎日全員と…とはいきませんが部員となるべく話をすることです」(松里先生)
練習メニューは“みんな一緒じゃなくてもいい”。各自が各ポジションに必要な練習に取り組んでいます。
練習時間は2時間~2時間30分くらい。外部の球場、学校のグラウンドが軟式野球部の舞台です。
日々の基礎練習の成果で、守備には自信あり!
「試合ではグラウンドにいる選手だけではなく、ベンチのメンバーも一緒に戦っている気持ちを強くもっています」(松里先生)
今春の都大会で3位という好成績を収めた軟式野球部がめざしているもの、それは“考える力”を身につけることです。
「本校が哲学の思想を掲げる学校ということもあるのですが、生徒たちには自分で考えて、自分たちでどのように行動していくかを発信できるように、というのが第一にあります」
と顧問の松里亮先生は話します。その思想は練習にも反映されており、ベースとなる基本メニュー以外は先生と部員が相談しながら決めていくそうです。
「たとえば週末の練習試合や大会の後に、試合で見つかった課題に対し、それを修正するにはどういう練習が必要か、といったところを一人ひとりに聞きながらメニューを組み立てています」
「みんなが同じような選手では面白くない」(松里先生)というように、部員一人ひとりの個性と方向性も大切にされています。
「特に冬場などは、オフになる前に一人ひとりと面談しながら“どういう選手になりたいか”を確認するのです。たとえば“長距離打者になりたい”とか“打率を残せる選手になりたい”“守備で活躍したい”など、それぞれのめざす選手像を聞き、そのために必要なことを問いかけながら、“走り込みを増やそう”“筋トレで身体を大きくしよう”といったような取り組むべき練習を明確にしていきます」
その際、たとえば先生から見てその選手のタイプとはミスマッチなスタイルをめざそうとするケースもあるそうですが、それでOKなのだとか。
「“まずはやってみよう!”です。仮に1~2カ月経過したところで生徒自身が“ちょっと厳しいかな”と限界を感じたとしても、“そこからどうすればいいか”を考える。結果として新たな方向性が出てくれば、そこに気づけたという意味で取り組んだことは失敗にはなりませんから」
松里先生がそうした考えに思い至ったのは、ご自身の体験も背景にあるそうです。
「好きで始めた野球なのに、たとえば中学時代に指導者からいろいろ言われてイヤになって、高校では野球をやらなくなる子が一定数います。そうしたこともあり、部員には押しつけられるものではなく、自分のやりたいことをやってみて、それに結果がついてきたり、努力を積み重ねたりしていくことで、厳しくも楽しい3年間を過ごしてもらいたいというのが私の一つの目標でもあるのです」
文京区白山という都心部にあるため、外部のグラウンドを借りてできる練習と時間は限られており、環境として決して恵まれているとは言えませんが、それでもグラウンドでしかできない練習と、校庭だからこそ集中してできるノックやティー打撃といったメニューを創意工夫し、加えて部員のポジティブな取り組み姿勢を作り上げる方針のもと、春の都大会で3位と躍進。部員も松里先生も口をそろえる「部活が楽しい!」という声も、すんなり耳に入ってきました。
部の大きなテーマは全員野球です。そのため、練習からいろいろな選手とコミュニケーションをとって意思疎通を図るようにしています。監督からよく言われることは“楽しく、元気に!”です。野球部は学校での練習は校庭の限られたものしかできないのですが、冬場はトラックで長距離の走り込みをしたり、トレーニングルームを使ったり、校庭でもできるノックやティー打撃、トスなど基本練習をとにかくしっかりするようにしているので、練習環境に恵まれていないとは思いません。目標は関東大会に出場してベスト4に入ること。そこに向けて頑張っていきます。
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