意欲を高め、自らの力で
進路・将来を切り拓く
生徒の興味・関心のあるテーマを深く堀り下げ、自身の進路や将来の夢を見いだす探究学習に取り組む上野学園高等学校。進路指導部主任で探究科主任を兼務、探究学習の導入に尽力する竹澤陽介先生にお話を伺いました。
「探究学習で大切にしているのは、本校の建学の精神である『自覚』です。探究学習を将来の夢や進路と関連づけて『自分は社会に出て何がしたいのか』を自覚することが、高校3年間の目標となっています。
高1では、SDGsなどを活用して社会が抱える課題に取り組んで視野を広げたり、グループで話し合いを重ねたりするなかで、自分の内側からわき起こってくる興味・関心を整理していきます。それと同時に目標とする大学の学部・学科について調べ、自分の学ぶべきことや学びたいことを探っていくのです。こうして高1の前半までに探究テーマを決め、後半ではインタビューや企業訪問などで学外へ出て、現実社会に触れながら調査・研究を重ね、3学期にその成果をまとめて発表します。
自ら疑問をもち、調査・検証を行い、解決を導き出す探究のサイクルを一通り体験したあと、高2から高3にかけてゼミに所属して各自の探究活動に取り組んでいきます。最終的には論文にまとめ、大学受験にも利用できる形にしていきます。
ゼミではテーマ別に9〜11のテーマに分かれ、1つのゼミにつき1名の教員がつきますが、教員はあくまでもサポート役です。教員が自分の専門分野の知識を押しつけたり、教えたりすることはなく、生徒のやりたいことを最大化することに力を注ぎます。
探究のテーマはすぐに答えを出せるものではなく、1年間をかけてとことん打ち込めるような、やりがいのあるテーマを設定するようにアドバイスしています。たとえ答えが導き出せなくても、疲れるくらい考え抜き、精いっぱい取り組んだという経験そのものが大きな達成感となり、自信やチャレンジ精神を高めることにつながると考えています」
探究の授業では、高1からグループワークで話し合いの機会を頻繁に設け、高2以降のゼミ活動では、常にゼミの仲間を中心とする外からのフィードバックを大切にしながら個人の探究テーマを深めていきます。このように探究学習は一人ではなく、仲間とともに取り組むことに意義があるのです。
「ときには失敗したり、友人や教員との対話によって取り組む角度を変えてみたりして挑戦を繰り返します。そこから自分が見えてくるのです」