1888年に「女子文芸学舎」として創立された学校は、2018年に「武蔵野大学附属千代田高等学院」という校名で、共学校としてのスタートを切りました。
安心してトライ&エラーができる学習環境で、生徒たちはいくつものチャレンジを試みます。目標は「何のために学び、自分は何者なのか」を発見すること。そのために用意された多様な取り組みは、既成概念や枠を越えるものです。本年度の高1が取り組む「Project Wayfinder」は、まさに自分が作り上げていた枠を越えるためのワークショップです。
1888年に「女子文芸学舎」として創立された学校は、2018年に「武蔵野大学附属千代田高等学院」という校名で、共学校としてのスタートを切りました。
安心してトライ&エラーができる学習環境で、生徒たちはいくつものチャレンジを試みます。目標は「何のために学び、自分は何者なのか」を発見すること。そのために用意された多様な取り組みは、既成概念や枠を越えるものです。本年度の高1が取り組む「Project Wayfinder」は、まさに自分が作り上げていた枠を越えるためのワークショップです。
Project Wayfinderは、2015年にスタンフォードd.schoolで始まった、思春期の子どもたち向けの学習プログラムです。これは「パーパスラーニング」と呼ばれる学習方法で、自分がいま取り組んでいることが何のためなのか、そのために自分ができることは何か、それが社会とどのようにつながっているのかに気づくことが目的です。武蔵野大学附属千代田高等学院のすべての教育に関わる「何のために学び、自分は何者なのか」を考えるために、トライ&エラーを繰り返しながら、自立心や自尊心を高めていきます。
Project Wayfinderはクラスの垣根を取り払ったグループを形成して、ワークショップの形で行われています。ファシリテーターとなるのは、高1の学年団の先生方です。
「クラスの垣根を取り払ったグループなので、最初は壁があってなかなか話が盛り上がりません。でも、『2人1組でモノを運ぶ』とか、『ペーパータワーを作ろう』というミッションに取り組むうちに、人間関係の壁を打ち破ることができました。グループ名を考えて、団結しようとしたグループもありました。ペーパータワー作りでも、『良いペーパータワー』とは『高ければ良い』とは限らないことに気づきます。『ミッションを遂行する・皆で協働する』その手段を自主的に考えるようになったことは一つの成長だと思いました」(理科/A先生)
「最初はグループの中で距離感がありましたが、協働するうちに気づきやアイデアが生まれ、ルールも自分たちで解釈、再構築して活動に取り組んでいました」(社会科/Y先生)
「最初の自己紹介の際、私が担当したグループでは白い紙に“木”を描いたのですが、絵を描きたくない生徒は『木』という漢字を書いていました。ペーパータワーをつくるミッションでは、紙をちぎって『タワー』という文字をつくるという独創的なアイデアも出ました。生徒のなかに“何かしらの気づき”があったからこそ、既成概念を超える発想が生まれたのだと思います。高1の6月から始まったプロジェクトですが、単なる自己紹介や仲間作りにとどまらず、自分の内面にも目を向けるきっかけになったと思います」(英語科/O先生)
「Project Wayfinderは、最初に『自分を表現する』練習があって、その後は『自己理解』、次にグループの仲間を知る『他者理解』をし、さらに『自分たちの考えは社会的にはどうなのだろう?』と考える機会があるプログラムだと思いました。自己発見から他者との違いを認識して、『自分は将来、どんなことをしたいのだろう?』と考える自己分析ができるツールだと思います」(情報・数学科/K先生)
「自分で進路を切り開いていきたいという生徒に、本校を選んでほしい」と進路指導部のJ先生は話します。同校には、日々の学習はもちろんのこと、文化祭や体育祭など、主体的に“やりたいこと”を見つけて取り組む機会がたくさんあります。一方で、「まだ、やりたいことが見つからない」という場合もあります。「では、どうしたら見つけることができるのか、自分は何を求めているのだろう?」と考えるきっかけになるのがProject Wayfinderです。
「次のワークショップは寸劇作りを予定しています。目的は、一人ひとりの良さを発揮して、何かにチャレンジすることです。本校の教育において指針となるのは『チャレンジ』です。日々の学びのなかでいくつものチャレンジを積み重ねて、自分の特性を発見してほしいと思います」(J先生)
「Project Wayfinderの授業では、評価をしたり成績をつけたりすることはしません。ミッションに取り組み、どんな結果が出たのか、何を書いたのかなど、細かいチェックをしないので否定されることもなく、自由な発想が生まれます。また、毎回、必ず振り返りをするので、それぞれに気づきがあります。Project Wayfinderに限らず、学校生活のなかでこのような経験を積み重ねたうえで、内面を成長させ、主体的に進路や人生の選択をしてほしいと思います」(英語科/W先生)
「Project Wayfinderは、生徒のなかにある固定概念や、自分で築き上げてしまった『枠』を取り払うだけでなく、ファシリテーターとなる教員の枠も外しつつあると感じています。そもそも高1の学年団は、いろいろなことを言い合える雰囲気があるのです。コロナ禍のもとで、オンライン授業やオンラインによる面談をしなければならない状況もあります。そこでは一つのコミュニケーションの壁を越える必要もあります。枠にとらわれないコミュニケーション力が必要な時代になっているのです。だからこそ枠を取り払い、既成概念を打ち壊す発想を生む必要性があるのではないでしょうか」(理科/N先生)
━━同プログラムは、これからの未来に必須と言われている非認知能力を育成していくのに、非常に重要な土台となるはずです。今後の同校の取り組みに注目です。
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