――1922(大正11)年に創立された貴校は2022年、創立100周年の大きな佳節を迎えます。そのような中、國分先生が取り組まれている学校改革についてお聞かせください。
國分校長本校は4年制大学へ進学する者が4割弱いるほか、専門課程で身につけた知識やスキルを武器に、専門学校へ進学する者も約4割いるのが大きな特徴です。そして来年度より、本校は『普通科探究コース」をはじめとして、『普通科総合コース」、『普通科ビジネスコース』、「機械科機械システムコース』、『電気科電気システムコース』、『電気科ゲームITコース』の3科6コースで新たにスタートします。現在中学3年生の皆さんが高校生となる2022年度からは、新教育課程カリキュラムが導入されることになっています。そこで本校では、この新カリキュラムを追い風にするべく、創立100周年に向けた教育改革に取り組んでいるところです。
――教育改革の内容を具体的に教えてください。
國分校長まず一つ目が、『フェニックス・プログラム』(1単位)の新設です。ちなみに、不死鳥と呼ばれる『フェニックス』は本校のシンボルです。フェニックス・プログラムでは、高1の修了時に自分の人生設計(ライフプラン)を立て、高2・高3からはそのプランに即した形で、大学進学も含めた進路設計をより具体的にしてもらいます。ただし、16歳で人生設計をするというのは難しい話で、あくまでも“きっかけ”でかまわないのです。大事なことは、高校3年間の学びをより有意義なものにするということで、「自分は〇〇のために勉強する」という動機付けすることが最も重要なのです。
――ただ勉強するのは辛いだけですが、夢や目標があれば楽しく学ぶことができます。
國分校長そのとおりです。部活動や学校行事で活躍する生徒は少なくありませんが、「いざ勉強!」となると、なかなか力を発揮できない生徒も現実にはいます。そんな生徒たちに勉強する動機付けをするというのが、フェニックス・プログラムの最大の特徴なのです。
――フェニックス・プログラムを通して、具体的にどのような力を身につけてほしいとお考えでしょうか?
國分校長まずは「社会認識」です。世の中はどういうものかということを知ることはとても意義があります。二つ目は「自己理解」です。自分の良さに気づいてもらうことが大事で、その長所を生かして厳しい世の中を乗り切ってもらいたいと思っています。
そして三つ目が、誰もが関わることになる「職業理解」です。私自身もそうですが、今のように多様な働き方が求められる時代にあって、人は意外と自分以外の職業について知らないものです。世の中にはどのような職業があり、またその仕事の一つひとつが社会とどのように関わっているのかを知ることは、実は自分の生き方とも直結する重要な視点なのです。
――社会認識・自己理解・職業理解の三つは、まさに「学びの動機付け」となる重要なポイントなのですね。
國分校長とはいっても、指導する先生方がすべて理解できているかといったら、まだまだ未完成な部分が多いのは事実です。そこで、フェニックス・プログラムを導入する前段階として、外部からキャリア教育の専門家を招いた教員講習会を実施します。幸いにも本校の先生方の思考は柔らかく、また、それ以上に専門課程で身につけた知識やスキルも豊富です。「これからも生徒第一」との視点でフェニックス・プログラムと関わり、さらなる指導力の向上にも努めてまいります。