コロナ禍による休校、友達に会えない日々、学校行事の中止……、そうしたなかで迎えた大学受験。花咲徳栄高等学校の生徒たちもいろいろと感じて考え、取り組んだことがありました。医療従事者に向けて全校生徒が作った「メッセージモザイクアート」、文化祭の中止を受けて考えた「黒板アート」、そして未来の自分に向けたメッセージの数々。「休校中に修学旅行の中止を知って涙が出た」という思いを抱えながら行動した、生徒会役員が語ってくれました。
コロナ禍による休校、友達に会えない日々、学校行事の中止……、そうしたなかで迎えた大学受験。花咲徳栄高等学校の生徒たちもいろいろと感じて考え、取り組んだことがありました。医療従事者に向けて全校生徒が作った「メッセージモザイクアート」、文化祭の中止を受けて考えた「黒板アート」、そして未来の自分に向けたメッセージの数々。「休校中に修学旅行の中止を知って涙が出た」という思いを抱えながら行動した、生徒会役員が語ってくれました。
新型コロナウイルス感染拡大のなか、人々の命を救うために日々、尽力される医療従事者に向けて、花咲徳栄高等学校が制作したメッセージモザイクアートがあります。
これはコカ・コーラボトラーズジャパン(株)の協力を得て、全校生徒が青と白のシールにメッセージを書き、ボードに貼って「感謝」の文字を描いたものです。
「私たち生徒会は、みんなが書いたシールをボードに貼る作業をしていたのですが、一つひとつのメッセージを読みながら泣きそうになりました。『コロナの最前線で戦ってくださってありがとうございます』『世界の人を救うために戦ってくださって感謝しています』『先の見えない状況のなか、人のために仕事をする方々を尊敬します』など、一つひとつが感動のメッセージでした」(杉原さん)
メッセージモザイクアートは、校内展示の後に、『大宮』駅西口の商業施設『アルシェ』5階で6月21日まで展示会を開催しました。
2020年、『徳栄高祭』が中止になった際、生徒会役員が心に決めたことがあります。
「本来であれば、クラスごとに模擬店やアトラクションを企画したり、有志がお笑いやダンスを披露したりするのに、2020年は休校中に『徳栄高祭』中止を知ってショックでした。『もっと行事を楽しみたい』『そのためにはどうしたらいいか』を考えて、生徒会で話し合って先生に提案したのが『黒板アート』です」(杉原さん)
「黒板アートは『一陽来復』というテーマのもと、今までの楽しかった行事や場面を描くクラスもあれば、壮大な未来を描くクラスもありました。私と杉原さんのクラスは絵が得意な友達がリーダーになって、感染症対策をしながら皆で絵を描くことにしました」(松本さん)
『一陽来復』とは、「陰が極まって陽にかえること」。行事の中止や友達に会えない寂しさなどの暗い気持ちを、黒板アートで明るく変えていこうというテーマです。全52クラスが取り組んだ黒板アートの様子は、学校のホームページで紹介されています。
2020年、初めての休校を経験した生徒たちは、その秋に、未来の自分に向けたメッセージを綴りました。『To my Future Self』と書かれたボードには、1,654人分のメッセージが貼られています。
当時は2年生だった杉原さんと松本さんは、どのようなメッセージを書いたのか聞きました。
私は将来、診療放射線技師になって、人の役に立ちたいと思っています。そこでメッセージには「今、人の役に立っていますか?」というメッセージを書きました。
診療放射線技師になりたいと思ったのは、子どもの頃に撮ったレントゲンの世界に魅了されたからです。一瞬で体の中が写し出せるレントゲンの世界は、日々、新しい技術が生まれる分野です。仕事に就いたとしても、学ぶことがたくさんあると思ってワクワクしています。
私たちはコロナ禍という、いつもと違う状況の中で生徒会役員を務めました。最初の年は、家にいるときに修学旅行中止の通知がきて、心が折れそうになったのを覚えています。でも、私たちは生徒会役員として、みんなが少しでも楽しく学校生活を送ることができるようにしたいと考えました。それまでは自分のことだけを考えていたけれど、人を思いやり、人のためになることを考える機会が増えたのは、コロナ禍があったからだと思います。
未来の自分に向けて、私は「おばあちゃんになっても笑顔でいられますように」と書きました。私が興味を持っているのは化粧品開発の分野で、将来、研究者になるために勉強しています。
コロナ禍で休校になったとき、花咲徳栄は早くからオンライン授業が始まったので、学習面の不安はありませんでした。短縮授業が始まってからも、朝早く起きて時間を有効に使って勉強しています。でも、行事が次々と中止になったときは、「なぜわたしたちの代で?」と悔しい気持ちになりました。
生徒会として私たちができることは少なかったけれど、なんとかして『徳栄高祭』を実施しようと、さまざまな案を出して先生方に提案し、黒板アートが実現しました。この経験を通して学んだのは、行動することの大切さです。どんな状況でも、まず一歩を踏み出すことで、何かが変わると実感できた『徳栄高祭』でした。
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