篠原一馬先生(国語担当)と加瀬裕人先生(生物担当)は、ともに浦和学院高等学校の卒業生です。篠原先生は『進学類型 文理進学コース』の1年生を、加瀬先生は同コースの3年生を担任。また、篠原先生は吹奏楽部の顧問を、加瀬先生は生徒会の顧問を務めています。今回は2人の先生に高校時代の思い出や教員になった理由、他校にはない同校の魅力について語っていただきます。
篠原一馬先生(国語担当)と加瀬裕人先生(生物担当)は、ともに浦和学院高等学校の卒業生です。篠原先生は『進学類型 文理進学コース』の1年生を、加瀬先生は同コースの3年生を担任。また、篠原先生は吹奏楽部の顧問を、加瀬先生は生徒会の顧問を務めています。今回は2人の先生に高校時代の思い出や教員になった理由、他校にはない同校の魅力について語っていただきます。
篠原先生私は中学時代、吹奏楽部でチューバを担当し、コンサートのほかにマーチングの活動も行っていました。高校進学の際に一番気にしていたことが部活動だった私にとって、浦和学院の吹奏楽部は、マーチングと吹奏楽の両方の活動ができる数少ない高校です。また、浦和学院は甲子園の常連校で、スポーツ応援が好きな私にとって最適な学校だと思い、この学校を受験しました。入学後は吹奏楽部に入部し、マーチングでは全国大会出場、3年生の春には選抜高校野球大会に出場した野球部を応援し、この大会で本校野球部は全国優勝を果たしました。数年たった今でもチューバを吹き続けていたことを思い出します。
加瀬先生私の場合は篠原先生のように明確な目的があってこの学校に入学したわけではありません。浦和学院が当時の私の学力に合っていたこと、通学に便利だったことなどが理由です。目的がないまま入学した私でしたが、この学校で一人の先生に出会ったことで、私の人生は大きく変わりました。
加瀬先生3年間、私の担任を務めてくださった生物の先生との出会いです。今は退職されていますが、その先生は“生涯にわたる私の担任”といえます。生徒のことを第一に考えてくださり、口であれこれ指示をするのではなく、生徒にじっくり考えさせる先生でした。生物という教科の枠に捉われない教え方をして、勉強や生活に対する的確なアドバイスもしてくださいました。私の憧れの存在であり、私もその先生と同じく大学で生物学を専攻しようと決めたのです。
篠原先生私もこの学校で一生の恩師と出会うことができました。吹奏楽部の顧問の先生です。クリエイティブな発想をどこまでも大切にする先生でした。また、「良いものは良い」とはっきりした主張をされる先生でした。
篠原先生はい。もともと教員になりたいという希望はありましたが、教科は決めていませんでした。日本史を学ぶうちにこの教科が非常に好きになったため、社会科の教員になろうと思っていました。ところが高3のとき、吹奏楽部の顧問の先生から「篠原君は国語の先生に向いていると思う」といわれたのです。この一言で国語科の教員になることを決心しました。以来、国語という教科にますます魅力を感じるようになっていった私は、県内の文学部に進学し、文学について学びながら教員免許を取得しました。
大学に入学し悩んだり困ったりするたびに、私は母校に立ち寄っては、吹奏楽部の顧問の先生に相談していました。公立学校と違って私立学校の浦和学院には教員の異動がありません。卒業生が母校を訪れれば、いつでも当時の先生と会うことができます。そのため、公立校ではなく、浦和学院を就職先の第一志望にして、自分も卒業した生徒も含めて相談に親身なって応えてくれる教員をめざすと同時に、生徒に吹奏楽の指導をしたいと思うようになっていました。
加瀬先生私も担任の先生と出会わなければ、今、この学校で生物を教えていなかったと思います。この先生の影響で、農業や動植物に興味がわいた私は、東洋大学生命科学部生命科学科に進学しました。そして、大学2年のときに、これまで学んだことをどのように将来に活かそうかとじっくり考えた結果、教員の道がはっきりと見えてきました。担任の先生のように生徒のことを第一に考える教員になれたらと思ったのです。
篠原先生受け身で一方的に説明を聞く授業でなく、生徒自身が自分の頭で考えて、多くの人に伝えられるよう表現する力に重きを置いています。こうした力は、高校3年次の入試だけでなく卒業後に社会に出てからますます必要になります。言葉は使い方によっては人を勇気づけ、励まし、感動させることができます。その一方で、容易に人を傷つけることもできます。特に、ソーシャルメディアの普及により誰もが簡単に情報を発信できる時代になってきました。生徒には、自分の発した言葉が相手にとってどう感じるかを常に考えながら、言葉のエキスパートになってほしいと思います。
加瀬先生篠原先生の話にあったように、今は教科を問わず、論理的な思考力や読み解く力が求められています。今年の大学入試共通テストの生物の問題にも、データを正確に読み解けば、高得点を獲得できるものが出題されていました。思考力と読み解く力。この2つを生物の授業で育んでいくことを心がけています。
授業を通して伝えたいことは、ひとつの課題に対して多角的なアプローチをすることの大切さです。たとえば「世界はどのように構築されているのか?」という問いに対しては、地球上に暮らす人種や民族から考えることもできれば、地球の物質を構成する原子や分子などから考えることもできます。アプローチによって、発想は無限に広がっていくのです。将来、こうしてさまざまな視点から研究やビジネスに取り組める生徒を育んでいくことができたらと思っています。高校生になると理科を生物・化学・物理の3つに分けて学びます。しかし、私は「サイエンス」という学問を、こうした科目の垣根を越えて生徒に教えることができたらと思っています。
篠原先生本校には『国際類型』『特進類型』『進学類型』の3類型があり、『進学類型』には『保健医療コース』や『アート(美術)コース』などもあります。海外留学をする生徒、難関大学を狙う生徒、スポーツに打ち込む生徒、美術大学をめざす生徒など、さまざまな目標をもった生徒がひとつの学校に集まっているのです。こうした生徒たちが部活動や行事を通して交流するなかで、「こんな考え方もあるんだ」と刺激を受けることは大きなメリットだと思います。
吹奏楽部にもあらゆる類型とコースの生徒が集まっていて在学中、『アートコース』の生徒は演奏の練習に励む一方で、美術大学を受験するためにデッサンの勉強をしていました。その同級生には演奏会のパンフレットの絵を描いてもらっています。このように本校には、一人ひとりに輝ける場所が必ずあるのです。
加瀬先生本校の生徒数は約2,500人です。その数に応じて教員数も多く、約150人います。そのため、一人の生徒に対して、担任から各教科の教員、部活動の顧問、行事を引率する教員まで、数多くの教員がかかわることになります。
私は一人の先生との出会いによって、人生が大きく変わりました。ということは、教員の数だけ本校の生徒には可能性があることになります。多くの教員に見守られているという安心感からか、本校には活発な生徒がたくさんいます。とくに私が顧問を務める生徒会のメンバーは自ら進んで考えて、行動しています。これを読んでいる中学生の皆さんも、ぜひ本校で学び、個性と可能性を大きく伸ばしてほしいと思います。
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