Oops! It appears that you have disabled your Javascript. In order for you to see this page as it is meant to appear, we ask that you please re-enable your Javascript!
LINEで送る

スクールポット中学受験版 - 首都圏学校情報検索サイト

ツイッター フェイスブック

私立中高進学通信

2021年特別号

私学中等教育の魅力

江戸川学園取手中学校

「心の教育」を基にインプットしたものを
クリティカルに考えられる人間を育成

元気にお出迎え!

山本 宏之 先生
江戸川学園取手中・高等学校 校長

43年前、「心豊かなリーダーの育成」を掲げ、茨城県取手市に誕生した江戸川学園取手。「心の教育」を軸に展開する独自の教育は、英知とともに優れた人間性を兼ね備えた人材育成へつながっています。2021年4月、校長に就任された山本宏之先生に、新校長としてのお考えを伺いました。

リーダーの心の豊かさは
SDGsの精神と重なり
寛容性へつながる

――貴校の教育理念は、43年前の創立時から掲げられている教育理念「心豊かなリーダーの育成」です。山本先生は、この理念をどのようにお考えでしょうか。

 リーダーの定義はさまざまあると思いますが、私は「目標を掲げ、先頭に立って進み、行く道の要所要所で決断を下し、常にメンバーに語りかける存在」だと思います。「常にメンバーに語りかける」のですから、そもそもリーダーには他者への思いやりの心をもつことが求められます。そこに、あえて「心豊かな」という修飾語を付けていますので、さまざまな意味が加わってきます。私個人としては、「心豊かな」のなかで特に大切なものは、「SDGsの精神」と「寛容性」と考えています。SDGsは本校の探究学習のテーマでもありますが、SDGsの精神とは、「誰も取り残さない開発」であり、他者への配慮を意味するものです。自分の身の回りだけでなく、地球上のすべての人を思う想像力が求められます。寛容性とは自分と異なる考えや行動を受け入れることですから、いじめのない社会につながるものと思います。

――「心豊かなリーダー」を育むために、具体的にどのような取り組みをされていますか?

 創立以来実施している「心の教育」があります。心の教育の基本とは、生徒が「物事をよく考えること」と捉えています。校長、副校長、担任など、いろいろな人の話に耳を傾け、それをまずは受け入れ、そして内省させることで自分のものとし、さまざまな場面に活かしていくのです。このプロセスは、本校流の「道徳の授業」「校長講話」「副校長講話」「LHR」などをとおして、普段の学校生活のなかで実践されています。

 たとえば道徳授業では、経験豊富なベテラン教員による講話を聞き、グループごとに話し合い、意見を発表し、テーマのまとめを行います。そして、授業内容について、A4サイズ1ページ分の感想を書きます。その感想に対し、教員はコメントを付けて返すことで、生徒はさらに考えを深めていきます。このような心のキャッチボールを介して、生徒は深く物事を考えることになるのです。この一連の過程を経て、生徒は心を鍛え、「心豊かなリーダー」へと成長していきます。

――心の教育をとおして蒔かれた種が、仮に在校中に発芽しなくても、卒業してから大輪の花となり、その人の人生を彩るという可能性も大いにありそうですね。

 そのとおりです。たとえば、「卒業生がLHRのノートを持って、感謝の想いを伝えたい」と、学校へ教員を訪ねてくることも珍しくありません。先日、自ら「問題児だったんです」と語るユニークな卒業生が、今では新進気鋭の起業家となり、大手メディアのなかで、本校の「心の教育」のことを振り返ってくれていました。その内容を簡単にお伝えしますと、反省文を100枚書いたおかげで、自分と向き合い成長できたというのです。心の教育があって今の自分があるという謙虚な姿勢が、とても爽やかに感じられました。

「土」から「風」への
時代の変化を読み
心の教育で捉える

――新型コロナウイルスの感染拡大をはじめ、大学の入試改革や働き方の変化など、生徒たちを取り巻く環境が大きく変化しています。そのようななか、これからの教育の在り方についてお聞かせください。

 実は先日、高大連携講座でご協力いただいている東京理科大学の先生から、とても有意義なお話を伺いました。なんでも2021年は、西洋占星術では「土の時代」から「風の時代」への変換点だというのです。約20年に1度起こる木星と土星の大接近をグレート・コンジャンクションというそうですが、この現象はこれまでの約200年間、土の星座(牡牛座・乙女座・山羊座)で起きていました。それが、2020年のグレート・コンジャンクションは水瓶座で起き、次の200年間はずっと風の星座(双子座・天秤座・水瓶座)で続くことを捉えて、「風の時代」の始まりとされるのだそうです。

――一つの時代を200年のスパンで捉える壮大なお話ですね。非常に興味深いです。

 これまでの「土の時代」はどのような時代だったかといいますと、「土」は文字どおり、物や形があるもの、経済などの象徴であり、人は皆「所有する」ことを求めてきた時代でした。約200年前の「土の時代」の始まりに起きたのが産業革命で、それが行き着いたところが、現代の大量生産、大量消費の世界であるともいえるでしょう。来たる「風の時代」は、「風」そのものが目に見えないように、情報や知識など形のないものが重視されていくのだそうです。

 私は科学の最先端で研究されている先生から、意外にも西洋占星術のお話を伺って、少々驚きました。しかし、コロナ禍はまさに「土の時代」から「風の時代」への転換点を象徴する、それほど大きな出来事なのではないかと私は思うのです。なぜなら、テレワークの普及など、働き方も大きく変わってきていますが、教育界はオンライン授業の導入により、まさに「風」である「人と人とのつながり」の大切さを痛感させられたからです。同時に、これまで学校のなかで当たり前に行われていたことを見直す機会にもなっています。

――たとえば、学校行事の在り方なども、今後は見直されていくということですね。

 あらゆるものがふるいにかけられ、本当に大切なものだけが残り、アフターコロナの社会が形成されていくのではないでしょうか。コロナ以前の学校生活では、生徒たちは実際に接し合うことでストレスを発散させることはできましたが、残念ながらコロナ禍の今は、生徒たちの多くがストレスを抱えています。そこをどうすればケアできるのかも含めて学校行事を見直し、結果として新たに生まれる行事もあるということです。逆にいえば、そこを創造できる学校はこれからも注目を集めると思いますし、私自身の大きな課題の一つとして捉えています。「心の教育」の一つである伝統の「校長講話」についても、私なりの思いを込めて、さらに進化させていきたいと考えています。

――貴校の生徒さんたちは、まるでコロナ禍の逆境を乗り越えるかのように、今春の大学入試において、東京大学へ5名、筑波大学医学類へは5年連続全国1位となる7名の合格実績を出しています。さらに、医学科合計111名という数字も光ります。

 正直なことをいいますと、制約が多いコロナ禍のなかで、高3生は非常によく学んだと評価しています。全体的には、事前の模擬試験での予想よりさらに大きな結果が出ました。一方、国内外での探究学習をはじめ、講演会や観劇会などのイベント教育、高大連携講座なども含む157のアフタースクールなど、受験勉強以外の学びを止めなかったことも大きかったと思います。オンライン授業を早めに始めることもできました。なるべく平常な学校生活を維持することを心がけながら、生徒の主体性やモチベーションを高めていく取り組みが、良い方向に向かったと分析しています。

 いずれにしましても、「土の時代」の教育は、大量の情報をインプットして、即座に吐き出すことが求められてきました。一方、「風の時代」においては、もちろんインプットがなければ何も始まりませんが、インプットされたものをクリティカルに考えることが求められるのだと思います。成果物という「土」ではなく、思考という「風」が重要になるということではないでしょうか。昨今の教育改革も同じ流れだと思います。そのためにも本校の「心の教育」は、今後もますます重要になってくるものと考えています。

思考という「風」が重要な時代だからこそ
伝統の「心の教育」はさらに求められていく


常に教室の最前線で
生徒と接してきた
誇りを胸に

――これまでの30年以上に及ぶ教員生活のなかで、山本先生はどのように生徒さんたちと接してこられたのでしょうか。

 私は子どもが大好きです。生徒たち一人ひとりが素晴らしい個性をもっていますので、「絶対に見捨てない、絶対に切り捨てない」というポリシーだけは、もち続けているつもりです。長い教員生活のなかでは、途中で学校を辞めるような状況になる生徒と向き合うこともありますが、何とか引き戻すための努力は惜しまなかったと自負しています。

 はたしてどれだけの生徒を適切に導くことができたのかはわかりませんが、社会人になっても相談に訪れる教え子や、40歳を過ぎても毎年のように同窓会を企画してくれる(もちろん昨年はコロナでできませんでしたが)卒業生を見ると、それほど間違ったことはしてこなかったと思います。

――親子そろって教え子というケースもありますか?

 担任として2世代に関わった経験はまだありませんが、教科(英語)で親子を教えたことがあります。また最近の話ですが、本校の卒業生である保護者から、「覚えていますか?」と尋ねられ、「今度は娘が江戸取でお世話になります」といわれた時には、教員は本当にやりがいのある仕事だと改めて思いました。特に私学は先生方の異動が原則としてありませんので、それぞれの道で活躍する教え子たちと再会する機会が多く、それは何事にも代えがたい貴重な時間となっています。

――山本先生が教員になろうと思った原点について聞かせてください。

 私は私立中高一貫の男子校の出身ですが、高校時代の恩師への憧れが基本にあります。ものすごく熱い先生でした。私の友人が何か叱られるようなことをしてしまった時、「それでいいのか!」と、真剣に迫る姿を見て、私のほうが感動してしまったのです。当時の男子校ならではのエピソードかもしれませんが、それから学校の先生はいいなと思い始めました。

 そのようなこともあり、大学の教養課程では教育学のゼミに所属しましたが、担当教授からは、「教員になるなら一度、社会人を経験せよ」との薫陶をいただきました。当時の一橋大学は、卒業生のほとんどが一般企業へ就職することが普通だったので、周りと同様に就職することにしたのです。勤め先は北海道東北開発公庫(現 ・日本政策投資銀行)という政府系金融機関で、文字どおり北海道と東北の比較的大規模な企業向けに融資をし、地域開発に貢献するという仕事です。働きやすい職場でしたが、3年経ちやはり自分は教員になりたいのだと思い立ち、退職して塾の講師を経て、本校の教鞭をとることになりました。

 私はこれまで、英語の教員としても精一杯頑張ってきましたが、同時に生徒たちと直に接し、互いに成長したいという思いが強いんです。そんな私ですから、政府系金融機関での社会人経験は、教員生活においてものすごく役に立ちました。2017年3月卒業の東大コースのクラスが担任の最後になりましたが、常に教室の最前線で、クラス担任として、親身に生徒一人ひとりと接してきたという誇りをもっています。

――高等部の副校長としてのご経験、また、進路指導部長としての実績も豊富な山本先生ですから、そのリーダーシップに対する期待感もふくらんでいきます。

 新校長として、何か新しい取り組みを始めるのかと、そのような期待もあるかもしれないですが、むしろ、原点回帰も必要だろうと考えています。たとえば、「悪いことは悪い」と、徹底的に生徒と向き合うことは重要です。だからといって、反省文を100枚書かせる手法が、常に良いとは思いませんが(笑)、その教員の愛情そのものは正しいと思うのです。最近の教育界の傾向として、生徒との“ぶつかり合い”から逃げてしまっている傾向があることも否めません。「規律ある進学校」を教育方針に掲げる本校の教育は、比較的、厳しいと感じられる教育かもしれませんが、その良さというものは、再度必要になってくると思っています。


小学校高学年の時期に学習習慣を身につけ
思考力を鍛えることで
物事を考える土台が形成される

明けない夜はないと
そう信じて頑張って
「風の時代」の主人公に

――山本先生ご自身も、私立中高一貫校(駒場東邦)のご出身と伺っています。中学受験を志した理由をお聞かせください。

 きっかけは転校でした。小学校5年生で北海道函館市から東京都杉並区に転校してきた際に、近所の小さな塾に通うことになりました。そこでは、小学校では教えてくれないことを教えてもらい、特にハイレベルな問題に取り組むことが、ものすごく楽しかったですね。塾で他の小学校の友達ができたのも新鮮でした。それがきっかけで、夢中になって勉強し始めたというのが原点なのです。

 今振り返ってみても、自分でもかなり勉強したと思います。それが苦にならなかったのです。小学校高学年の今の時期、一生懸命に勉強することは、必ず将来につながります。学習習慣を身につけ、思考力を鍛えることで、物事を考える土台が形成されます。今の自分があるのも、あの時中学受験で、夢中で勉強したおかげと思っています。ちなみに、この前まで本校の校医を務めていただいた先生は、偶然にも高3の時の同級生でした。不思議なご縁に驚きました。

――来たる2022年度の入試から、英語が必須の受験教科になることが、大いに注目されています。

 前例のないことなので心配される声も届いていますが、そんなに難しい問題を出すつもりはありません。日頃の小学校の授業にしっかり取り組んでいれば、得点できる出題を予定しています。サンプル問題についても近々最新のものを発表しますが、不安になる必要はありません。つまり、小学校の授業を大切にする生徒に入学してほしいのです。

――予想以上にコロナ禍が長引き、これから中学受験を考える生徒たちの不安も大きいと思います。そんな一人ひとりに向けて、山本先生から励ましのメッセージをお願いします。

 明けない夜はありません。夜が明けた先、つまりアフターコロナの時代には、もっともっと子どもたちにとって良い時代が来ると思っています。それを信じて、今は耐えてほしいですね。もう一つは、逆に今、私たちの行動の一つひとつが制限されているなかで、それをマイナスと捉えるのではなく、今だからできることを見つけ行っておけば、必ず自分のためになるということです。どんなことでも後から振り返れば、絶対に自分にとって意味のあることばかりです。今はとにかく頑張って、次の時代に備えてほしいです。「風の時代」の主人公は、紛れもなくきみたちなのです。

山本宏之(やまもと・ひろゆき)山本宏之(やまもと・ひろゆき)

 1963年、東京都生まれ。一橋大学社会学部卒業後、政府系金融機関に3年間勤務。その後、塾講師を経て、1991年、江戸川学園取手高等学校に奉職。進路指導部長を長年務め、2017年から高等部副校長。2021年4月、江戸川学園取手中・高等学校校長に就任。

ページトップ