社会貢献を志す生徒の育成に向けて、“人間共育”を実践する豊島学院高等学校。グローバル化が急速に進む社会を見据え、世界に目を向ける力や問題解決能力、英語力を育むために早期から「オーストラリア海外研修」を実施してきました。また、近年では3カ月の「ニュージーランドターム留学」も用意。今後はこれまで以上にグローバル教育や国際理解教育に力を注いでいきます。英語科の井本隆太先生と高橋保笑夢先生、入試部主任の小倉武先生にお話を伺いました。
社会貢献を志す生徒の育成に向けて、“人間共育”を実践する豊島学院高等学校。グローバル化が急速に進む社会を見据え、世界に目を向ける力や問題解決能力、英語力を育むために早期から「オーストラリア海外研修」を実施してきました。また、近年では3カ月の「ニュージーランドターム留学」も用意。今後はこれまで以上にグローバル教育や国際理解教育に力を注いでいきます。英語科の井本隆太先生と高橋保笑夢先生、入試部主任の小倉武先生にお話を伺いました。
「海外では言葉はもちろん、生活習慣や文化の違いなど、さまざまな壁が目の前に立ちはだかります。その壁を一つひとつ乗り越えることで、人間的に大きな成長を遂げて日本に帰ってきてほしい。そんな願いを込めて、本校では『ニュージーランドターム留学』を実施しています」(井本隆太先生)
高1・高2の希望者に向けた「オーストラリア海外研修」は、その留学の入門編。豊島学院生が海外へと踏み出す第一歩となります。期間は冬休みの2週間で、訪問先は「ケアンズ」です。オーストラリアは南半球にあり、日本とは季節が逆になるため、この研修では“真夏のクリスマス”を体験できます。
「募集定員はありますが、英語に自信のある生徒や、帰国生でなくても気軽に参加できるよう“行きたい”という本人の意志を尊重して門戸を広げています。そのため、参加するのは海外が初めてという生徒がほとんどです。
期間中は2名1組で現地のご家庭にホームステイし、そのお宅から現地校へ通います。現地校では午前中に少人数のグループに分かれてネイティブ教員から英会話のレッスンを受けます。午後はネイティブ教員とともにさまざまなアクティビティを楽しみます」(高橋保笑夢先生)
午前のレッスンは午後のアクティビティとリンクした内容で構成されています。例えばアクティビティで動物園を訪れるならば、レッスンでコアラやワラビーなどオーストラリア固有の動物について、アボリジニの文化に関する博物館を訪れるなら、オーストラリアの歴史について英語で学ぶのです。
「レッスンやアクティビティのない休日は、ホストファミリーとショッピングをしたり、バーベキューやクリスマスパーティーを楽しんだりします。こうしてホストファミリーと生徒との間に絆が生まれるのです」(井本先生)
雄大な自然に触れ、地球の大きさを実感できるのも、この研修の大きな魅力です。参加した生徒は世界最大のサンゴ礁群であるグレートバリアリーフや、世界遺産の熱帯雨林であるキュランダを訪問します。
「このように充実した日々を過ごした生徒は、ホストファミリーと涙の別れをして帰国します。空港ではホストファミリーに英語で『また、返ってくるからね』と泣きながらハグし合う光景が毎年見られます。
たった2週間なので英語力が飛躍的に向上するわけではありません。しかし、愛情を注いでくれたホストファミリーに気持ちを伝えたくても、英語力が足りずに伝えられなかったという生徒の思いが、帰国後、英語を学ぶモチベーションになります」(井本先生)
「オーストラリア海外研修」に参加した生徒の多くが、「ニュージーランドターム留学」を希望するそうです。この留学は高2の希望者対象ですが、参加者には最低でも英検準2級の英語力が求められます。また、教頭先生による面接が行われ、留学の目的を語らなければなりません。毎年、この条件をクリアした4名~6名の生徒がニュージーランドへと旅立っています。
「訪れる都市はオークランドで、期間は7月から約3カ月間です。生徒はこの街にあるホームステイ先からバスに乗って現地の高校へ通い、英語の授業を受けます。教室に日本人は一人だけです。この生活を約3カ月間送ります。『オーストラリア海外研修』と違い、ターム留学には私も高橋も同行しません。生徒は一人でこの困難に立ち向かわなければならないのです。授業の内容がきちんと理解できるようになるのは、留学が終わる頃だと多くの生徒が語っています」
そう話す井本先生は大学時代、アメリカへの短期留学を、高橋先生もイギリス大学院への1年間留学を経験。そのため生徒が現地でどれだけ苦労するか、どれだけ貴重な体験ができるのかを熟知しています。
「帰国した生徒のなかには、留学後しばらくは生活に馴染めず毎晩泣いていたと振り返る女子もいます。その生徒はある時を境に、『このままではいけない』と奮起したそうです。そして積極的に現地の生徒へ話しかけるなど解決策を見いだし、最終的には『留学してよかった』と心から思えるようになったと言います。
また、『自主的に行動できるようになったことが、この留学の一番の収穫です』『自信がつきました』と語る生徒もいます。その時は苦しい日々であっても、その後の長い人生を考えると、日本を離れて生活した経験は、“かけがえのない財産”となるはずです。私もそうでした」(井本先生)
留学後の英語力に関しては、“スピーキング力”や“リスニング力”もアップし、英検準1級に合格する生徒も多いそうです。また、ネイティブ教員であるALT(外国語指導助手)が教える英会話の授業でも、積極的に英語で発言するようになると言います。
こうして得た英語による“コミュニケーション能力”や“問題解決能力”をアピールして、総合型選抜で難関大学に合格する生徒も増えています。こうした動きに応え、2026年度よりターム留学先に“オーストラリア”が加わり、さらにアジア各国へのターム留学も検討中です。
「ターム留学体験は多くの生徒に大きな変化をもたらしています。英語がこれまで以上に好きになるとともに知的好奇心が高まり、大学進学後はニュージーランド以外の国を訪れたり、ワーキングホリーデーを利用して海外で働いたりする生徒もいます。また、アメリカやアジアなどの海外大学への進学を希望する生徒も増えてきました」(小倉武先生)
そこで、同校では海外研修やターム留学とともに、海外大学進学のサポートにも力を入れています。“海外留学・進学コンサルタント”を講師として招き、海外大学進学のための具体的な手続き、奨学金を得るための方法などの説明会を実施。マレーシアの大学など海外大学への指定校推薦制度も用意しています。先日もテキサス州立大学の入試担当者が来校し、説明会を開きました。
「今後はこれまで以上に国際交流も推進していく予定です。まず、2025年3月にアメリカの留学生受け入れを行います。また、近日中にオーストラリアの教育省の方が来校されます。ここではオーストラリアの高校との姉妹校提携についてお話ししたいと考えています。こうした交流によって、生徒の国際感覚や英語力を磨き、将来、グローバル社会に貢献できる多くの人材を本校から世界へ送り出すことが私たち教員の願いです」(井本先生)
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