世のため人のために貢献する『志』の育成に力を注ぐ足立学園では、『志グローバルプログラム』と銘打った多彩なプログラムを展開しています。オーストラリアやイギリス・オックスフォードの体験学習プログラムのほか、2022年度より『アフリカ・スタディーツアー』が、2023年度より『ラオス・スタディーツアー』も新設され、語学だけでなく将来の人間性を育む志をもつ生徒を育てることをめざします。
世のため人のために貢献する『志』の育成に力を注ぐ足立学園では、『志グローバルプログラム』と銘打った多彩なプログラムを展開しています。オーストラリアやイギリス・オックスフォードの体験学習プログラムのほか、2022年度より『アフリカ・スタディーツアー』が、2023年度より『ラオス・スタディーツアー』も新設され、語学だけでなく将来の人間性を育む志をもつ生徒を育てることをめざします。
僕は中1の担任を務めていた原先生の影響で、『ラオス・スタディーツアー』に参加したいと思うようになりました。原先生は折に触れて、国際協力機構(JICA)・青年海外協力隊の一員としてラオスに赴任した時のことを話してくれました。
原先生の体験談では、特に「ラオスには輝きがある」という言葉がずっと胸に刺さっていました。というのも、僕は足立学園に入学してから「世界中の人々を夢の実現に導きたい」という『志』を描いていましたが、「貧困のイメージが強いラオスという国で、なぜ人々が輝いていられるのだろう? 人々は輝くような夢をもっているのだろうか?」ということに興味・関心があったからです。そして「実際に自分の目で見て確かめたい」という気持ちが高まっていきました。
実際に現地を訪れてみたら、これまで抱いていた考えが一変するような出来事ばかりでした。初めに足を運んだ都市部の街は“経済的に貧しい国の一つ”という情報からイメージしていたものとは異なり、飲食店や商店が立ち並び活気にあふれていました。次に訪れた農村部では生活水準が低く、インフラや基本的な公共サービスの整備が不十分な地域もありましたが、人々はとても幸せそうで、笑顔が輝いていました。
障がい者が働く農園で、“バタフライピー”の収穫を手伝わせてもらった時のことは印象に残っています。初めは無表情だった皆さんが、作業を手伝ったところ満面の笑みを浮かべてくれたのです。その笑顔から心からの感謝の気持ちが伝わり、“人のために働く”とか“人と共に働く”ということの喜びを実感しました。
スタディーツアーでは現地の人々と直接触れ合う機会があり、異文化交流を通じて多くのことを学び、自分の価値観が広がりました。英語や現地の言語が理解できない状況でも、コミュニケーションをとるための工夫や努力をすることで、現地での生活や人々との交流を楽しむことができ、自信がもてるようにもなりました。
「誰もが夢をもち、実現できるようにしたい」という自分の考え方を変える大きな発見もありました。ラオスでは、誰もが大きな夢をもてるわけではありません。それでも学校へ通えること、毎日食事をとれること、家族と一緒に暮らせることといった些細な出来事に感謝して生きていました。そんな姿に感銘を受け、 帰国後は日常のなかで当たり前に感じていたことに、意識的に目を向けるようになりました。ラオスでの気づきや経験をこれからの高校生活に活かし、志を高めていきたいと思います。
「ラオスの人々の暮らしに触れるなかで、学校へ通えること、毎日食事をとれること、家族と一緒に暮らせることなど、日常のなかで当たり前に感じていたことに目を向けるようになりました」(中村さん)
2024年3月、アフリカ・スタディーツアーに興味を抱いている生徒と保護者を対象とする説明会が行われました。司会を務める原匠先生は、JICAの現職教員特別参加制度を利用してラオスに赴任した経験を活かし現地にも同行します。
「アフリカは、貧困・食糧・エネルギーなど多くの問題を抱えており、まさに“世界の縮図”と言えます。タンザニアという国を通してそれを体験的に知り、未来を考えることに役立ててほしいと思います。現地では想定外の出来事もありますが、それが成長のきっかけになることも多くあります。アフリカ・スタディーツアーは、回を重ねるごとにブラッシュアップしてきました。第3回目となる今回は前回よりも長い日程となり、訪問先の学校で現地の人々と一緒に学ぶ短期留学も予定しています」
原先生からは、このようにアフリカ・スタディーツアーの目的や旅の日程、そして事前学習や事後学習での取り組みなどについて説明がありました。続いて、2023年度のツアーに参加した杉田雅人さん(高2)と鈴木梓恩さん(高2)によるプレゼンテーションが行われました。
第2回アフリカ・スタディーツアーの団長を務めた杉田さんは、感想を次のように語ります。
「アフリカ・スタディーツアーの経験を要約すると、大きく分けて3つのインパクトがありました。1つめは都市部のエネルギー、2つめは農村部に暮らす人々から学んだコミュニケーションの力、そして3つめは野生生物や自然の美しさのなかで感じた地球のドラマです。僕たちに不足しているのはコミュニケーションとエネルギーです。アフリカ・スタディーツアーでは積極的にコミュニケーションを図る人々のなかで過ごすことで、“握手”も“ハグ”もこれこそがコミュニケーションであり、言葉だけがコミュニケーションではないという本質を知ることができました。
現地で高い『志』を実践する人々に出会うこともできました。自らの私財を投じて創立された病院を訪れ、創立者の方に直接話しを聞き、そこで働くボランティアの人々とも交流したのです。その取り組みは足立学園の『志』に通じるものがありました。第3回目は新しいプログラムも加えられ、もっと深く広く学べる特別な機会になると思います。ぜひ参加してください」
鈴木さんからは、アフリカ・スタディーツアーと探究活動の関連について説明がありました。完成した論文や、論文作成のために現地で行ったアンケート調査の様子、帰国後にタンザニア大使館で行った発表の様子などを画像とともに伝え、アフリカ・スタディーツアーの感想を次のように述べました。
「アフリカ・スタディーツアーに参加した目的は、自分の探究テーマについて、足を運んで自分の目と耳で事実を確かめたいと思ったからです。現地で調査をしてみて、何かを調べたり物事を考えたりするうえで情報を簡単に信じたり、勝手なイメージや思い込みで判断したりしてはならないと痛感しました」
生徒発表の後は、プログラム作成の協力者でありツアーガイドとして同行するフリージャーナリスト大津司郎氏も登壇し、これまでのツアーの様子や生徒たちの成長ぶりなども伝えられました。回を重ねるごとに発展を遂げていくアフリカ・スタディーツアーが、生徒たちの意欲をさらに高めます。
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