データサイエンス部長
情報科主任
ドゥラゴ英理花先生
※武蔵野大学データサイエンス学部客員教員、筑波大学大学院国際教育サブプログラム(IB教員養成)非常勤講師、私立中高国際部長・国際バカロレアコース長・情報科主任などを経て同校に着任。
本校の伊藤正徳校長がアメリカをはじめとする海外の学校視察に赴いて実感したことは、教育現場でデータを適切に扱うことの重要性です。そこで、伊藤校長は本校でも生徒にデータサイエンスのスキルを学ばせたいと考えていました。また、本校が10年ほど前から取り組んできた探究型の授業のなかで、インターネットなどで入手し参考にしたデータが果たして信頼できるものなのか、生徒が判断できる力が重要になると教員たちは感じてきました。
特に海外の事情となると実際に現地へ行くことは難しいので、インターネットで調べざるを得ません。もちろん、生徒たちが探究の成果を発表する際には有識者の方々にもアドバイスをいただいていますが、これからは高校段階から自分の力で入手したデータや情報の“正誤”を見極められることが必要になってくるはずです。
そこで開設に至ったのが『データサイエンスコース』です。このコースではデータサイエンス教育を通し、データを収集・分析・活用しながら、社会的課題に対して合理的な選択や意思決定をして解決に結びつけていくプロセスを学びます。そして、AIやビッグデータの活用がますます広がる未来で新たな価値を生み出す力を身につけていきます。同時に、多様な人たちの考え方や意見を尊重でき、共感できる人間力も鍛えていきます。
カリキュラムは、まず“文理融合の探究型”であることが特色です。『データサイエンス探究』『STEAM』『SDGs』『グローバルシチズンシップ探究』『グローバル探究』といった科目を学びながら、統計的課題解決法の「PPDACサイクル」(※2)を繰り返して回転させていきます。
リベラルアーツを重視する国際バカロレア教育(IB)の手法を応用していることも特色です。国際バカロレアには「知の理論」と訳される「TOK(Theory of Knowledge)」や、「創造性・活動・奉仕」と約される「CAS(Creativity・Activity・Service)」という必修科目があり、これらの理念をカリキュラムに反映させているのです。さらに一部の教科に英語イマージョンを取り入れています。
また、アメリカのワシントン州にある姉妹校への海外研修も予定しています。姉妹校は、国際バカロレア認定小学校のベルビューチルドレンズアカデミーと、国際バカロレア認定中学・高等学校のウィローズ・プレパラトリースクールの2校です。両校ともマイクロソフト社ショーケーススクールに指定され、世界各国の生徒たちが学んでいます。
このコースで学んでほしいのは“知的好奇心にあふれた生徒たち”です。知的好奇心があれば「獲得した知識をアウトプットしたい」「知識から価値を創造したい」と願うでしょう。そしてこのコースで3年間をかけて探究した内容を大学での研究につなげていけると思います。
※2…「Problem(問題)」「Plan(計画)」「Data(データ収集)」「Analysis(データ分析)」「Conclusion(実施)」の略。