野村悠太先生(国語科)は現在、併設校である京華中学校の中1学年主任を務めるとともに、『S特』の高1生に国語を教えています。2020年には『特進文系コース』で学ぶ高3生の担任として生徒たちの受験指導に力を注ぎました。2020年は大学入学共通テストが初めて導入されるとともに、AO入試が総合型選抜入試に改称された年でもあります。この年、同校からは一橋大学や筑波大学など国公立大学に計25名が合格(大学校を含む)。難関私立大学では早稲田大・慶應義塾大・東京理科大に計21名が合格しています。
「私が担当した『特進文系コース』では、多くの生徒がGMARCH以上の難関私立大学をめざします。国立志望者は『S特』と『特進理系』コースに多いですね。ここ数年、入試に総合型選抜を導入する国公立大学が増えてきました。本校では、この入試形式を採用している国公立大学を志望する生徒には、一般選抜だけでなく総合型選抜も視野に入れてもらい、教員が一丸となってそのための受験指導に努めています。なかでも国語科では、国公立大学2次試験の記述式問題や、担任と連携をとり総合型選抜・学校推薦型選抜の小論文の対策を行っています。
本校の国語科の授業における基本方針は、まずは知識をインプットし、その知識をもとに自分の考えをしっかりと構築し、それを文章にまとめたり人前で発表したりするアウトプットまで行うことです。この流れを循環させます。知識がないと内容に深みが出ませんし、常にアウトプットしておかないと、表現力や文章力が定着しないからです。また、知識をインプットして考える作業は、文章の読解においても大きく役立ちます。そこで国語の授業ではディベートを行うほか、生徒にビブリオバトルへの参加も促しています」
ビブリオバトルとは、ゲーム感覚を取り入れた新しいスタイルの書評合戦。参加者が気に入った本の魅力を5分間でプレゼンテーションして、それを聞いた生徒たちがどの本を最も読みたくなったかで勝敗を競います。
「ディベートでは相手の話を聞きながら論点を整理し対案を述べる必要があり、ビブリオバトルでは生徒の前に立って内容のポイントを自分の言葉で発表するので、どちらも表現力が鍛えられます。
私が国語の授業を通して伝えたいのは、こうした自分の頭で考え、その考えを他者と共有することの大切さです。そのため、授業では問題を解かせて正解を導き出した後、それ以外の答えがなぜ正解ではないのかを3人1組で話し合ってもらい、その結果を発表させています」
野村先生は野球部の顧問も務め、2019年に東京大学に合格した部員の指導にあたっていました。
「彼には『絶対に部活動を辞めないように』と言い聞かせていました。部活動で培った忍耐力や時間の管理能力は必ず大学受験に活かされるからです。その代わりに勉強時間を確保できるよう、練習時間の調整を図りました。その結果、東大に行くという初志を貫徹できたのです。部活動に真剣に取り組んでいる生徒ほど伸びしろがあり、その多くが彼のように第一志望である国公立大学や難関私立大学の合格を勝ち取っています」