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2022年度より新コース制が始動します

生徒や大学生のアート作品が展示された廊下。大学生の作品は横浜美術大学の「ギャラリー委員会」が、計画的な展示を行っています。
トキワ松学園高等学校

〒152-0003
東京都目黒区碑文谷4-17-16

TEL:03-3713-8161

学校情報 学校HP

 1916(大正5)年に常磐松女学校として創立されたトキワ松学園。「鋼鉄(はがね)に一輪のすみれの花を添えて」という建学の精神には、創立者・三角錫子先生の想いが詰まっています。曰く「文部省に認可された女学校の卒業証書が嫁入り道具のタンスならば、東京府の認可に過ぎないここ(常磐松)の卒業証書は小さい風呂敷くらいのものであろう。なにとぞ、小さくともその中にしっかりとした鋼鉄を、一輪のすみれの花を添えて包んでいってほしい」。

 鋼鉄と一輪のすみれは、芯の強さと優しさをなぞらえています。さらに三角先生が教育にかける想いとは、「皆が自由に楽しく学べばよい。子どもたちがそれぞれもって生まれた天分を伸ばしてあげればよい」というものでした。2022年度からスタートする「文理探究コース」は、生徒の科目選択の幅を広げ、一人ひとりがもつ天分を伸ばす「探究女子」を育てるコースです。そして従来より独自の教育で「美」を探究してきた「美術デザインコース」にも、充実した「探究」のカリキュラムが加わります。

 文理探究コースには英語アドバンスクラスと英語スタンダードクラスが設置され、美術デザインコースは2年次にアートコースとデザインコースに分かれて、将来を具体的に見据えた探究活動を行います。トキワ松学園が育てる「探究女子」について、中山正秀校長と、探究活動に不可欠なファシリテーターの経験豊富な松本理子中学教頭にお話を伺いました。

幅広い進路選択を実現するために
探究女子を育てます

中山 正秀 校長 中山 正秀 校長

 本校は従来、美術デザインコース・特進コース・進学コースの3コース体制でした。特進と進学には2年次の文理選択を経て、具体的な進路が実現できるようなカリキュラムを設定していました。

 しかし今、社会のさまざまな場所で必要とされる力や資質は、文系・理系という分け方では意味のない時代になっています。大学でも、文理を融合した学部・学科が数多くあります。たとえば看護学部をめざす場合は、文系・理系双方の知識が必要となりますし、今後はさまざまな職業において、文理を融合した知識や見識が必要となるでしょう。

 2022年度から新設する文理探究コースでは、文系・理系という狭い選択肢ではなく、幅広い進路に向けた教科選択をすることができます。

 新しいコース制の核となる「探究」は、文理探究・美術デザインコースともに、高1で週2時間、高2で週3時間を設けます。まず高1で課題を見つけて研究するまでの道筋を学び、視野を広げて自分のテーマを定める下地作りをします。高2では自分のテーマを決定して、本格的に探究に取り組みます。最終的には文化祭や校内発表だけでなく、学校外の発表の場にも挑戦します。

 本校の考える「探究」とは、今まで自分が考えもしなかったような切り口や視点から物事を考えるためのきっかけ作りです。たとえば数学が苦手でも、自分の興味・関心のある分野を探究し、知識を深めるなかで数学的な分野にたどり着くことがあります。美大志望でなくても、社会学の切り口から探究し、結果的に芸術分野の知識を深めることもできます。

 2019年に、本校とゼブラ株式会社が協力して商品開発を行った「サラサセレクト ソフトグリップ」というボールペンが発売されました。商品開発に取り組んだのは、開発授業を受けた(本校の)高2の生徒たちです。この授業は、一つの商品を開発するための企業のコンセプトを知り、人が求めるものは何かを考え、企業の方の前でプレゼンテーションをして自分たちの思いを伝えるといったたくさんの過程があり、実社会と連携して「探究女子」となるための、幅広い学びがあります。

 本校では従来から、さまざまな企業の協力で商品開発授業に取り組んできました。また、「Global Studies」で世界の諸問題を英語で学び、授業のほかに海外研修プログラムでも英語を母国語としない世界の人々とコミュニケーションを図り、視野を広げ、考えを深めてきました。

 本校で今まで培ってきた教育の過程こそが「探究」です。2022年度からスタートする文理探究コース、そして美術デザインコースの探究活動は、今まで本校が取り組んできた「探究」をさらに深め、「鋼鉄に一輪のすみれの花を添えて」、明日の世界に貢献する女性を育てます。

クリエイティブな視点をもって
課題解決策を見いだす探究活動

松本 理子 先生 松本 理子 先生

 2022年度から始まる探究活動は、課題を発見し、他者と協働しながら新しい解決策を探る活動です。

 高1では全国の中高生が取り組む探究学習プログラム『クエストエデュケーション』に参加します。これは企業のミッションや社会課題に取り組み、社会に向けて発信するプロジェクトです。

 高2では自らのテーマを決めて、具体的な探究活動に取り組みます。そのときに必要となるものが、本校が創立以来大切にしてきたクリエイティブな視点です。これからの社会は、すべてのものがデータ化されて、データサイエンスを活用しなければ解決できない問題が増えていくでしょう。グローバル化が進む一方で、環境問題も深刻になるという複雑な世の中になると想像できます。そのような社会課題を解決するためには、従来の価値観を打ち破るような、クリエイティブな視点が必要です。

 トキワ松学園の廊下には、美大をめざす生徒たちの作品が展示されています。カフェテリアには横浜美術大学の学生の作品が展示され「大学ギャラリー」となっています。美術デザインコースの生徒でなくても、日常的にアートに触れ、クリエイティブな感性を磨いています。探究活動に取り組むときも、トキワ松学園の学習環境そのものが、非常にいい刺激となっています。

 昨今、コロナ禍と大学受験改革の影響で、進路選択に慎重になる生徒が多いと言われます。しかし本校には、コロナ禍以前から自分の好きなことを探究して希望進路を実現させてきた生徒たちがいます。たとえば留学経験をきっかけに、フードバンクのお手伝いを始めた卒業生がいます。彼女はその経験を基に大学合格を果たし、今は弁護士として活躍しています。ほかにも高校時代の研究論文や課題レポートによって総合型選抜で合格を果たす卒業生たちなど、求める将来を明確にしながら進路を選択してきた素地があります。

 多彩な進路希望をサポートするノウハウは、教員の中に蓄積されています。図書室には美術書をはじめ探究に必要な蔵書が充実していますし、知識を備えた司書もいます。高1で行う「思考と表現」の授業は探究活動の土台作りです。なかでも「対話による絵の鑑賞」という授業では、絵を見て感じたことを豊かに表現するだけでなく、どこからそう感じたのか、根拠を明らかにするトレーニングを行います。

 近年、「STEAM教育(Science、Technology、Engineering、Art、Mathematics」の頭文字をとったもの)が話題となり、なかでもアートの必要性が説かれていますが、本校では以前からそこを重視して教育を行ってきたのです。

 課題解決に必須となるクリエイティブな視点は、大学生や社会人になっても、あるいは家庭内でも必要なものです。本校で経験する「探究」が、生涯にわたって役立つ力を育てるきっかけになってほしいと考えています。

トキワ松学園とゼブラ株式会社のコラボによって商品開発されたサラサセレクト ソフトグリップ。「受験勉強で長時間使っても指が痛くならないグリップ、好きなインクを組み合わせることのできる替芯など、高校生のアイデアが詰まったボールペンです」(松本先生)
美術書が充実した図書室で、美術の授業が行われていました。作品作りのためにモチーフ探しを行っています。

学校情報

女子校
トキワ松学園高等学校

〒152-0003
東京都目黒区碑文谷4-17-16

TEL:03-3713-8161

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