2022年度から始まる探究活動は、課題を発見し、他者と協働しながら新しい解決策を探る活動です。
高1では全国の中高生が取り組む探究学習プログラム『クエストエデュケーション』に参加します。これは企業のミッションや社会課題に取り組み、社会に向けて発信するプロジェクトです。
高2では自らのテーマを決めて、具体的な探究活動に取り組みます。そのときに必要となるものが、本校が創立以来大切にしてきたクリエイティブな視点です。これからの社会は、すべてのものがデータ化されて、データサイエンスを活用しなければ解決できない問題が増えていくでしょう。グローバル化が進む一方で、環境問題も深刻になるという複雑な世の中になると想像できます。そのような社会課題を解決するためには、従来の価値観を打ち破るような、クリエイティブな視点が必要です。
トキワ松学園の廊下には、美大をめざす生徒たちの作品が展示されています。カフェテリアには横浜美術大学の学生の作品が展示され「大学ギャラリー」となっています。美術デザインコースの生徒でなくても、日常的にアートに触れ、クリエイティブな感性を磨いています。探究活動に取り組むときも、トキワ松学園の学習環境そのものが、非常にいい刺激となっています。
昨今、コロナ禍と大学受験改革の影響で、進路選択に慎重になる生徒が多いと言われます。しかし本校には、コロナ禍以前から自分の好きなことを探究して希望進路を実現させてきた生徒たちがいます。たとえば留学経験をきっかけに、フードバンクのお手伝いを始めた卒業生がいます。彼女はその経験を基に大学合格を果たし、今は弁護士として活躍しています。ほかにも高校時代の研究論文や課題レポートによって総合型選抜で合格を果たす卒業生たちなど、求める将来を明確にしながら進路を選択してきた素地があります。
多彩な進路希望をサポートするノウハウは、教員の中に蓄積されています。図書室には美術書をはじめ探究に必要な蔵書が充実していますし、知識を備えた司書もいます。高1で行う「思考と表現」の授業は探究活動の土台作りです。なかでも「対話による絵の鑑賞」という授業では、絵を見て感じたことを豊かに表現するだけでなく、どこからそう感じたのか、根拠を明らかにするトレーニングを行います。
近年、「STEAM教育(Science、Technology、Engineering、Art、Mathematics」の頭文字をとったもの)が話題となり、なかでもアートの必要性が説かれていますが、本校では以前からそこを重視して教育を行ってきたのです。
課題解決に必須となるクリエイティブな視点は、大学生や社会人になっても、あるいは家庭内でも必要なものです。本校で経験する「探究」が、生涯にわたって役立つ力を育てるきっかけになってほしいと考えています。
トキワ松学園とゼブラ株式会社のコラボによって商品開発されたサラサセレクト ソフトグリップ。「受験勉強で長時間使っても指が痛くならないグリップ、好きなインクを組み合わせることのできる替芯など、高校生のアイデアが詰まったボールペンです」(松本先生)
美術書が充実した図書室で、美術の授業が行われていました。作品作りのためにモチーフ探しを行っています。