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私立中高進学通信

2022年8月号

実践報告 私学の授業

サレジアン国際学園世田谷中学校

PBL型授業が
世界に羽ばたく力をはぐくむ

校名変更・共学化を控えてPBL型授業を全教科で本格導入
歴史総合のPBL型授業。班ごとに意見をまとめてプレゼンを行います。

歴史総合のPBL型授業。班ごとに意見をまとめてプレゼンを行います。

PBL型授業で
生徒たちの「考えたい」を刺激
授業冒頭では、各自が資料を調べて考えをまとめます。授業冒頭では、各自が資料を調べて考えをまとめます。

 カトリックの人間観・世界観により、創立者聖ヨハネ・ボスコと聖マリア・ドメニカ・マザレロによって創立された扶助者聖母会(サレジアン・シスターズ)を設立母体とする同校。来年度からは校名を「サレジアン国際学園世田谷」と変更し、共学化。「世界に羽ばたける力、『世界市民力』をはぐくむ」を教育方針に掲げており、その一環として、本年度からPBL(Problem Based Learning)型授業を全教科で本格的に導入しています。

「昨年の3学期に試験導入した当初は、生徒たちもPBL型授業に戸惑いがあったようですが、最近は、私が用意したトリガークエスチョン(テーマの核心に触れた問い)のポイントを考えて調べるコツがわかってきたようです」

 そう話すのは、同校の社会科を担当する加嶋尚正先生です。

「私が担当する社会科は、これまでであれば“暗記科目”と言われることが多かったです。しかし、PBL型授業の導入によって生徒たちが主体的に考え、それを言葉にして発表する形に変化していきました。生徒たちは資料を調べ、論理的に考えをまとめることに前向きに取り組んでいます」

 PBL型授業の導入によって、生徒たちが「考えたい」という意欲を持っていることを実感したと加嶋先生は話します。

「こちらで用意したトリガークエスチョンに対して資料を調べ、自分の考えをまとめて発表することに積極的・意欲的な生徒が多いと感じています。自分の考えを『話したい』『伝えたい』と思っている生徒が想定していた以上に多いですね。もちろんなかには人前で話すことが苦手な生徒もいますので、そうした生徒にはしっかりフォローしていきます。問題に取り組む姿勢については、全員が満点だと思っています」

より良いプレゼンのため
活発に意見交換を

 PBL型授業では、しっかりと自分の意見が相手に伝わるようにプレゼンするというスタンスが必要になると加嶋先生は話します。

「歴史総合ではグループワークが中心で、生徒たちがトリガークエスチョンに対して教科書やネットを活用して資料を集め、班ごとに発表する内容をまとめていきます。その際に、より相手に伝わるプレゼンにするため活発に意見や考えを出し合うことが重要なポイントとなります。ただ本校の生徒たちは遠慮がちで、相手を傷つけないように自分の意見を言うだけにとどまっていて、班のプレゼンの質を向上させるという点では、改善していく必要があるように感じています。発表のスキルも含めて、そうした話し合いの部分で今後生徒たちがどう変わっていくのか見守っていきたいですね」

生徒の成長に合わせて
教員もレベルアップ

 まだ不慣れな部分はあるにしろ、生徒たちの問題に取り組む前向きさには大きな手応えを感じている加嶋先生。生徒たちが教員の想定を上回る部分にまで資料を調べてくる姿勢に、大きな可能性とやる気を感じると同時に、トリガークエスチョンに対する発想の自由さには毎回驚かされると話します。

「想定を上回る自由で多様な興味深い発表が行われるので、私自身も楽しみにしています。歴史で事実誤認がある場合には指摘しますが、せっかく考えて調べてきたことなので、そのやる気がうまく発揮できるように注意しています」

 今後、生徒たちが成長してどんなプレゼンを見せてくれるか楽しみだと話す加嶋先生。そのためには教員としてもバージョンアップしたものを生徒たちに提供しなくてはいけないと感じています。

「生徒がレベルアップすれば、教員もレベルアップしなくてはいけません。生徒たちにバージョンアップした課題を提供するために、我々教員も勉強し続けることが大切だと思っています」(加嶋先生)

班のメンバーによる意見交換班のメンバーによる意見交換
各班のプレゼン内容についてアドバイスする加嶋先生。各班のプレゼン内容についてアドバイスする加嶋先生。
加嶋先生が各班に用意した、ファシリテーターやプレゼンターの役割とやるべきことをまとめたメモ。加嶋先生が各班に用意した、ファシリテーターやプレゼンターの役割とやるべきことをまとめたメモ。
それぞれの考えを持ち寄り、班のプレゼン内容を決定します。それぞれの考えを持ち寄り、班のプレゼン内容を決定します。
決められた時間内で各班のプレゼンが行われます。決められた時間内で各班のプレゼンが行われます。
授業後、質問に来た生徒たちにアドバイスする加嶋先生。授業後、質問に来た生徒たちにアドバイスする加嶋先生。
ココも注目!
PBL型授業で論理的な文章力も向上
社会科の加嶋尚正先生社会科の加嶋尚正先生

 私の授業では班ごとのプレゼンを聞いた後、最終的な自分の考えを300字でまとめて提出してもらっています。この300字というのは、50分の定期テストで答えることを想定した文字数設定です。1000字も書いていては他の問題に手が回らなくなってしまうので、300字という限られた字数に収めることも一つのトレーニングだと説明しています。

 PBL型授業を導入してから、生徒たちの文章の書き方が上達し、論理的な文章が書けるようになったことを実感しています。昨年3学期から約半年でこれだけ成長が見られたので、生徒たちはこれからもまだまだ成長していくと思っています。

(この記事は『私立中高進学通信2022年8月号』に掲載しました。)

進学通信 2022年8月号
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