ヴェリタス城星学園では、外部のスペシャリストから直接学べる講座や、各教員の得意分野を生かした講座など、生徒が自分の興味・関心のある分野を選んでオープンな雰囲気で学ぶことができる探究的な学びの時間『学びの森』を週に4時間設けています。「大学・企業とのコラボ」「実験・体験」「外国語・外国文化」「ICT」などそのジャンルはさまざま。偏差値という他者からの評価ではなく、自分自身と向き合い、高校生活で人としての”生きる力”を育むことを目指します。
今回、『学びの森』から、北海道北部の農業をテーマに他校の生徒とフィールドワークに取り組む『オホーツク学』と、お弁当作りを通じて食に関する見聞を広げる『お弁当企画』、さらに放課後の課外学習として展開している『韓国語のひろば』に参加する3チームの生徒にインタビューを行いました。
左よりOMさん・ORさん・NYさん(全員高1)
『オホーツク学』ではどのようなことを学ぶのでしょうか。またこの講座を選択した理由は?
●NYさん
オホーツク地域(網走市を中心としたエリア)の農業をテーマに、「オホーツク地域の農業従事者が抱えている課題」を知り、「オホーツク農業が衰退すると私たちにどのような影響が及ぶのか」などの探究活動に取り組みました。
私にとって、農業は身近なものではありません。さらに大阪から遠く離れた北海道北部エリアの農業ということで、まったく想像ができなくて、逆に興味がわいたからです。
●OMさん
校内での調べ学習に加え、フィールドワークでオホーツク地域に行けると聞き、「楽しそう!」と思ったので選びました。
●ORさん
私は三重県から登校していて、周囲には田畑があるものの、農業の知識がないため、良い学びの機会だと思いました。もちろん、現地に行けるというのも決め手でした。
現地のフィールドワークで、学んだことを教えてください。
●NYさん
家族で農業をされている方に質問をする機会がありました。「もし家業の農業を継いでいなかったら、何をしていたと思いますか?」と質問をすると、その方は「農業をしていない自分は想像できない。皆で北海道の農業を盛り上げていきたい。でもほとんどの農家が後継者不足で悩んでいる」とおっしゃっていました。そのような熱い想いで仕事をしているのに後継者不足が深刻だと知り、胸が痛くなりました。
●OMさん
現地のスーパーマーケットで、大阪で販売されている商品との違いを調査しました。驚いたのは、カニが大阪よりもだいぶ安く販売されていたことと、見かけない野菜もたくさんあったことです。そして大阪と比較すると、モノの価格が安いと感じました。また、大手製菓会社の有名なお菓子のフレーバーが北海道仕様になっているものがあり、同じ日本なのに、違いがたくさんあるところに、さらに興味がわきました。
●ORさん
フィールドワークでは、他校の生徒と一緒に班を組み行動しました。私の班は、他校の高2生ばかりで高1生は私だけでしたが、先輩たちが、後輩の私がのびのび行動できるように配慮してくださって、私もこのように気遣いのできる先輩になりたいと思いました。最終日にはオホーツク農業の課題解決策を考えて発表。ベテラン農家と新人農家の出会いをサポートするマッチングアプリがあるのですが、それを普及させる方法を考えて発表しました。発表に向けて先輩たちが上手にスライドを制作するのを見ていたので、自分の資料作りのスキルが上達したのも大きな収穫です。
●NYさん
私も他校の生徒から刺激を受けました。農家の方に質問する際、皆がパッと手を上げて簡潔に質問をする姿を見て、「すごいな」と思いました。
●OMさん
私もです。自ら積極的に質問する姿に刺激を受けて、見習おうと思いました。私は、初対面の人と打ち解けるのに時間がかかるタイプです。他校の人と班を組むことに少し不安を感じていましたが、今回のフィールドワークでは皆、自分から打ち解けようとしていて、すべては自分の行動次第だと感じました。最初は北海道に行けるのが魅力と思っていましたが、それ以上に魅力のある体験と学びでした。
他校の生徒とフィールドワークに取り組む生徒たち。
左から、YRさん・AMさん・ATさん・NKさん(全員高2)
お弁当は、近畿・大阪の名産品を使ったお弁当を考えたそうですね。皆さんのお弁当の内容を教えてください。
●NKさん
私たちはバランスの良い食材を使って可愛い動物キャラクターで『アニマル弁当』を考えました。
●ATさん
私たちの世代は、ダイエットに興味があります。ダイエットの最中には、身体に飢餓状態じゃないことを伝えるために、好きなものを自由に食べる日「チートデイ」を設けなくてはなりません。私たちはチートデイに最適な『韓国風弁当』を考えました。
●AMさん
私たちのチームは、日本の食材や出汁文化のすばらしさを再認識してもらいたいと考えて、『和風おにぎり三種詰め合わせ弁当』を考えました。おにぎりの具は、鮭やイクラで、最後に出汁をかけてお茶漬けにする提案をしました。
●YRさん
私たちは『ガーリックライスとステーキの欧米風弁当』です。ガーリックライスにブロックのステーキ肉、キノコのソテーなどを添えたボリュームたっぷりのお弁当です。
お弁当の内容を決める前に、販売価格を決めていたそうですね。
●NKさん
『アニマル弁当』は、700円で設定。今、スーパーマーケットで食材の価格を調べている最中です。
●ATさん
私たちは900円です。
●AMさん
私たちは700円~800円です。
●YRさん
『欧米風弁当』は900円~1500円を想定していました。今、野菜も肉も価格が高騰しているので、難しいなと感じています。
『お弁当企画』を通じて、何が学べましたか?
●NKさん
今までお弁当を選ぶときは、好きな物が入っているかどうかを重視していました。今回、作りたいお弁当の価格まで考えたことで、健康面・味・満足感を満たしつつ、購入しやすい価格の市販のお弁当は、相当な企業努力をされていることがわかりました。お弁当を考える前に、生協の方から食品ロスのことや余った食品を必要な人たちに分配するフードドライブの取り組みを聞いたことも印象に残っています。
●ATさん
今まで、お弁当、お店の料理など何気なく食べていましたが、たくさんの人の努力と工夫が重ねられているとわかりました。見えないところで頑張っている人がいることを実感し、将来の仕事を考えるときのヒントになったと思います。
●AMさん
今、物価高騰しているのに安くて美味しいお弁当を販売している企業や店はすごいです。商品開発にも携わってみたいと思うようになりました。
●YRさん
最初は料理が好きで『お弁当企画』を選びましたが、この企画を通じて価格のことも考えるようになりました。そして、買いやすい価格で美味しいお弁当を見ると、作り手の努力と愛情を感じるようになりました。また、お弁当の中でも安いから売れるものもあれば、高価でよく売れるものもあります。なぜ、そのようになるのか疑問を感じ、このことをもっと探究したいと思うようになりました。
写真左から、YHさん(高2)・NSさん(中3)・TMさん(高2)・IRさん(高2)
韓国語を学ぼうと思ったきっかけを教えてください。
●YHさん
私はK-POPが好きで、アイドルの人たちが何を言っているのかを知りたくてミュージックビデオやインタビュー動画を見ていたら、少しずつわかる言葉も増えて。でも、ハングルは全くわからなかったので、きちんと勉強したいと思ったんです。
●NSさん
小学生のとき、韓国語が話せるクラスメートがいて、教えてもらっていました。その後、K-POPにはまり、本格的に韓国語を勉強したくなりました。
●TMさん
大阪にはコリアンタウンがあるので韓国の文化に触れる機会が多く、以前から韓国に興味がありました。IRさんに「一緒に韓国語を勉強しよう」と誘われたのがきっかけです。
●IRさん
先生から韓国料理の写真を見せてもらううちに韓国に興味を持つようになりました。TMさんを誘ったら「勉強したい!」と言ってくれたので一緒なら頑張れると思いました。
みなさんは、2024年2月、韓国政府機関主催のスピーチコンテスト『話してみよう韓国語』の近畿大会に、出場されたのですよね。
●YHさん
私は[スピーチ部門]に出場しました。自分で作成した文章を暗記してスピーチしました。内容は、言語アプリケーションで知り合った韓国の高校生と交流して、「韓国は徹底した学歴社会のため高校生は総じて勉強熱心」「国によって国際的な出来事の解釈が異なる」など、発見したこと、感じたことをまとめました。
●NSさん
友だちとペアで約2分の寸劇をする[スキット部門]に出場しました。私たちは、修学旅行先が韓国で、ロッテワールドに行くことを決めるという内容です。寸劇の世界観をいかに表現するのかが審査基準でした。
●TMさん
私もIRさんとペアで[スキット部門]に出場しました。日本人と韓国人の二人が、互いの国のお祭りを教え合うというシチュエーションです。
●IRさん
[スキット部門]の台本は半分指定されていて、残り半分は各ペアが自由にオチを考えて作成して演じます。オチは日本語で作成して、それを先生と一緒に韓国語に翻訳しました。
『韓国語のひろば』を通じて、自分にどのような変化がありましたか?
●YHさん
外国語を学ぶということは世界観や視野が広がるということです。大学生になったら韓国に留学したいと思っています。
●NSさん
韓国語を学び、予想以上の結果が出たことで、いろいろなことにチャレンジしたいと思うようになりました。将来の夢は、女優になって韓国で活躍することです。
●TMさん
寸劇の練習に一生懸命取り組み、自分たちなりに納得のいく結果を出すことができました。でも近畿大会では、驚くほど流ちょうに韓国語を話す人たちがたくさんいて、上には上がいることを実感。これからもいろんなことにチャレンジしたいと思います。
●IRさん
私も、近畿大会で「みんなスゴイ!」と感動しました。休み時間も放課後も真剣に練習したことはよい思い出になったので、挑戦してよかったです。また、私はもともと外国語に苦手意識があったのですが、やればできるという確信を持てたと感じます。