

『パウンドケーキ探究』でレシピ開発に挑戦
先が読めない時代に求められる“自ら人生を切り拓く力”を身に付けてほしい。そんな思いから始動した三田学園の学校改革。伝統の文武
両道を二次元的な学びと捉え、さらに三次元的な学校生活へと昇華させるべく、探究学習『探究SGメソッド』の導入やグローバル教育の活性化など、さまざまな取り組みを展開してきました。目指したのは、好きなことを深く探究する経験を通して主体的に学ぶ姿勢を育み、総合型選抜はもちろん、その先の人生にも活きる力を身につける場へと進化させることです。
そして今、学校改革を推進してきた主幹教諭の鈴木応男先生が「改革前とは全く違う学校」と表現するほどの成果が表れているといいます。その進化をけん引しているのが、放課後の『Thank you 探究Day』。これは正課の探究学習『探究SGメソッド』の延長線上にあるもので、教員や生徒が、自分の興味のあることをテーマとする講座・プロジェクトを展開する課外活動です。
「当初は教員による講座がメインでしたが、今では生徒が自ら立ち上げた講座・プロジェクトのほうが多くなっています」。
たとえば『パウンドケーキ探究』ではパティスリーとのコラボレーションによってケーキのレシピ開発に挑戦し、オープンスクールで販売を実現しました。『カブトムシ探究』を立ち上げた生徒は、オープンスクールでカブトムシに関する授業と研究の経過報告を、来校者に向けて行いました。
「持ち込んだ企画にNGを出しても、生徒がそのままあきらめることは絶対にありません。どうすればOKが出るのかを考えるのです」。
失敗も含めて全てが探究の場。「やりたい」という強い気持ちがあるからこその学びと言えるでしょう。
『Thank you 探究Day』に象徴される、生徒の主体性を育み尊重するスタイルは、学校の教育活動全体にも浸透しつつあります。その一つが、新しい授業づくりの活性化。『探究SGメソッド』を通して主体的に学ぶ姿勢を身に付けた生徒たちがホームルームで話し合い、“学び方は自分たちで決める”というラーニング・コンパスを打ち出しました。それに伴い教員のマインドも変化し、授業スタイルのブラッシュアップが進んでいます。
「私の社会の授業では、各自の勉強方法に合わせて、3種類のプリントを用意して、選べるようにしています。さらに、生徒の中には学内の枠にとどまらず、自ら子ども食堂にボランティアを申し出るなど、学外で活動する生徒も増えており、その際、学校や教員に確認するべきかどうかの判断もできるようになっています。今後もどんどん活動の場を広げてほしい。そうした学校生活が、納得できる進路選択や進路実現につながると信じています」(鈴木先生)
進路指導部を、進路支援部へ名称変更したのも主体性を重んじるスタンスの表れの一つです。個々の「やってみたい」を、未来につなげる教育のさらなる進化に注目が集まります。

総合学習(中学)/総合探究(高校)
2022年度に始動した『探究SGメソッド』は、フィールドワークを中心とした探究プログラムに取り組む【総合学習・総合探究】、分野横断的なSTEAM教育にものづくり(ロボティクス)の要素をプラスした【STREAM】、コミュニケーション能力をはじめグローバルリーダーに求められる資質を磨く【CONNECT】の三つの柱で構成。“楽しさに気づく”きっかけとなるような学びを展開しています。
並行して、試験期間だけ集中的に勉強するという誤った学習習慣を防ぎ、日々の振り返りを促すべく、中間考査の廃止、総合的に成績を判断する“観点別評価”の導入など、多角的なアプローチで主体的に学ぶ姿勢の確立を図っています。
●総合学習(中学)/総合探究(高校)
中学ではSDGsを中心とした課題解決型学習を、高校では社会への貢献を目指す探究プログラムを展開。高2では集大成として、各自でテーマを設定する『個人研究』に臨む。
●STREAM
科学・技術・工学・数学・アートを総合的に学ぶSTEAM教育に、ものづくり(Robotics)の要素を盛り込み、中1・中2に実施。トライアル&エラーを大事にしながら、飛行機づくりやプログラミングに取り組み、創造性や科学的思考力を育む。
●CONNECT
中1~中3の3年間、グローバル社会で求められるコミュニケーションスキルなどを養成。2026年度からは『CONNECT』に名称変更し、生徒に合わせてアップデートさせたプログラムがスタートしている。

STREAM

CONNECT
正課の探究学習『探究SGメソッド』を通して芽生えた「もっとやってみたい!」という挑戦心を実践する場。保育園を手伝う職業体験や、駅の清掃や子ども食堂といったボランティア活動をはじめ、「パウンドケーキ探究」や「カブトムシ探究」などの多彩な活動が生徒発案で進行中。映像制作チームの作品が、外部に向けた学校紹介動画として採用された実績も。

職業体験(保育園)

パウンドケーキ探究

中1の時にカブトムシ探究チームを立ち上げました。テーマは「赤いカブトムシをつくるには」。栗の木が多いところで赤いカブトムシの出現率が高いことから、栗の葉や渋皮に含まれるタンニンが関係しているのではという仮説を立てました。
現在は、「真っ赤なカブトムシは生まれるのか?」と、幼虫が育つ腐葉土に対する栗の葉の濃度や温度変化による影響を検証するため、実験の準備を進めているところです。
中2の春のオープンスクールでは小学生に向けて、カブトムシの魅力や研究について紹介する授業をしました。最初は「挑戦したい」という思いだけがあったのですが、先生に相談しながら取り組むうちに、筋道を立てて考え、行動するようになりました。