
生徒が学びに夢中になるきっかけは、「心が動いた瞬間」にあります。近畿大学附属が取り組む大学連携教育は、そんな感動の種をまく場。キーワードは「体験」です。一つの体験が人生を決める進路選択にまでつながっていく、その背景に迫ります。

大学附属校の強みの一つが、大学の高度な講義が受講できたり、施設を使用するなど、大学と連携した取り組みだと言われます。近畿大学附属中高もその魅力を持っていますが、一般的な大学連携教育のイメージとは一線を画すのが、「体験学習」中心の連携が極めて充実している点です。入試企画部長・原隆博先生も「ここまで強い連携はめずらしいのではないか」と言います。医学部・薬学部での臨床的な体験、理工学部・生物理工学部での実験、農場や水産研究所での実習などが代表的なものです。
しかし、なぜそこまで連携や体験を重視するのでしょう。一つには、大学のような最先端の教育現場で、生徒たちに「ホンモノ」に触れさせたいというねらいがあります。原先生はその根底にある思いを説明してくれました。
「生徒に『勉強を頑張ろう』と言うのは簡単です。しかし大事なのは『頑張る理由』をイメージさせること。そしてその勉強が自身の将来にどうつながるのかを実感すること。極論するなら、それさえ生徒たちが自覚できれば、あとは主体的に自走するはずです」
つまり、生徒が内に秘める「学びたい」という本能を信じているということ。だからこそ、大学の教育リソースを、表面的な知識として得るだけでは足りないと考えているのでしょう。最先端の研究や医療の現場で、どのような人たちが、どのような思いで、どのようなことをしているのか。脳が震えるような“肉感”のある気付きを届けるためにも、「体験」を重視してい
るのです。

もう一つ、体験型を重視する理由に「遊びの中から学ぶ」という考え方があります。農場体験一つとっても、生徒たちは“遠足”に来てるかのようなワクワクした表情を見せると言います。最初はそのような気持ちでの参加だったとしても、結果としてそこから得られる気付きが一つあるだけで、大きな財産となるはずです。生徒の興味・関心の着火点はどこにあるかわかりませんから、できるだけ多角的で多様な体験学習のプランを用意しているのです。
また、近畿大学が「未来志向の『実学教育』と『人格の陶冶』」を建学の精神としていることも、体験型の大学連携教育の良さをさらに加速させています。『実学教育』とは、意訳すると「実際に人々の役に立つ研究」のこと。ゆえに生徒たちも、学びと実社会および自己の生き方・生活がどのように結びついているのかを考えやすくなるのです。
このような体験型の大学連携教育を通して、生徒たちは「研究とは何か」「大学とはどのような場所か」がわかるようになります。それらの経験を踏まえて、大学進学においても、情報や先入観、偏差値やブランドだけに惑わされず、「自分が何をやりたいか、だからどの大学のどの学部がよいのか」という、原点にして理想的な進路目標を抱くようになるそうです。

●理工学部実験実習
●理工学部実験実習
物理分野の専門的な実験のほか、人口蛍発光、川の浄化、DNA抽出、原子炉見学などを体験できる。
●農学部体験実習
農作物生産にとどまらず、環境や生命、健康など、サイエンスの視点で「農」に触れる体験実習。
●生物理工学部実験実習
最先端のバイオテクノロジー分野に踏み込み、人工臓器の仕組みや心臓手術のシミュレーションを学ぶ。
●湯浅農場体験
柑橘遺伝資源保存園での実習。座学から農園見学、剪定、収穫まで果実栽培の現場を体感する。
●南紀体験学習
近畿大学水産研究所で、近大マグロの養殖技術に触れる。水族館のバックヤード見学も可能。

●農学部体験実習

●生物理工学部実験実習

●湯浅農場体験

●南紀体験学習
近畿大学が擁する病院や、医学部・薬学部で体験実習などを行います。学年を重ねるにつれて、だんだん生命の本質に近づく学びとなるように設計されていることが特徴です。
「単に、医学部へ進学できる学力の向上を目的としたコースではありません。何よりそれ以前の、医療人としての倫理観を養うことを最重視しています。命とは、人を治すこととは、そこに携わる責任とは?体験を通してそれを心に刻み込んでほしい。それに、看護師、各種専門職、さらに事務職員や清掃スタッフなど、あらゆる人が協力して支えているのが医療現場。医師だけで医療はできないのです。そうした視点を持てる人間を育てなければいけませんし、そうでなければ『医薬コース』を名乗る資格はないという信念で臨んでいます」(入試企画部長・原隆博先生)
●奈良病院見学会(中1)
近畿大学奈良病院で医師の講話を聴いたり、病院施設を見学するほか、模擬診断などを体験。
●薬学部見学・体験実習(中1・中2)
薬学部と連携し、医薬品開発の現場体験や、薬用植物を栽培する植物園で観察を行う。模擬調剤や無菌室も体験できる。
●医学部見学・体験実習(中2・高1)
中2では近畿大学医学部にて、医師以外の立場から医療を支える人たちや、専門分野について学ぶ。医療人としての倫理観が芽生える大きなきっかけとなる。高1では、より臨床に近い実習に触れる。解剖学に基づいた人体の構造など、大学と連携できるからこその専門的体験に踏み込んでいく。
●奈良病院看護体験実習(中3)
再び近畿大学奈良病院を訪れ、看護体験実習に挑む。現職看護師のサポートやカンファレンスに参加し、リアルな医療現場に挑む。

●奈良病院見学会

●薬学部見学・体験実習

●医学部見学・体験実習

●奈良病院看護体験実習