強豪・東山の『ロボット研究会』が2024年2月、『FIRST LEGO League全国大会』で、悲願の全国総合優勝。4月にアメリカで開催された『世界大会』では“Robot Design Award Finalist”を受賞! 過去2年連続で全国大会に出場しながらも、世界にはあと一歩及ばず涙を呑んできたメンバーたち。さらに、大会規定で参加資格は16歳までとなっているため、高1のチームは今回が最後の挑戦でした。その思いも込めたチーム名は『Last Higashiyamars』。世界大会での激戦を終えて帰国した彼らに、ロボット競技にかけた思いと貴重な体験をお話してもらいました。
FIRST LEGO League(FLL)とは?
9~16歳の青少年を対象とした世界最大規模のロボット大会。LEGOが市販するロボットキットを用いて自作のロボットを製作。制限時間内にミッションをクリアする「ロボットゲーム」、問題解決策を提案する「イノベーションプロジェクト」、チーム力を競う「コアバリュー」、ロボットの性能をプレゼンする「ロボットデザイン」の4部門で競い合い、合計点数が最も高いチームが総合優勝となる。
アメリカ・ヒューストンで開催された『FLL世界大会』。最大の特徴はチーム戦であること。「全員で協力して目標を達成する経験が何よりも宝物」とメンバーたち。
FLLにはどのような意気込みで臨みましたか?
Tさん まずは全国大会優勝が目標でした。最後の挑戦でしたし、過去の敗退の悔しさをぶつけようと!
Oさん 前回は予選1位だったにもかかわらず、本番で力を出し切れずに世界への切符を逃してしまい、後悔することがたくさんあって。今回は、とにかく悔いなくやり尽くそうという思いでした。
Nさん 「ロボットゲーム」で安定して満点を取ることに重点を置きました。そうした自分たちの課題をクリアすれば、おのずと成果はついてくると信じました。
全国大会(会場:東京大学)で苦労したことは?
Tさん 「イノベーションプロジェクト」分野で、「美術知識がない人でも美術館を楽しめる仕掛け」をテーマに、美術品を見た感想を共有できるシステムを作りました。実証実験をさせてもらうため、いくつもの美術館にお願いしたことや、その後の打ち合わせが大変でした。
Oさん 僕は大会本番前に体調を崩してしまって。この日のために一年間頑張ってきたし、絶対に参加したくて…。最終的には当日合流できました。
Nさん 欠員も想定して事前に代役メンバーも決めていたので、落ち着いて対応できたと思います。予期せぬトラブルへの対応も含めた万全の準備をしておくことには注意を払いました。
世界大会出場が決まった瞬間の気持ちを教えてください。
Tさんその瞬間は、喜びにひたっていましたが、現実として世界大会までの時間はあと2カ月。準備や次への課題への不安が次々に頭の中にわいてきました(笑)。
Oさん発表の瞬間はあまりに緊張していたのか、持っていたペットボトルを無意識に握りつぶしていました!
Nさん本当に「感無量」の一言に尽きます。これまでの2年間に呑んできた悔し涙を思うと…。
世界大会で印象に残っていることは?
Tさん 超巨大ホールの会場でした。ものすごくたくさんの人がいて、スケールの大きさに圧倒されました。大変だったのは、大会期間中の4日間、ホテルでもずっとプレゼンの練習などをしていたことですね。
Oさん 世界中から仲間が集まって交流するお祭りのような雰囲気だったことに驚きました。皆、「とにかく楽しもう!」という空気感なんです。僕たちのロボットはなぜかうまく作動せず…。「日本とは違う照明環境などがロボットのセンサーに影響を与えているのでは」と仮説を立てて対応できました!
Nさん 他国の参加者と合同チームを作って競技に臨むイベントがありました。初対面の、しかも海外の人たちとその場で仲間となり一緒に課題に取り組むのは、とても新鮮な体験でした!また、今度は僕が体調を崩してしまったんです。サポートメンバーも準備していましたが、チームワークの大切さを学べたと思います。
大会を終えた感想は?
Tさん 世界のトップたちが集まる大会に出場できただけでもうれしいのに、賞がいただけたこともすごく幸せです!
Oさん 世界に出たからこそ、世界のレベルを実感しましたし、見えたことがたくさんあります。もう一度出られたら、また違った結果が出せるはず。
Nさん 得たものは大きかったと思います。ここで得た課題は後輩たちに託します!
ロボット研究会顧問/山本晃弘先生
今回が最後の挑戦ということもあり、メンバーの大会にかける熱い思いが日本一、そして世界大会出場へとつながったのだと思います。ロボットの制作やプロジェクト活動、プレゼン練習などやるべきことがたくさんあるのですが、ほぼすべて生徒たちが主体的に取り組み、我々顧問はサポート役に徹していました。この経験は彼らにとってかけがえのないものになるでしょう。またその背中を見て後輩たちもさらに奮起してほしいと思います。