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進学通信

2023年9月

実践報告 私学の授業
自分の言葉で思いを伝える姿勢を育む 『5ラウンドシステム』

『5ラウンドシステム』の授業は、生徒たちにとって、リラックスして伸び伸び楽しみながら学べる場。

公開日2023/11/6
多角的に繰り返し学ぶことで実力を身につける

 2020年度より、「自分の言葉で英語を楽しんで使える人」の育成を目的として、中学の英語の授業に『5ラウンドシステム』を導入した大谷。神奈川県横浜市の中学校で開発され、現在では全国に広がっている指導法で、1年間で1冊の教科書を、5回(5ラウンド)、それぞれ異なる切り口で学ぶ授業スタイルのことです。

 授業は基本的に、英語のみで進行します。[ラウンド1]では、音声を聞いて大まかな内容を理解して、ストーリーの場面が描かれたピクチャーシートを並べ替えます。[ラウンド2]では音声を聞きながら教科書の文字を確認し、音と文字を一致させます。[ラウンド3]では本文を繰り返し音読し、[ラウンド4]では重要な単語や表現の穴埋めをしながら音読して文の構造を理解。そして[ラウンド5]では、自分の言葉で話の内容を他者に伝えます。授業は「導入」「ラウンドの活動」「帯活動」で構成されており、「帯活動」ではラウンドで触れた表現を使ってペアワークなどを行います。

英語科の須藤恭平先生(左)、崎中颯先生(右)。<br />
『5ラウンドシステム』導入のきっかけとなったのは、英語科教員の「より良い英語教育をしたい」という思い。有志で話し合い、視察を重ねるなかで『5ラウンドシステム』にたどり着いた。<br />
「そこで生徒たちが堂々と自分の言葉で英語を話す姿を見て、導入を決めました」(崎中先生)<br />
「体を動かす実技の授業に近い感覚です。英語に苦手意識を持つ生徒が減ったと感じます」(須藤先生)

英語科の須藤恭平先生(左)、崎中颯先生(右)。
『5ラウンドシステム』導入のきっかけとなったのは、英語科教員の「より良い英語教育をしたい」という思い。有志で話し合い、視察を重ねるなかで『5ラウンドシステム』にたどり着いた。
「そこで生徒たちが堂々と自分の言葉で英語を話す姿を見て、導入を決めました」(崎中先生)
「体を動かす実技の授業に近い感覚です。英語に苦手意識を持つ生徒が減ったと感じます」(須藤先生)

 重視しているのは、英語にたくさん触れること。たとえば[ラウンド1]の絵の並べ替えは、全8つのユニットが進むにつれて難易度が高くなり、生徒の意見も割れるため、自然と「もう一度聞いてみよう」となるそうです。「さらに教員からは、『登場人物は何を買っていた?』など、ピクチャーシートにはない質問を投げかけます。いかに生徒たちが『もう一度聞きたい』という気持ちにさせられるかが、教員の重要な役割の一つだと考えています」(英語科・須藤恭平先生)

 ラウンドでのリスニングや帯活動でのペアワークを通して4技能がバランスよく身につき、特にリスニング力は中2秋頃から飛躍的に伸びるそうです。2022年度に中3が受けたGTECでは、高1の全国平均に近いレベルにまで達しました。また、思いを伝えようとする姿勢、他者の思いを知ろうとする姿勢も養われ、『シンガポール研修』

(中3)では臆することなく英語で会話を楽しむ姿が見られたといいます。「まずは英語を好きになってほしい。好きなら、目標に向かってエンジンがかかったときにも頑張れるはずです。また、言語を学ぶことは、他国の文化や歴史を学ぶこと。多様な価値観を受け入れ、相手の立場に立って考えられる人になってほしいという思いもあります。このシステムの1期生(現高1)を通して確かな手応えを感じました。〝人生で活きる英語教育〟という自負を持って、今後も取り組んでいきたいです」(英語科・崎中颯先生)

Round 1&2繰り返し音声を聞くことを徹底

 音声でストーリーの概要をつかみ、ピクチャーシートを並び替える[ラウンド1 リスニング]と、教科書の本文を順不同に並べ、聞こえた順に並べ替える[ラウンド2 音と文字の一致]では、どちらも、何度も聞くことを徹底。

 「生徒が『もっと聞きたい』と求めるように導く授業にしています」(須藤先生)

 「『5ラウンドシステム』で使用する教科書のストーリーは中学3年間つながっているので、生徒たちが登場人物の言動を友だちのような感覚で見守るようになることもポイントの一つ。次はどうなるんだろうという興味が、聞くモチベーションになっていますね」(崎中先生)

Round 3&4教科書の本文に触れながら音読を重ね重要な単語や表現をインプット

 [ラウンド3 音読]では英文・英単語のインプットを目的として、教科書を見ながら音読。[ラウンド4 穴あき音読]では、音声を聞き、本文に設けられた空欄を埋めながら音読。「帯活動では、登場人物が仲間にした質問と同じ質問を生徒にも投げかけたり、『登場人物はこう答えてるけど、君たちはどう?』と聞いてみたり。それらにペアワークで取り組むこともあります」(崎中先生)

 最初は質問に単語や一文だけで答えていても、回を重ねていくと、少し長い文章で答えたり、生徒からも質問が来たりするなど、発話量が増えていくそうです。中3にもなるとさらに自分で話を広げられるようになっていきます。

Round 5繰り返し学んで身につけた 表現力を活かして 自分の言葉で伝えられるように

 [ラウンド5 リテリング]では、口頭練習を行った後、ペアワークに取り組む。ペアの組み合わせを変えたり、教員と生徒のやりとりなどを通して、さまざまな表現や視点をシェア。良いと思った言い回しを取り入れたり、考えや感想を加えながら、話した内容をまとめるライティング活動を実施する。この頃にはきれいに発音できるようになっており、感情を込めて話すといったレベルにまで成長。『5ラウンドシステム』1期生(現高1)のスピーキング力は、高校から入学した生徒にも良い刺激をもたらしているという。

 「英語を使って表現する楽しさを伝えられれば、『5ラウンドシステム』は成功でしょう。相手の気持ちに配慮した話し方など、コミュニケーション能力を磨くことにもつながっています。中学では、英検3級・準2級に挑戦してみようという雰囲気が高まっています。ゆくゆくは海外大学など、進路選択の幅も広がってほしいです」(須藤先生)