進学通信

2023年9月

実践報告 私学の授業
学んだ知識を活用し「自分の力」とする独自の探究学習

中1・中2の『アカデミア探究』での『探究発表会』。テーマ・実験内容・発表などを総合的に判断して最優秀賞・優秀賞・教員審査優秀賞が決定する。

公開日2023/11/13
仲間と力を合わせて考え積極的に行動する力を養う

 学問的な探究力を身につけて難関国公立大学進学を目標とする『アカデミアコース』と、基礎学力の定着と協働的な学びで可能性を広げる『カルティベーションコース』の2コースで希望進路を目指す仁川学院中学校。どちらのコースも「仲間と力を合わせること」「自分で考えて積極的に行動すること」を目標とした教育活動を実践しています。

 7月18日・19日、2日間にわたって、それぞれのコースでの学びの成果を発揮する取り組みが行われました。『アカデミア探究』(アカデミアコース)では、中1・中2合同班で自由にテーマを設定して実験を行い、その結果をまとめたポスターセッション『探究発表会』を行います。取材に訪れた18日は、翌日の『探究発表会』の準備としてポスター制作に取り組んでいました。先輩・後輩関係なく意見を出し合いながら、イラストを描く人、文章を書く人など、それぞれの得意分野で役割を分担して取り組む姿が印象的でした。

『カルティベーションウィーク』で、美術賢者からの試練「人物クロッキー」に取り組む生徒たち。

『カルティベーションウィーク』で、美術賢者からの試練「人物クロッキー」に取り組む生徒たち。

 『カルティベーションウィーク』(カルティベーションコース)では、「学んだ知識を実生活につなげる」「他者とのコミュニケーションのなかで〝自分の力〟を身につける」ことを目的とした課題解決型のアクティビティを実施しました。

 18日に行われたのは、 〝仁川七賢(7人の先生)〟が課した教科にまつわる7つの試練(お題)を、生徒たちが班で協力して解きながら7つのキーワード( 知恵の言葉)を集めて「ある言葉」を完成させるという、ゲーム感覚で楽しめるアクティブな取り組み。3学年合同の縦割り班で、まずは「私の推し」を語る自己紹介からスタート。先生が班ごとに「○○さんの推しは何だった?」と質問し、班の全員が正解を出すまで先には進めません。正解すると、賢者が待ち構える教室へと移動し、試練に挑戦します。19日は、前半はロールプレイ、後半は大学生(卒業生)を迎えて『卒業生講話』が行われました。 

 それぞれの目標に向かって意欲的に学ぶ生徒が集う同校では、どちらのコースも学校行事や課外活動で学年を超えた縦割り班で行動することが基本となっています。3年間で友だちの輪が広がるだけでなく、集団行動のなかでの自らの役割を自覚し、他者を尊重する心が生まれます。知識とともに、この成果を発揮できる機会となっているのが、この『アカデミア探究』『カルティベーションウィーク』なのです。

CASE1学んだ知識と技術を実生活に結びつける『カルティベーションウィーク』

 「仁川七賢」が与える“試練”を乗り越えるには、普段の学習で学んだ知識・技術を駆使し、班で協力しなければなりません。

 理科賢者からのお題は「コピー用紙30枚を使って、文具を一切使わずに身長よりも高い塔を作ろう」というもの。まずは塔のデザインを考え、話し合いながら紙を積み上げていきます。

 英語賢者(ネイティブ教員)からは、生徒が“ある言葉”を導き出すヒントを英語で考え、その言葉を賢者に答えてもらうという試練が。ある班は人気のキャラクター名に関して、学んだ単語や表現を駆使してヒントを作り、一生けんめいネイティブ教員に伝えていました。

 7つの試練は、どれも賢者のアイデアと企画力が光っており、生徒は抜群のチームワークで楽しそうに挑戦していました。

CASE2思考力・表現力を磨く『アカデミア探究』

 班ごとに自分たちで決めたテーマに基づいて仮説を立てて実験を行い、導き出した結論をポスターセッションとして発表した『アカデミア探究』。「今、自分たちにできる地球温暖化対策は?」「旨み成分が入っている場合と入っていない場合では、どちらが美味しいと感じるのか」「接ぎ木を成功させるには、どうすればよいのか」など、どの班もユニークなテーマを探究しました。

 準備段階のポスター制作では、担当の先生から「良いテーマなんだから、もっと目を引くようなタイトルにしてみては」などのアドバイスがあり、班で話し合い、ブラッシュアップさせながらポスターを作り上げていきます。それを見た他の班も触発されたのか、「このポスター、もっと見やすくできるのでは?」と発言する生徒の姿も見られ、互いに刺激を受けて成長していることがわかりました。

Interview★
ゲームを攻略するように問題を解いていくのが楽しかったです

『カルティベーションコース』 中3・FYさん

 

家庭科賢者からの、「布に糸で玉留めと玉結びをして文字をつくる」という試練があり、これが一番、面白かったです。難しかったのは「ペーパータワー」です。時間切れでクリアできず、知恵の言葉を受け取ることができませんでした。僕はゲームが大好きなので、今日の取り組みはゲームを攻略する楽しさがありました。授業で学んだことを実際に使って役立てる、有意義で楽しい取り組みでした!

Interview★
「校内の雑草は食べられる?」 結果からさらなる課題を導き出す

『アカデミアコース』 中2・KMさん

 

私の班は、中1生の「雑草は食べられるの?」という言葉がきっかけで「校内の雑草」をテーマに、食べられる雑草「イタドリ」について実験しました。最初は生食をしてみましたが、それでは実験にならないため調理方法を考えました。調理は「茹でる」「炒める」の2種で、茹で時間は「30秒」「1分」「2分」。炒めるのは「油使用」と「油使用なし」。その結果、調理をすると苦み、渋みが増し、繊維質を強く感じました。結果が出て終了ではなく、そこからどのように探究活動を広げていくのかが大事だと感じました。

Copyright © Educational Network Inc. All rights reserved.