『クエストカップ2021企業探究部門』(オンライン)に出場した生徒たち。
企業が出す課題解決案をプレゼンテーションで熱く語った。
2021年4月より理数に特化した学びで難関大学合格を目指す『プログレッシブ数理探究コース』、英語力と国際感覚を磨く『I.U.E知識実践コース』、可能性を高めて自主性を養う『エキスパート未来創造コース』の新たな3コース制での学びがスタートした同校。中高一貫中学主任の金子幸平先生は、新コース編成のきっかけを次のように話します。
「これまでは特進系の2コースを設置していたのですが、受験生や保護者をはじめ、塾の先生からも『勉強だけでなく部活動など好きなことに打ち込めるコースがあってほしい』『英語をしっかりと学びたい。学ばせたい』といった声が寄せられることが多くなったことがきっかけです」
難関国公立大学、医学部医学科を目指す生徒を対象とした『プログレッシブ数理探究コース』は、ハイレベルな授業に加えて、数理的好奇心をかき立てる探究型学習を取り入れることで、数学的思考と理科的発想力を高める学びを展開しています。
英語を特にしっかりと学びたいという生徒が集う『I.U.E知識実践コース』は、中3時に約2カ月半の留学が必須となっています。この留学に向けて、語学力と異文化を理解する力を養いながら、新大学入試制度にも対応できる英語力を身につけます。
『エキスパート未来創造コース』では、部活動や興味のある事柄に取り組みながら、さまざまな経験を通じて人間力を高めます。
「エキスパート未来創造コースの中には、部活動や学外の活動で、スポーツや文化的な活動に本気で取り組む生徒だけではなく、『やりたいことがまだわからない』という生徒も多くいます。しかし、次第に彼らは、本気で将来のために努力を重ねているクラスメートに刺激を受けて『今できることに本気で取り組むことが次のステップにつながる』と気づき、勉強や学校行事も真剣に取り組むようになります。そのためクラスはいつも活気に満ちています」(金子先生)
「新コースの始動は、従来の2コースで学ぶ他学年の生徒にも良い刺激になっています。新高1生対象の集中学習会では、3日間で約100名もの生徒が参加し、後輩たちの範となっています」(中高一貫高校主任・野村啓太先生)
新コースの始動は同校にとって大きな変化ではありますが、「変わらないこと」もあります。その一つに、水曜日に幅広い体験をするプログラム『スペシャル・ウエンズデイ(SW) 』があります。
SWでは、パワーポイントを用いたプレゼンテーションや芸術鑑賞、野菜や果物の収穫、華道教室、地域の伝統工芸体験などを行う、中高一貫コースで一番人気の取り組みです。
「本校の教育の根底にあるのは、校長の瀧川好庸が提唱する『教育は感動だ』という考えです。生徒たちにもっと感動体験をさせたいと考えて、六甲全山縦走、屋久島トレッキングも計画しています」(金子先生)
「感動」を軸とした同校の教育改革は始まったばかり。“新生・滝二”の胎動は、新コース1期生の成長とともに大きくなってゆくことでしょう。
英語の授業で学んだことを、オンライン英会話で実践し、体験的に英語力を養います。オンラインでつなぐのは、フィリピンのセブ島。生徒たちは「教科書で学んだ構文が実際に使えた!」と実感し、中3のカナダ研修旅行への期待を膨らませていきます。「実践的な語学体験をした生徒たちは、高校でもその体験を活かし、英語学習に積極的に取り組みます」(野村先生)。全コースの生徒がオンライン英会話に取り組みますが、『I.U.E.知識実践コース』では、時間・内容ともにより充実したものとなっています。
岐阜県にある『サイエンスワールド』を訪問。
『プログレッシブ数理探究コース』の生徒を対象とした探究型学習の一つです。「小松菜とにんじんの細胞を融合させると、葉が小松菜、根がにんじんという誰も見たことのない野菜が誕生します。『こんな野菜があれば食料問題が解決するかも』と社会科の領域にまで視点が広がります。ところが、実は美味しくないという現実があり、ここからテーマが品種改良に移り、さらに学びが広がっていきます。生徒は、細胞融合の実験で感動するだけでなく、教科の学びがつながっていることに気付き、目が輝き始めます」(金子先生)
中1・中2で六甲山を縦走して、その経験を中2の秋に行う屋久島トレッキングにつなげていきます。六甲山縦走では、須磨~有馬温泉までの尾根約35kmを3回に分けて歩き、精神力と体力を鍛えます。屋久島では、自然遺産にも登録されている縄文杉までの約19km(高低差700m)の道のりを約10時間かけて歩きます。さらに、中3研修旅行でカナダに行き、ナイアガラの滝を見学。大自然での感動体験が生徒たちの心を動かし、成長につながっていくのです。
早朝と放課後に行われる講習で、テストで合格するまでとことん勉強します。「できるまで終われないのが『とことん』の特徴。英語や数学が苦手で参加した生徒もいますが、とことん講習を受けることで、だんだん勉強の仕方がわかるようになり、気がつけば得意科目になっていく生徒を数多く見てきました」(金子先生)かつて、英語が苦手な生徒が『とことん英語』で特訓を受け、苦手を克服して英語の教員になったこともあったそうです。