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中学 受験plus

【中学入試を知ろう】「私立学校で学ぶ」という選択肢①
子どもの将来を考えて中学受験を選ぶ

学習指導要領の改訂や2020年度よりスタートした大学入試改革をはじめ、学校教育全体に大きな転換期が訪れています。その背景には、日本の将来を担う子どもたちが置かれている現状があります。
ボーダーレス化・情報化が進む現代社会において、少子高齢化・人口縮小の時代に突入する日本が生き残り、世界に貢献するためには、これまで以上に豊かな発想力を持ち、自ら行動し、優れたコミュニケーションスキルを持った人材を育成しなければなりません。そのため、多くの私学が今まで以上に教育の質を高める取り組みを実践することで、その結果として、私立中学が選択されているのです。

掲載日:2024/4/5
私立中学を目指す子どもたち
●中高6年間で将来必要な力をつけるため

  地元に公立中学校があるにもかかわらず「よりよい教育」を求めてチャレンジするのが中学受験です。中学受験をすることは子どもの将来を考えること。子どもがどのような時代に生き、どのような社会環境の中で生活していくことになるかを考えることです。そのために必要な力を中学・高校時代に培ってほしい、将来への選択肢を増やしてあげたいというj保護者の思いから、中学受験を選択しているのです。

  春になると、東京大学や京都大学をはじめとする難関大学への合格実績が話題になり、私立中高一貫校が有利であることが毎年の数字で証明されています。保護者が「よりレベルの高い大学へ進ませたい」と考えるのは、当然かもしれません。それが子どもに幅広い進路の選択肢を保障することにつながるからです。すなわち大学合格実績の高い私立学校への進学は現実的な選択なのです。

 実際に中学受験をした子どもが何人だったのかを調査したデータがないので、入試初日の受験者数から推定してみましょう。もちろん、初日だけでは実際の中学受験者数とは言えないでしょうが、設定された統一入試日だけに限定することで、併願による受験者数の重複分という大きな変動因子を考慮に入れず、大まかな受験傾向をつかんで推定の根拠とすることができるでしょう。

 下のグラフを見ると、2023年度には関西圏では約10人に1人の小学生が中学受験に挑んでいることがわかります。もっともこれだけでは、実際の受験者数や1人あたりの併願校数は確実な数字とは言えませんが、受験率に大きな変化はなく、先行き不透明な社会情勢が続く中、依然として中学受験への熱意は強いものと言えるのではないでしょうか。

子どもたちの未来に必要なチカラ
●教育が変わる!

 中学受験で志望校を選ぶポイントは何でしょうか?これまでは、難関大学への合格実績が占める比重が大きく、その理由は、その先の将来が経済的に保障され、社会的にもステータスの高い職業に就く可能性が高かったからです。それはこれからも大きくは変わらないでしょうが、求められる資質はこれまで以上に多様になります。

 近年、経済界から、大学新卒の新入社員に対して、「指示されないとなかなか動けない」「決まった仕事はこなすが、課題になかなか気づかない」「他者と交渉したり協調してものごとを進める力が不十分」などといった声が発せられています。日本人と外国人の新入社員がいる場合、外国人の方が「即戦力になる」「物おじしない」「積極的でコミュニケーションが上手い」と評価されることも多いようです。経済界が子どもたちに身につけてほしいと求めている力は、じっくりと考える思考力や、自分を表現する力、ものごとを鵜呑みにせずに多面的に分析するクリティカル・シンキング、主体性、協調性、そして英語を使って表現し、交渉する力などです。

 政府・文部科学省も、今後の日本の教育ではこうした人材の育成を目指す方針で、大学・高校の教育を改革しようとしています。『SSH(スーパーサイエンスハイスクール)』『SGH(スーパーグローバルハイスクール)』などを指定し、従来型の学力からの転換を支援子どもたちの未来に必要なチカラするようになりました。そして2020年にスタートした「大学入試改革」。そこで問われるのは、単に知識を身につけていることだけではなく、先述の思考力や判断力、表現力、主体性、協調性、そして高度な英語力などです。

 こういった社会情勢を背景に、先陣を切ったのが私立中学校です。新しいスタイルの入試(思考力入試・適性検査型入試・自己推薦型入試・英語入試など)が増えている背景には、時代の変化を見すえて、将来的に社会で活躍できる人材を育成したいという思いがあるのです。

 必要なのは、定型的な問題を解く知識・技能ではなく、それをもとに、自分で考え、他人と協働して、新しいものを生み出す力です。そこで近年は、思考力、判断力、表現力、コミュニケーション能力などを測る入試が増えているようです。

 これまで、高校生の多くは大学受験を念頭に勉強していました。大学全入時代と言われる今、相対的に大学入試のハードルが下がったことで、高校生たちは「なぜ勉強しなくてはいけないのか」という気持ちが強くなっていることでしょう。いつまでも大学入試を目的に勉強させるのは難しいということです。

 学ぶ目的をはっきりさせないと、意欲も出てこない。これからの中等教育機関では、学習習慣と知的好奇心をどう育成するかがポイントとなっていくでしょう。新大学入試制度のねらいは「学ぶ意欲」をどう育成するかという点にあります。 これからの中学生・高校生は新大学入試制度改革の下で、大学受験に臨むことになります。そうしたときに、中等教育機関では、まず「学ぶ意欲」「学習習慣の確立」のための環境づくりが求められることになります。生徒の知的好奇心をどのように喚起するかがポイントになるのです。

●私立中高一貫校は有利?

 新大学入試制度に、中高一貫校はどのように対応していくのでしょうか?少なくとも高校受験がないぶん、6年間かけてじっくりと“得がたい経験”ができる余裕や環境が、現在の私立中高一貫校には十分に用意されています。

 私立中高一貫校が独自に行っているさまざまな教育実践にはすばらしいものがあります。ビジョンをはっきりと示している学校があり、そのビジョンに親和性を感じられるなら、その学校を子どもの進学先として選択することには非常に意味があると言えるでしょう。