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私立中高進学通信

2026年神奈川版

校長先生に聞く「グローバル教育のビジョン」

聖園女学院中学校

「人間の尊厳」を土台に世界とつながり
平和に貢献する国際人を育てる

ミカエル・カルマノ校長先生(中央)、国際交流部長・英語科主任の江藤幸代先生(左)、
教頭・生徒指導部長・音楽科主任の鹿野直美先生(右)に、
聖園女学院がめざすグローバル教育について伺いました。

 英語を学ぶことも、異文化に触れることも、その先にあるのは他者への理解と世界平和への願いです。世界に目を向け、人とつながり、社会に貢献する国際人を育てる。そんな聖園女学院の国際教育における取り組みを伺いました。

出会いを通して
自分と世界を知る人へ
3つのビジョン
  1. Global Mindset
    他者理解・相互尊重
  2. Multicultural Understanding
    異文化理解と協働
  3. Global Citizenship
    世界平和と社会への貢献

 豊かな自然に囲まれた環境のもと、カトリックの精神に基づいた教育を実践している聖園女学院。定評ある少人数制の英語授業や多彩な海外研修・留学制度、海外大学進学につながるプログラムも展開し、実践的な英語力と国際感覚を養う教育に力を入れています。

 校長のミカエル・カルマノ先生は、同校のグローバル教育の本質を次のように語ります。

「生徒たちには、自分とは違うさまざまな人に出会ってほしいと思っています。異なる考え方や価値観をもつ人と関わるなかで、相対的に自分自身を知ることができるからです。外国語を学ぶことも、結局は人とつながるためです。外国語を学ぶことで、自分の母語や文化についても改めて理解できるようになっていきます」

 その根底には、同校が属する南山学園の教育モットーである『Hominis Dignitati(人間の尊厳のために)』の理念があります。

「第二次世界大戦の後、違いを認め合わなければ平和な社会はつくれないという思いから、この理念が掲げられました。一人ひとりの価値を認め合うことが、全ての出発点なのです」(校長/カルマノ先生)

 教頭であり生徒指導部長・音楽科主任も務める鹿野直美先生も、「本校では『人間の尊厳のために』という理念を全ての基盤にしています」と続けます。

「この理念のもと、国際性や寛容さを育みながら、世界中の誰とでもつながることができる人の育成をめざしています。その学びは特別なプログラムだけでなく、日常の中にも息づいています。共同祈願やスクールミサで生徒たちは、世界で苦しむ人々に思いを寄せながら祈りを捧げ、『平和とは何か』『自分にできることは何か』を自らに問い続けています」(教頭/鹿野先生)

日常の中で育む
他者理解・相互尊重

 この理念を基盤とする聖園らしいグローバル教育とは何かを伺うと、国際交流部長・英語科主任の江藤幸代先生は、『Global Mindset(他者理解・相互尊重)』『Multicultural Understanding(異文化理解と協働)』『Global Citizenship(世界平和と社会への貢献)』という3つの観点からその特徴を整理してくださいました。

『Global Mindset(他者理解・相互尊重)』を育む入り口となるのが、入学直後に体験する『プロジェクトアドベンチャー』と、中1で年3回にわたり取り組む『小笠原流礼法講座』です。

「プロジェクトアドベンチャーでは仲間と協働して課題に挑戦し、コミュニケーションや信頼関係づくりを体験の中で学びます。礼法講座は作法の習得ではなく、相手を敬い、自らを律する姿勢を身につける場として位置づけています。相互尊重は、こうした日々の生活の中で育まれていくのです」(鹿野先生)

 ネイティブ教員と気軽に英語で交流できる校内施設『MEA(Misono English Academy)』も、相互尊重の実践の場の一つです。

「放課後になると、生徒たちはネイティブ教員と英会話を楽しんだり、ゲームやイベントに参加したりしながら英語に親しんでいます。英語が苦手だった生徒も、『一緒にやってみよう』という声かけのもと、少しずつ自信をつけていきます。学年を越えた交流も活発で、先輩は後輩を自然にリードし、後輩は先輩を頼る。そうした関係性を通して、共に成長を遂げていく姿を見ることができます。
 MEAでは相手を尊重する『Respect』、積極的に参加する『Participate』、失敗を恐れず挑戦する『Try』の3つを大切にしています。この3つは英語学習だけでなく、グローバル社会を生きていくうえでも大切な力だと思っています」(江藤先生)

異文化との出会いが
視野を広げ世界につなげる
国際交流プログラム『Global Friends』の様子。「本校の生徒と留学生が一緒に『理想のお弁当』について考え、発表し合う『理想のお弁当コンテスト』を実施したこともあります。国によってお弁当に対する考え方や食文化が異なり、発見がたくさんありました。今後もさまざまな交流プログラムを企画しています」(江藤先生)

『Multicultural Understanding(異文化理解と協働)』を培う代表的な取り組みとして、同じ南山学園に属する南山大学の留学生と交流する『Global Friends』を実施しています。

「南山学園には、多様な文化をもつ人々と共に学び合う伝統があります。Global Friendsは、その特色を生かした学園ならではの取り組みです」(鹿野先生)

「留学生との交流に必要なやさしい日本語や英語を使ったグループワーク、日本文化の紹介などを学び、その後、南山大学を訪問して世界各国から集まった留学生と英語での交流やアクティビティに臨みます。
 海外へ行くことだけが国際交流ではありません。異なる背景や価値観をもつ人と対話し、新たな視点に触れることが大切だと考えています」(江藤先生)

 実際に海外で学ぶ機会も充実しています。中3の希望者を対象とするニュージーランドへのターム留学では、約1学期間にわたって現地校に通学。授業や学校生活を通して、生きた英語に触れながら異文化への理解を深めます。さらに高1の希望者を対象に、カナダでの海外研修も実施しています。

「カナダ研修では語学の習得だけでなく、市役所訪問やボランティア活動なども行っており、そうした活動に魅力を感じて英語が得意ではない生徒も多く挑戦してくれています。
 日本にいながらカナダの高校卒業資格の取得をめざせる『ダブルディプロマシステム』(※1)を2024年度から導入し、海外大学進学を支援する『UPAS推薦制度』(※2)と併せ、海外大学を進路の選択肢として、しっかりサポートできる体制を整えました」(江藤先生)

※1 ダブルディプロマシステム…カナダのオンタリオ・バーチャル・スクールの講座を受講することで、日本だけでなくカナダの高校卒業資格も取得できる制度。中3以降に希望者が挑戦可能です。

※2 UPAS推薦制度…海外の協定大学への推薦制度。アメリカ・カナダ・イギリス・オーストラリアの4カ国にある約100の大学へ、同校の評定平均値と英語資格のスコアによって推薦で出願できます。

平和な社会の実現に向けて
行動する姿勢を育む

『Global Citizenship(世界平和と社会への貢献)』を軸とする同校の学びは、中1の『世界につながるコミュニケーション研修』から始まります。この研修では、国際的に活躍する方を講師に招き、世界で起きている出来事や平和について考えます。

「近年ではガザの問題について話を伺い、『人間の尊厳とは何か』を考えました。生徒たちには遠い世界の出来事ではなく、自分たちにつながる問題として捉えてほしいと思っています。
 こうした学びに刺激を受け、生徒会を中心に、アフリカ・マラウイへ学校給食支援を行うチャリティーコーヒー販売も実施しています。生徒たちは支援活動を通して、自分たちの行動が世界とつながっていることを実感しています」(鹿野先生)

 他者を尊重する心を育み、多様な価値観に触れ、世界の課題について考え行動する。同校のグローバル教育は、『人間の尊厳のために』という理念のもと、他者とつながり、平和な社会の実現に貢献できる人を育てているのです。

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