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私立中高進学通信

2026年神奈川版

実践報告 私学の授業

カリタス女子中学校

中学から始まるフランス語学習
英仏複言語教育が広げる可能性

「英語だけじゃない」が未来の強みに

探究シーン1
中1から第二外国語として全員がフランス語を学び、その文化にも触れます。
「中学では、ネイティブの先生と一緒に『話す』『聞く』という会話を中心に学び、
高校では、新聞や文学を題材に『フランス語を使って学ぶこと』にも挑戦します」(鷲頭先生)

 ラテン語で「愛」を意味する「カリタス」を校名に掲げる同校。創立以来続く「英仏複言語教育」を通して生徒たちはさまざまな価値観があることを知り、他者を尊重する心も養っています。

文化や価値観の違いに触れ
相手を尊重する姿勢を培う
副校長/鷲頭弘子先生

 カナダのケベック・カリタス修道女会により1960年に設立されたカリタス女子。フランス語を公用語とするケベック州をルーツにもつことから、創立当初より「英仏複言語教育」に力を入れています。中学では、全員が第二外国語として週2時間フランス語を学び、高校では、英語とフランス語のいずれかを第一外国語として選択します。

 複言語教育のねらいについて、副校長の鷲頭弘子先生はこう話します。

「言葉を学ぶことは、世界を見る『窓』を増やすことです。窓を増やし、さまざまな視点から世界を見て、多角的なものの見方や想像力を養うことが、複言語教育の大きな目的です。
 私も本校の卒業生で、フランス語を第一外国語に選択していました。かつて恩師が語っていた『外国語教育は平和教育だ』という言葉どおり、言語の学びを通して他国の人たちが大切にしているものを理解しようとすることが、相手への尊重につながり、ひいては平和な社会の実現につながるのです。
 フランス語を第一外国語にした卒業生の1人は、複言語教育で言語の大切さに気づいたと語り、大学で『絶滅危惧にある少数言語を守る活動』に取り組んでいます。そこまで直接関係せずとも、フランス語を学び多様な価値観を知ったことで、進路の選択肢が広がったと話す生徒が多くいます」(鷲頭先生)

 毎年1月には『外国語発表会』が催され、中高生が英語・フランス語の両言語を用いてクイズ大会や暗唱、プレゼンテーション、台本から作り上げるオリジナル劇などを披露します。生徒たちにとって二つの言語で発信することは、ごく自然な行動として学校生活にしっかりと根付いているのです。

 最後に、フランス語を第一外国語として学ぶ高校生から、受験生へメッセージをいただきました。

「フランス語には難しいイメージがあるかもしれませんが、アルファベットの読み方から学んでいくので安心してください。私も決して得意ではないですが、少しずつできることが増えてきて、自分の成長を楽しめるようになりました」(Tさん/高1)

「カリタスの『複言語教育』には、文法や単語の習得だけでなく、学びを通して出会う人が増え、自分の世界や視野がどんどん広がっていく楽しさがあります。学校生活のなかに自分を表現する機会が多く、そのおかげで自分自身の可能性を大きく広げることができました。この楽しい学びを、ぜひ体験しに来てください」(Mさん/高3)

探究シーン2
教科ごとに教材や作品を展示する専用の学習エリアを持つ「教科センター」方式を取り入れている同校。
探究シーン3
フランス語の教科センターのまわりには、生徒が書いた「私が見つけた日本のフランス語」やレシピなどが展示されています。

生徒インタビュー
生徒が語る英仏複言語教育の魅力
2つの言語との出会いが、新しい世界への扉を開く

 中学では全員が英語とフランス語を学び、高1で英語かフランス語、どちらかを「第一外国語」に選択する同校。フランス語を選択した生徒2名に話を聞きました。

――フランス語を第一外国語に選択した理由を教えてください。

Tさん(高1)

Tさん(高1)
もともとフランスの文化に興味があり、フランス語を学ぶことに魅力を感じていました。高校で第一外国語に選んだのは、フランス語を使える日本人はまだ少なく、自分の強みになると考えたことが大きな理由です。

Mさん(高3)
私は小学校からカリタスに通っています。小学校でもフランス語の授業があり、先生が作ったオリジナル教材を使って楽しく学んでいました。小5で初めてフランス語検定を受験し、「もっと極めたい」と思ったことが原動力になっています。

――英語とフランス語の両言語を学ぶなかで、役立ったことや共通点を感じる部分はありますか。

Tさん
英語とフランス語は単語や動詞のスペルに似た部分があるので、英語の知識から意味を推測できる場合があります。日本語だとイメージしにくい表現でも、英語やフランス語を関連付けることでニュアンスを理解できるようになりました。

Mさん(高3)

Mさん
英語とフランス語では、スペルは同じなのに違う意味を持つ単語もあり、こうした違いを発見するのも面白いです。英語の読解問題を解く際に、知らない英単語についてフランス語の知識を頼りに読み進めたところ、正しく解釈できていた経験があり、双方の言語を学んだことが役立っていると実感しています。

――印象に残っている授業や活動を教えてください。

Tさん
『外国語発表会』で上演される、高2の先輩方による『フランス語劇』です。台本も演出も自分たちで一からつくり上げていて、その完成度に圧倒されました。毎年見るたびに、「私もあんなふうになりたい。頑張ろう」と大きな刺激を受けています。

Mさん
高1の時に参加した、カナダ・モントリオールでの2週間の研修が思い出深いです。初めて学校以外でネイティブの方と会話し、自分のフランス語が通じた感動は忘れられません。夕食の時間は家族みんなが毎日集い、フランス語で「今日どんなことがあった?」と話し合います。最終的にはフランス語でスムーズに会話できるようになり、大きな自信となりました。

――フランス語を学んだことで、どのような変化や成長がありましたか?

Tさん
物事を多角的に捉えられるようになったことです。英語圏やフランス語圏の文化に触れるなかで、ほかの国や地域の文化、考え方についてもっと知りたいと思うようになりました。

Mさん
授業でフランスの子ども向け新聞を読んで記事を解説する機会があり、難民やギャングなどの社会問題を知ることができました。語学を学ぶ意義は、単にその言語を話せるようになることだけでなく、広い視野や多様な価値観を育むことにもあると実感しています。また、クラスで一緒に学んだフランスからの留学生が、周囲に合わせすぎず自然体で過ごしている姿に刺激を受け、私も自分らしさを大切にしたいと思うようになりました。

――将来、フランス語を学んだ経験をどのように活かしたいですか。

Tさん
大学で文学や法学を学び、国ごとの法律や政治の違い、その背景にある歴史や文化、社会について研究したいと考えています。フランス語もさらに磨いて、原文をニュアンスまで理解しながら読めるようになることが目標です。

Mさん
私も大学でさらにフランス語を学びたいと思っています。探究学習でフランスの社会について調べるうち、家族観や働き方が日本と大きく異なることに気づきました。大学時代にフランス語圏を訪れ、実際に自分の目で文化や多様性を確かめ、研究したいです。将来は、日本とフランス双方の良さを伝え、両国の架け橋となるような仕事に携わりたいと思っています。

『外国語発表会』で上演された、高2のフランス語選択者による『フランス語劇』。「シンデレラをベースにイチから台本を作りました。フランス語での演技に苦労し、『役の言葉』としてどのように表現すれば感情が伝わるかを工夫しました」(Mさん)
Mさんが参加したカナダ・モントリオールでの研修(2週間)の様子。「ホストファミリーの親戚一同で集まり、食事をしました。ホストファミリーのご夫婦は、英語やフランス語を含め5つの言語を話せる素晴らしい方々でした。フランス語でうまく話せない時、英語やジェスチャーを交えて会話を補い、優しく教えてくださいました」(Mさん)
蔵書数約4万冊の充実した図書館で。左から鷲頭先生、Tさん(高1)、Mさん(高3)。ソファ席や個人机もある、生徒たちお気に入りの場所です。
図書館にはフランス語のコーナーも。絵本から小説まで多彩な書物が置かれ、フランス語検定の参考書もあります。
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