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私立中高進学通信

2026年神奈川版

卒業生が語るわたしの成長Story

清泉女学院中学校

世界を知り、対話を重ねて
人の痛みに寄り添える自分へ

東京外国語大学
言語文化学部ベトナム語専攻 4年
T・Yさん

ベトナム文学の研究を通して、Tさんが大切にしていることは、「人の痛みを社会としてどう受け止め、
語り継いでいくか」という視点です。「人文学には、今を生きる人の意識や価値観を変える力があると感じています」

 先生や仲間との対話を通して、自分自身の価値観や視野を広げていった6年間。豊かな経験を通じて、他者の立場を想像し、人の痛みに寄り添う姿勢を育んでいったT・Yさんに、学校生活を振り返りつつその成長の軌跡を語ってもらいました。

豊かな自然環境と
キリスト教への期待

 T・Yさんが清泉女学院を知ったのは、小6の9月。同校の説明会に参加し、自然豊かな環境に心を惹かれたといいます。

「校内の自然を活かした『野外実習』やクリスマスミサなど、ミッションスクールならではの取り組みにも興味がありました」

 一方で、入学前には不安もありました。「どちらかというと静かで、人に話しかけるのが得意ではないタイプだった」と当時の自分を振り返ります。

「最初は“お嬢様学校”という先入観をもっていましたが、入学してみるととても明るく活気があって、想像とは違いました。附属の小学校からの生徒も皆、入学初日から自然に声をかけてくれて、本当に安心したことを覚えています」

 そうした仲間たちに囲まれるなかで、T・Yさん自身も少しずつ変化していきました。

「課外活動や学校行事を通して、さまざまな人と関わるなかで視野が広がり、コミュニケーション力も大きく伸びたと思います」

「やってみたい」を形にした
中高時代の挑戦の日々

 Tさんは中高6年間を通して、部活動や委員会活動にも積極的に取り組んできました。

 コロナ禍中に開催された文化祭では、従来の体験企画はできません。そこでTさんの所属する華道部では、大きな花器に来場者が一輪ずつバラを挿していく展示を企画。「未知の状況下で、“どうすれば楽しんでもらえるか”を周囲と相談しながら考え抜きました」と振り返ります。

 また、中1から続けた福祉委員会での活動も印象深いものが多く、募金活動や地域の作業所との交流を通して、「誰かのために行動すること」の喜びを実感したといいます。

 もう一つ中高時代に力を注いだ活動が、模擬国連です。中2から継続的に参加し、全国大会にも出場。「最初は友人に誘われて始めたのですが、気づけば夢中になっていました」と話します。夏休み中にも仲間と議論を重ねながら、英語での資料作成やリサーチに取り組む日々。その経験を通して、多角的に物事を考える力や、自分の意見を伝える力が磨かれていきました。

学びを通して広がった価値観
人の痛みに寄り添う心
「中学の頃から、参考文献の読み方や扱い方をていねいに教えていただきました。その経験が今、とても役立っています」

 勉強への向き合い方にも変化があったそうです。

「“試験のための勉強”ではなく、“学ぶことそのもの”を楽しめるようになったと思います。現代文の先生が授業のかたわらで研究活動も続けられていると知り、“研究者という生き方”にも憧れを抱くようになりました」

 現在、大学でベトナム戦争文学を研究しているTさん。その原点には、高校時代の授業で語られた、人の痛みや社会との関わりについて深く考えさせられる言葉があるといいます。

「高1の時、大雨で欠席者が多い日の現代文の授業で、先生から『困っている人や苦しんでいる人がいる時に、その痛みにどう寄り添えるかを考えましょう』と静かに語りかけられたことが今も忘れられません。自分さえ無事ならいいで終わらせず、顔も見えない誰かの苦しみに、どれだけ想像力を働かせられるか。その問いかけが、私の心に『社会とどう向き合うべきか』という命題を与えてくれました」

現在の研究へとつながった
ベトナムとの出会い

 さらに、現在の研究テーマにつながる大きなきっかけとなったのが、高1で参加した「ベトナム・スタディツアー」でした。最初は「海外を見てみたい」という気軽な理由から参加を決めたそうですが、初めての海外研修で、Tさんは大きな衝撃を受けます。

「午前中は学校に通い、午後は働いて家計を支える子どもたちとも交流しました。発展する都市部の風景と、厳しい生活環境の双方を目の当たりにし、格差を実感しました。またベトナム戦争に関しては、実際に戦争で使われた地下トンネルを訪れ、“歴史を知る”ことと、“その場の空気を体感する”ことは全くの別物だと感じました」

 その経験を通して、ベトナムという国が歴史や文化をどのように受け継いでいるかに、強い関心をもつようになったといいます。

「振り返れば、高1で出会ったベトナム人留学生や、高2で交流したベトナム出身のシスターなど、学校生活のさまざまな場面でベトナムとの縁がつながっていて、自然と現在の研究へ導かれていたように感じます」

温かな関わりのなかで
挑戦できる学校

 卒業後、改めて感じる母校の魅力について、Tさんはこう話します。

「失敗しても、“もう一回やってみよう”と背中を押してくれる先生や仲間がいました。また、明るく活発な人もいれば、静かに自分の興味を深めている人もいて、お互いの個性を自然に認め合う雰囲気がありましたね」

 最後に、中学受験生へこんなメッセージを送ってくれました。

「私は受験前、“この学校でこんなことをしてみたい”と想像しながら学校案内を何度も読んでいました。ぜひ、自分がその学校で過ごす姿を思い描きながら志望校を選んでほしいです」

恩師からの応援メッセージ
まっすぐな思いを
大切にしてほしい
高2・高3で担任だった北村先生と。

「“自分が納得できるまで全力で取り組みたい”という姿勢は今も変わっていませんね。さまざまな経験を重ねるなかで視野が広がり、もともとの誠実さや芯の強さを大切にしながら、周囲に合わせて柔軟に対応できるように成長してくれたと感じます。思慮深い性格なので、悩むことも多いとは思いますが、その“徹底して考え抜く力”を自身の強みに変えて、想像力という優しさと共に自分らしい道を歩んでいってほしいですね」(美術/北村奈美先生)

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