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私立中高進学通信

2026年9月号

校長先生が語る6年間のビジョン

サレジアン国際学園中学校

多様な人と集い、共に学ぶ
「世界市民」を育てるオンリーワンの学校へ

学校だからこそできるのは、さまざまな人と一緒に学ぶこと。
母語や価値観の違いを越えて対話を重ね、互いを「人」として認め合う経験が、生徒たちを成長させていきます。

次世代の教育を土台に
「世界市民」を育てる
宗像 諭 校長先生

 本校が掲げる理想の学習者像は、「21世紀に活躍できる世界市民」です。これから先、子どもたちが生きる社会では、私たちが想像もつかないような変化が起こっていくでしょう。その時に必要なのは、誰かが用意した正解を待つ力ではなく、自分自身の考えと行動規範をもち、自ら困難を乗り越えていく力です。

 大学受験のためだけではなく、自分自身の人生を主体的に選び取っていける人になってほしい。その思いを教育の中心に据えています。

 本校は4年前の校名変更・共学化を機に、大きく変化してきました。一方で、変わらず大切にしているものがあります。

 6年間を通じて、「どのような人間として生きるのか」「どのように社会へ貢献していくのか」を問い続けています。それは伝統あるカトリック校として「神から与えられた力を誰かのために活かす」という哲学が、学校の根底に流れているからです。

 誰かの話をきちんと聞くこと、困っている人に手を差し伸べること、目の前の相手に心を寄せること、善を選び取る行動をすること。そうした行動が特別なものではなく、学校文化として根づいていることも、本校の大きな特徴です。

PBLと英語環境で育む
学校だからできる学び
VISION-6年間のビジョン
  1. 次世代の教育で
    「世界市民」を育てる
  2. 英語・PBL・多様な価値観で伸ばす、
    本物の国際環境
  3. 可能性を広げる、
    オンリーワンの教育環境

 本校では「21世紀に活躍する世界市民」になるべく、社会に価値を還元できる人を育てたいと考えています。だからこそ、PBLも国際教育も、単なるスキル教育ではなく、自分の力を誰かのために使うこと、新たな価値の創造ができるようになることをめざした学びにつながっていきます。私が教育において大切にしているのは、優れたプログラムを与えることではなく、「優れた環境」をつくることです。

 学校には学校でしかできないことがあります。その1つは、人と集い、人と考え、人と創ることです。

 だからこそ全教科でPBL型授業を導入し、問いを立て、仲間と意見を交わし、多様な価値観と向き合いながら、自分なりの答えを探していく。その過程そのものが次世代の学びであると考えています。

 英語教育も同じです。本校には多くのネイティブ教員が在籍し、授業や学校生活のなかで自然と英語に触れられる環境があります。また、インターナショナルクラス生と本科クラス生が同じクラスで学び合うことも本校の特徴です。国際的なバックグラウンドをもつ生徒と、一般入試で入学した生徒が日常を共にすることで、それぞれが多様な価値観と出会います。

 一部の生徒だけが対象の特別な国際教育ではなく、多様性が日常になっている環境、異なる価値観や得意分野をもつ生徒たちが同じ空間で学ぶからこそ、「自分とは違う考え方」を認め合うことができるのです。

 英語を話す生徒が隣にいる、異なる文化的背景をもつ友人がいる。そんな環境のなかでは、「英語を勉強する」のではなく、「英語で伝えたい」と思うようになります。

 母語で相手に伝える力や、自分の考えを整理する力も磨かれていき、生徒たちは驚くほど言語運用能力を高めていきます。

「失敗から学ばなかった」ことを
後悔してほしい

 本校では、PBL型の学びを通して知識や思考力を育むだけでなく、学校生活全体で「仲間のため、誰かのために行動できる力」を育てています。

 そのためには、生徒が安心して挑戦し、自分らしく成長できる環境が欠かせません。結果が思いどおりにならなくてもかまわないので、まずは挑戦すること。大切なのは、そこから何を学び、次にどう活かすかです。

 実際に、生徒たちは日々の探究活動を通じて独自の発想を生み出しています。例えば、「身近な素材で食物生産を改善できないか」「植物の生育環境を工夫できないか」と考え続け、それが植物の温度管理に着目した研究へ発展し、世界大会で金賞を受賞する事例もありました。

 特別な才能をもつ一部の生徒だからできたことではありません。自ら問い続け、試し続けた結果として、新しい価値の創造ができたにすぎないのです。

 また2年前に創部されたサッカー部は、生徒の「部活動をつくりたい」という声から始まりました。最初は思うようにいかないことばかりでしたが、仲間を集め、仕組みを整え、外部指導員にも協力を仰ぎ、少しずつ形になっていきました。

 そうして初出場した公式戦では、大敗を喫しました。けれど生徒たちは立ち止まりません。現在も仲間を増やし、ユニフォームをつくり、次の大会へ向けて動き始めています。

 私はその姿に大きな手応えを感じています。負けたことや失敗したことを後悔するのではなく、そこから何も学ばないことを後悔してほしいと思います。挑戦し、自分たちで何かを生み出していく、その経験が人生の土台になるはずです。

 これからの社会や、大学入試で問われるのは、何点取ったかだけではなく、「18年間、何を考え、何に挑戦してきたか」だと考えます。だからこそ本校は、生徒一人ひとりが自分の可能性を信じ挑戦を続け、自ら知識を手に入れる環境を提供し続けます。

「上」を見て競争するのではなく、「前」を見て成長する。そして、自分の力を誰かのために還元できる人になる。そんな世界市民を、これからも育てていきたいと思っています。

世界市民を育てる
新たな学びの拠点へ

 2027年4月完成予定の新校舎は、地上5階・地下1階建てで、既存校舎の約1.4倍の規模となり、サレジアン教育がめざす「21世紀に活躍できる世界市民」の育成を支える、新たな学びの拠点となります。そのコンセプトを象徴する取り組みの一つが、2026年度から始動した新プログラム「MEDICO(メディコ)」です。MEDICOでは、AI、バイオテクノロジー、半導体など急速に変化する社会に向き合いながら、生徒が研究者のように自ら問いを立て、学びを深めていきます。新校舎には専用の「サイエンスラボ」「データサイエンス室」を設置予定。生徒たちの探究活動を後押しします。

PROFILE

 創立母体であるサレジアン・シスターズは、1872年に聖ヨハネ・ボスコ、聖マリア・ドメニカ・マザレロによって設立されたカトリック女子修道会で、現在は世界97カ国で教育・社会事業を展開しています。同校は1947年に星美学園中学校、1948年に星美学園高等学校として開校。「星美学園」として長年にわたり、女子教育を柱とした人間教育を行ってきました。2022年度より共学化し、校名を「サレジアン国際学園中学校高等学校」へ変更。インターナショナルクラスと本科クラスの2コース制を導入し、新たな教育体制へ移行しました。

(この記事は『私立中高進学通信2026年9月号』に掲載しました。)

進学通信 2026年9月号
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