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私立中高進学通信

2026年8月号

実践報告 私学の授業

文京学院大学女子中学校

5W1Hから広がる探究の世界
「好き」が進路になる学び

身近な「なぜ?」を起点に問いを深め、自分だけの探究へ
中1の3クラス合同で行われた探究の授業。中学では週1時間、探究の授業を設定し、基礎から探究のスキルを学びます。探究スキルの基礎として、「5W1H」を切り口に問いを立てる練習を行いました。

探究シーン1
中1の3クラス合同で行われた探究の授業。
中学では週1時間、探究の授業を設定し、基礎から探究のスキルを学びます。
探究スキルの基礎として、「5W1H」を切り口に問いを立てる練習を行いました。

『自立と共生』を教育理念に、未来を切り拓く力を育てる同校。“好き”を極め、キャリアにつなげていく、6年間の段階的な探究活動が特徴です。

中1から高3まで探究学習を
段階的にステップアップ
理科教諭・探究部部長/岩川暢澄先生理科教諭・探究部部長/岩川暢澄先生

 グローバル、伝統ある女子教育、DX(ICT教育)、探究の4つを軸に、常に時代を先取り、未来を生き抜く力を育んできた文京学院大学女子。同校では中高の6年間を通じて、探究の授業を週1時間(高1は週2時間)設定しています。

 中1・中2で探究に必要なスキルや基本を伸ばし、中3ではそれまでに得た知識やスキルを駆使して、自分の好きなテーマを個別に研究し、成果を発表します。高入生と合流する高1で改めて探究のスキルを学び直し、高2では本格的な個人探究に取り組みます。

 そして高3では、選択したコースごとに探究を深めていきます。『国際教養コース』では自身の進路と探究を結びつける「進路探究」に取り組み、『理数キャリアコース』では専門的な実験を経て、その成果を英語と日本語の両方で論文にまとめてプレゼンを行います。

「本校では、自ら進んで学び続け、世界中の人々と積極的に関わり、意見を発信し、行動できる生徒を育てたいと考えています。そのために、『探究』は不可欠な学びです。ここに、昔から力を入れている『国際教育』、そして指定から3年目を迎える『DXハイスクール』を複合的にかけ合わせながら、次世代の生徒を育てていくことを大きな目標としています。
 探究を校内だけで完結させるのではなく、外部の学会で発表したり、他校と交流したりする機会を意識的に設けています。例えば理数キャリアコースでは、男子校の足立学園と合同で探究授業を行って交流を深める外部連携も実施しています」(理科教諭・探究部部長/岩川暢澄先生)

生徒のユニークな着眼点から
十人十色の探究を深める

 生徒がこれまでに探究したユニークなテーマを紹介していただきました。

「カップ麺の容器に記載された『待ち時間』通りに作るのが本当においしいのかを検証するために、湯気の持続時間や麺の吸水量を個人で細かく計測して、条件ごとに比較した生徒がいます。
 医療系をめざす生徒が挑む健康に関するテーマ、『リンゴの皮を活用して食品ロスをなくせるか』というSDGs観点のテーマなど、生徒たちの発想は本当に面白いので、私たち教員も一緒に楽しみながら指導しています」

 また、中3の時にマシュマロを使って菌の繁殖を比較研究した生徒たちは、その成果を外部に発表して優秀な研究として選出。製薬企業の研究開発拠点(湘南アイパーク)で開催された発表会に招待され、現役の研究者たちの前で発表したそうです。

「実験中のリアルな失敗談を交えてプレゼンしたところ、研究者の方々から『研究あるあるだね』と共感を得て、非常に好評でした」

 ほかにも、タコの動きや質感に興味をもった高校生が、そこを起点に校内で探究可能なテーマを見つけ、ジャンボタニシを学校で飼育しながら構造解析を行いました。その成果を水産学会で発表し、現在は海洋系の大学に進学して研究者をめざしています。

「このように『好き』を極めたことで、それを進路につなげていく生徒が多いのです。探究を通じて培ったスキルを活用して自分自身を深掘りし、自分に合った学部や学科を選び抜いています。探究の成果は、大学入試の総合型選抜に活かせるだけでなく、進路を選ぶ段階から大きく役立っていることが、生徒へのアンケートからもわかりました。探究を導入して以降、生徒が進学先でミスマッチを感じるケースは圧倒的に減っています。
 一番大切にしてほしいのが、『○○が好き』『○○についてもっと知りたい』という純粋な気持ちです。本校には、その熱意や好奇心を広げ、伸ばしていける環境が整っています」

自分で決めたキーワードをもとに問いを考え、探究の基礎スキルを学んでいく生徒たち。ワイワイと相談しながら、活気あふれる雰囲気で授業が進行しています。

探究シーン2
自分で決めたキーワードをもとに問いを考え、探究の基礎スキルを学んでいく生徒たち。
ワイワイと相談しながら、活気あふれる雰囲気で授業が進行しています。

探究レポート
5W1Hを使って「好き」を深掘り
問いを立て、問いを深める手法を学ぶ

 当日取材したのは、中1の3クラス合同による探究の授業です。「問いを立てる」ためのステップとして、自分が決めたキーワードについて「5W1H(いつ/どこで/だれが/何を/なぜ/どのように)」を書き出し、問いを深める練習を行っていました。岩川先生はていねいに問いの立て方を解説。加えて説明に使用しているスライドは生成AIで作成したことを伝え、生成AIの使い方についても解説しました。

「今回の授業では、5W1Hだけでなく、『問い立て』につなげられるような内容や、生成AIに関する話題も盛り込みました。探究には、『問いを立てる』『問いに対して調査・深掘りする』『集めたデータを分析・整理する』『発表する』というプロセスがあります。中学でこれら全てを完璧にこなすことは難しいため、授業ごとにいずれかのプロセスに特化し、小さなステップを何度も経験してもらうようにしています」(岩川先生)

探究の授業は基本的に、その学年の生徒のことを最もよく知る学年の担任・副担任の先生が担当します。探究授業に向けて会議の時間を週1回設け、さまざまな情報を共有しながら授業のアプローチ方法を話し合っています。探究シーン3
探究の授業は基本的に、その学年の生徒のことを最もよく知る学年の担任・副担任の先生が担当します。探究授業に向けて会議の時間を週1回設け、さまざまな情報を共有しながら授業のアプローチ方法を話し合っています。
「問いの解像度を上げよう! 5W1Hで探究のトビラを開くワークシート」。自分が好きなことや気になることをキーワードに、5W1Hを用いて問いを深めていきます。やきそば、いちご、HANAなど、多種多様なキーワードが書き込まれていました。探究シーン4
「問いの解像度を上げよう! 5W1Hで探究のトビラを開くワークシート」。自分が好きなことや気になることをキーワードに、5W1Hを用いて問いを深めていきます。やきそば、いちご、HANAなど、多種多様なキーワードが書き込まれていました。
ワークシートに書いた内容について、グループで話し合う生徒たち。「この学年の生徒は、意見を出させたほうが活発になるため、生徒同士が発言する時間を多めに確保しました」(岩川先生)探究シーン5
ワークシートに書いた内容について、グループで話し合う生徒たち。「この学年の生徒は、意見を出させたほうが活発になるため、生徒同士が発言する時間を多めに確保しました」(岩川先生)
生徒に聞きました
(Kさん/中1)

「5W1H」を使って、部活動で取り組んでいるバスケットボールについて考えました。前回の「無人島に何を持っていくか」の話し合いも印象に残っています。自分で考え、友達の意見にも触れたことで、探究する楽しさを感じています。(Kさん/中1)


(Sさん/中1)

「5W1H」のキーワードには、大好きな「ラーメン」を選びました。問いを考えるなかで、もっと深く掘り下げられることに気づき、探究の面白さを感じています。今後もさまざまな思考法を学びながら、好きなことをさらに追究していきたいです。(Sさん/中1)

ココも注目!
タイの同世代と科学分野の探究で交流
タイの同世代と科学分野の探究で交流

 同校はタイの王立科学高校と教育提携を結んでおり、英語で互いの科学探究の成果を共有する『タイ科学交流』を毎年行っています(高2理数キャリアコース対象)。「音楽を聴くことによって集中力はどう変化するか」「タイ米と日本米を用いた米粉パンの比較研究」などユニークなテーマがたくさんあり、個人または2~3名のグループで探究を進めています。

「今年はタイから11人の生徒が来校し、昨年は本校の生徒がタイの学校を訪問しました。この年に、選抜された本校の生徒たちが、現地の王女様の前で発表するという貴重な機会をいただき、国営放送でもその様子が放送されました」(岩川先生)

(この記事は『私立中高進学通信2026年8月号』に掲載しました。)

文京学院大学女子中学校  

〒113-8667 東京都文京区本駒込6-18-3
TEL:03-3946-5301

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